古今叙事大和本紀 第一章 吉備国の果てまで 4
暫くするとぼんやりと男の姿が目の前に浮きだしてきた。
薄い朱色の衣を纏わせて、左手には今まで見た事のない長細い円形のような石を羅列させた装飾品を緩く持ち、右手には杖のようなものを持っていて、その先から金色の光が薄く放っていた。
その光によってこの男の表情がはっきりと分かった。
切れ長の瞳で、細い鼻立ちがこの男の凛とした表情を作り出している。しかしながら唇はまるで艶やかな女のように厚く、果たしてこの男の歳はいくつくらいなのだろうと岳は思った。
纏わせている衣の感じから