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ひろがるスカイ!プリキュア感想…暗い世の中に向けた、最上のココロ意気

本日、ひろがるスカイ!プリキュア最終回「無限にひろがる!わたしたちの世界!」が放送されましたね。
一年間の締めに相応しい、「テーマの結実」を描いたエンディングでした。

このシーンのための変身解除、熱かったですね

最終回あらすじ
アンダーグエナジーの大蛇・ダイジャーグに立ち向かうスカイたち。追い込まれたダイジャーグが向かった先は、なんとソラシド市でした。追いかけようとするスカイたちでしたが、そこで変身が解けてしまいます。それでも自分たちの無限の力を信じていたソラたちは、出会ってきた人々への想いも力にかえて再び変身し、ついにダイジャーグをキラキラエナジーに浄化することに成功しました。
たたかいが終わり、ソラたちがスカイランドに戻る日がやってきます。ヨヨも見守る中、ポータルに入っていくツバサとエル。ましろは涙を流してしまいますが、最後はソラと固く握手をしてお別れをします。
翌朝、ましろは青空を見上げながら、自分たちのことを絵本にかこうと心に決めていました。すると、みんなで朝ごはんを食べようとソラ、ツバサ、エルが戻ってきたのです。あげはと裏庭に飛び出したましろは、おどろきながらも笑顔で3人をむかえるのでした。
(公式サイトより引用)

前年のデリシャスパーティー~が、食べ物をテーマにしていてごはん、パン、麺、デザートとそれぞれモチーフが明確だったのに対し、今作は始まる前に「空」がテーマとは漠然としているな、という印象を持っていました。「ひろがる」と「Hero Girl」をかけているのはなるほど、でしたが…
プリキュアは毎回、敵を倒して終わり、ではなくそこにモチーフを絡めた作品の本題があります、それが何かというのは最終回でようやく腑に落ちることが多いのですが、このひろプリはやはり、
「ヒーローとは澄み切った青空のような心を持つもの」
と、その精神性を見せた作品だったな、という感想を鑑賞後の清々しさに感じましたね。

キュアスカイの瞳は、その心を写すように輝いていました

ヒーローを目指していたソラ・ハレワタール。元々超人的な身体能力と曇りの無い正義感を持ちその素質は充分にありましたが、その純粋さゆえに敵に傷つけられ、絶望することもありました。彼女はその時ヒーローであることを捨てそうになり、それを救ったのが虹ヶ丘ましろ、夕凪ツバサ、聖あげはの仲間たちです。

微妙な例えで恐縮ですが、ボクシングのチャンピオンは、ベルトを獲っただけではなく防衛してこそ真のチャンピオンだ、などと言われます。
ソラちゃんも最初からヒーローとしての実力は充分に持っていましたが、困難に打ちひしがれた時に奮い立った事で真のヒーローになった、そんな物語だったような気がしますね。

気がかりだった、優しい敵の行方

個人的に終盤に入ってから気になっていたのは、アンダーグ帝国の支配者であったカイゼリン・アンダーグがどうなるか、です。

悪役の見た目ながら、眼は澄んでいるように見えます

声だけはカバトンへの指示など、序盤から聞こえてはいたのですが姿が初めて出たのが44話とかなり遅かった、異例の親玉です。しかし彼女は側近であったスキアヘッドに利用されていただけの存在で、300年前からのスカイランドへの憎しみも全て、スキアヘッドの陰謀によるものであることが明かされます。この時点で「悪役」とは呼べない被害者なのですが、私が彼女に惹かれたのはかつての純粋な少女だった頃の姿です。

劇場版のゲストキャラっぽい、美少女です

この通り、とても可愛い。
少女カイゼリンは父・カイザーとエルレインの間に入りスカイランドとの戦いを止めようとし、胸に傷を負ってしまいます。それでも父親を守れたことを誇りながら、力が全てじゃないことを信じようとしました。やがてスカイランドとアンダーグ帝国の和解が成立すると、友好の印としてエルレインの人形をプレゼントしようとします、しかしそこからあのハg…スキアヘッドがその野心から全てを無に帰してしまうのです。
ここから長年の悲劇が始まってしまうのですが、こんなカイゼリンにはどうしても報われて欲しかった。レベルで言えば遥かに凶悪な事をやった映画のプリムが許された格好なのに、カイゼリンが悲劇で終わるのは絶対に納得がいかなかった。幸い、傷も負いましたがカイゼリンは生きながらえて、帝国を部下たちと共に一からやり直す形になりました、一安心です。
プリキュアを「友人」と言った瞬間、感動しましたね。

いやホントに可愛い
ちなみにカイゼリンとはドイツ語で「女帝」だそうです

世界情勢と無縁ではなく…

このスカイランドとアンダーグ帝国の過去話、そして黒幕スキアヘッドの言葉でも何度も出てくる「力こそ全て」という敵側の価値観、キュアスカイ達はそれと戦っていたのが終盤の流れです。
先日、一足早く完結したウルトラマンブレーザーでも、異星の生物と対話による解決が描かれたように、「武力による状況変化」を否定する作品が続いています。これも個人的な主観ですが、特撮やアニメでこれを訴えているのは、戦争が続く現在の世界情勢を鑑みてのことではないでしょうか。

力による状況変化は、悲劇を生む。ヒーローは、敵の心を救うものである。

これからの社会を担う子供達に、今の大人達が行っている過ちを、過ちだと知っていて欲しい。力に溺れた者に打ち勝つプリキュアの姿には、そんなメッセージを感じ取りました。

徹頭徹尾、悪の権化だったダークヘッド
どこにでも来るおじさん、などと言われていた頃が懐かしく思えます

考えたくはないですが、現実でも権力者の中にはダークヘッドの思考を持っている人間がおり、人を道具として扱っている事実は存在します。
今作は女児向けヒーローアニメとして、世の中に警鐘を鳴らしていたのかもしれません。

そして、無限に広がる青い空

プリキュアチーム5人のうち3人がスカイランド人なので、やはりラストは別れが描かれました。

荷物が非常に大きかったソラちゃん、何を持ってきてたんでしょう
プリキュア最終回の別れは、どの作品でも涙腺にくるものです

このシーンについて色々語る必要はないと思います。
ましろちゃんの涙すらも美しかった。ソラちゃんは強く、ツバサくんは賢く、あげはさんは頼りがいがありました。それぞれの魅力、絆が映し出される、最高のエピローグでしたね。

ですが!上のあらすじにもあるように、翌日の朝戻ってくるというオチ。
いえ、今生の別れではないですしまた会える、とは言っていましたがそれにしても一日未満で再会は流石に早すぎて笑いました。

みらいとリコなんて何年待ったと思ってるんですか。

ヒーロー・キュアスカイの戦いは続きます

なにはともあれ、一年間走り切ったひろプリ、お疲れ様でした。
20周年も相まってイベントも多数あり、来月には感謝祭もあるようですね。自身、参加したのは映画Fを繰り返し観に行ったくらいですが、思い出深い作品になったのは間違いありません。

万感の思いで拍手を贈るとともに、来週からのわんぷりも楽しみにしていたいと思います。新しい番組になりますが、きっと世界や思いは、青い空で繋がっていることでしょう。
同じ空、つながる仲間 明日へ続いていきます。

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