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カプコン ファイティングジャムという迷作から学べることとは

先日YouTubeを眺めていて、オススメに流れてきたこんな動画が目に留まりました。

20年前発売の「カプコン ファイティングジャム」のキャラランクを作ってみました、という動画ですが…私、こういうマイナーゲームを突き詰めている人達の話がとても好きだったりします。知らないことがたくさん出てきますので。

これは個人的に30年以上のカプコン格闘ゲームの歴史の中で最大の黒歴史ではなかろうか、と思っているゲームです。それこそセイヴァー2、ハンター2の比ではありません。
そんなゲームが来年、コレクションの中の一本として復刻されることをキッカケにこうして再び話題になっているというのが面白いわけです。

まぁこのファイコレ2、明らかにメインディッシュはカプエス2ですがそれに付随して「2000年代」に還っていけるようなラインナップなのが個人的に嬉しいですね。

「やっつけ仕事」の見本

このカプコンファイティングジャム、通称カプジャムは2004年発売、カプコンの歴代格ゲーキャラが集結して戦うお祭りゲー、というものでしたが…

一見すると、豪華なゲームに見えなくもないですが

5作品から4キャラずつ、それと新キャラのイングリッドの計21名と人数的には少な目です。50人に迫る勢いだったカプエス2の3年後のゲームだと考えると、カプコン一社とはいえ寂しく見えるのは致し方ないところです。ですがこのゲームが受けなかった理由はキャラ数の物足りなさではなく、システム面のいい加減さでした。
カプエス2ではC、A、P、S、N、Kと6種類のシステムから選べる仕様になっており、キャラ数と組み合わせるとそれこそ250通り近くのバリエーションが存在します。もちろん強弱はあり、組み合わせによっては強すぎ、弱すぎというのもありました。しかしそれでも、自分で選んだ組み合わせ、というのが「持ちキャラ」意識を高めていたんですね。

このカプジャムでは、ゲームごとにシステムが固定されていて選ぶことができません。ストⅢキャラのみブロッキングが可能ですし、ストZEROキャラのみオリコンが使える、といった具合です。ウォーザードキャラにはレベル制、なんてのもありました。
これが普通に、「手抜き」としか受け取られなかったんですね。実際キャラのグラフィックも全て新しく描き起こされたカプエス2とは違い基本的に流用です。グラフィックも、システムも流用。ゆえにバランスもそのままで、ヴァンパイアキャラの強さだけが際立つゲームになっている、と感じました。この2000年代前半はカプコンが「格ゲー撤退」の雰囲気を醸し出していた頃で、それでも「格ゲーの灯は消さない」的な発言(当時の関係者インタビューで読んだ気がします)の元に発売された作品でしたが、この内容でプレイヤーに受け入れられるわけもなく、あっという間にゲーセンから消えていきました。
私も3rdプレイヤーとして春麗を使っていましたが、中足確認が出来ない時点で「なんじゃこりゃ」と思ってそれ以降やらなかったゲームですね。

一応、ウリになっていたのはあるゲームの発売中止により
お蔵入りになっていたキャラ、イングリッドの登場でした
ですが、このキャラだけで引っ張るには無理のあるゲームでもありましたね

2000年代の初めに3D格ゲーとして発売が予定されていた「カプコン ファイティングオールスターズ」というのがありましたが、諸事情により発売中止になり、予定されていた新キャラ3人の中で唯一女性キャラだったイングリッドが復活を果たした、というのがこのカプジャムのウリでした。その後フィギュアになったり、キャラ人気はそれなりにあったようですがゲームの不出来っぷりが勝ってしまった感は否めませんでしたね。彼女はこのあとZERO3の移植版に出たりしましたが、今後の登場はあるのでしょうか。出るなら、もう少し強くしてあげないと可哀想だな…な性能でもあったんですね。

これが幻となった、カプコンファイティングオールスターズです
男キャラ二人は、二度と日の目を見なさそうなのが切ないですね
ちなみに金髪のほうの名前は「ルーク」なので本当に出なさそうです(笑)


お金をかけないと、お客は反応しない

この後、2008年にカプコンUSAにてスト4が作られ、格ゲー人気の再燃が始まるわけですがこのカプジャムの時期は本当に下火でした。ギルティなど、精力的に新作が出ていたシリーズもありましたが基本的には90年代発売の旧作を、好きな人たちがしぶとくプレイし続けている…そんな時代でしたね。
スト4は一から作られたまごうことなき新作でした、ゲーム内容についての是非はともかく、です。それにプレイヤー達は、「おっ、新しいストリートファイターだ」と目を引かれたのは確かでしょう。

別ジャンル、映画の話になりますが「シン・ゴジラ」がヒットして死に体だったゴジラ映画が復活したのも、庵野監督が粘り強く東宝と戦って予算面をクリアし、思った通りの作品に近づけたがゆえの成果だと思います。

そうです、一度消えた火を再び灯すには、それなりの投資が必要になることをこれらの例が示していると思います。
あり合わせのものでこしらえて、「新作」のラベルを貼っただけのものが世間に風を起こせるわけはないんですね。低予算なものが予想外のヒットを飛ばした、という例もあります。が、それこそ「たまたま」の話でしかありません。

2000年代、ブーム終息後の「とりあえず」な格ゲー、その後の盛り返しを辿りそんな「エンタメの鉄則」を思い直した、そんなお話でした。

補足ですが、操作も若干モッサリしていて気持ち良くなかったですね
ウメハラ氏がテストプレイで「未完成品だと思った」というのも頷けます

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