WEBコミック「妻の飯がマズくて離婚したい」を読んだ所感について

先日、とあるWEBコミックがタイムライン上に流れてきたので、全編読んでみました。

これが死ぬほどモヤる内容だった。

とても黙っていられないくらいに…

というわけで、今回の記事は思考の整理のための長話です。万人に腑に落ちる解説など世の中にはないのだと、よくわかってはおりますが…自分の気持ちを落ち着けさせるために書いていこうと思います。


漫画の概要

舞台はとある家族。三人の子供を持ち、奥さんはパート、旦那さんと共働きの生活の中でのお話です。奥さんは料理が苦手なようで、いつも決まった調理法、味付けばかりの食卓が描かれます。子供たちも飽き飽きしているよう。

そんなある日、旦那さんが奥さんに内緒で小遣いをこっそりこつこつ貯め、豪華なディナーを楽しんできたことが発覚。普段の節約を踏みにじられた気持ちになった奥さんは大層怒ります。しかし…

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(第五話 三コマ目より)

この言葉を聞いた旦那さんは逆に大激怒。それというのも、旦那さんの育った環境では、奥さんと「食への考え方」が大きく異なっていたからです。

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(第六話 三コマ目より)

ここから先は、二人の生い立ち、すれ違う様子、歩み寄りが見られないストーリーが続いていきます。公開されている期間は不明ですが、読めるうちに是非どうぞ。


ここから所感

実際のわたし(この記事を書いてる者です)は新婚主婦です。そして家庭料理を作るのが好きで、食への関心は強いほうだと自覚しております。ここから先はそのあたりを踏まえて読み進めてください。

↓前提となりそうな関連記事

まず思ったこと。

1、なぜ結婚前から旦那さんは色々我慢してた??

→優しい嘘だと誰も救われない、という意見を見ました。マジでこれでした。理解されない物事と諦め、隠れてやる様子を見て、それしか取れないくらい限界だったんだなと思いました(責められる要素の増える悪手だとも思ったけど)。ただ同時に、「このままだと持たない。ならば妻に食育をしよう」ぐらいの気合いがあってもよかったと思います。ゆるゆると出前やお惣菜を勧めたり、今回みたく爆発する前に…

2、奥さんは「手料理がまずい」とはっきり言われるまでなぜ何もしなかった??

→公開されてる漫画部分のみですが、ラスト22話で友人にこの質問されてましたね。現代の世の中には、工程や材料・器具がとてもシンプルなレシピが日々ネットにアップされていますし、「時間がないから…」は言い訳にならないでしょう。苦手なら外注すればいい。ミールキット、宅配サービス、お総菜、お弁当、テイクアウト、外食…昔ならいざ知らず、今はそういう世の中です。漫画内でたびたび「お金を節約しなきゃ」と出てきますが、この人の場合お金があっても「外食なんてしても同じ」と思って選択しないんじゃないでしょうか。よって次の点。

3、本当に予算だけの問題なのか??

→「食に時間とお金をかける意味」がそもそも奥さん分かってないんじゃないか、と感じました。「どうせ食事なんてどこで食べてもお腹の中に入っちゃえば同じよ?」のセリフでそれがもうわかりますが、何度も作中でこの言葉が繰り返されています。食を大切にする人間には聞くたびに苦痛で仕方がないと思います…

この3点に共通する根底として「食育」不足があります。

(やっぱこういう時って公共の情報源がTUEEEEよな)

「「食育」とは、様々な経験を通じて、「食」に関する知識と、バランスの良い「食」を選択する力を身に付け、健全な食生活を実践できる力を育むことです。食べることは生涯にわたって続く基本的な営みですから、子供はもちろん、大人になってからも「食育」は重要です。健康的な食のあり方を考えるとともに、だれかと一緒に食事や料理をしたり、食べ物の収穫を体験したり、季節や地域の料理を味わったりするなど、食育を通じた「実践の環(わ)」を広げましょう。」(出典:政府広報オンライン)

要するに、ここでいうところの「手料理がおいしくない」という点よりも、この奥さんの食に対する考えの浅さが悲劇の根本です。レンチンしたお肉にタレかけただけ等、時間やお金をかけることが「無駄」と思う環境で育ってきたからでしょう。一方、旦那さんのほうはべつに贅沢して育ったわけではなく、食材を工夫して美味しく食べることに喜びを感じられるような生活をしてきていました。同じお米でも土鍋で炊いたほうが美味しい、魚は七輪で焼くと美味しい、安い肉でもどれだけ美味しくさせられるかが腕の見せ所…どれも心温まる幸せなエピソードだと思いました。(個人的には大好きなお話でした)二人のすれ違いというよりも、この奥さんの考え方に本当に悲しくなりました。マジでこの奥さんにガチンコの食育してあげたい。旦那さんと子供たちの健康のためにも。


ネットで見た意見についての所感


「奥さんの飯がまずいなら旦那が作れば???」

→最も多かった意見。いや作中で料理してるよ。ちゃんと読んでよ。毎日じゃないにせよ、家族に美味しいもの食べてほしい、食の喜びや工夫の素晴らしさを知ってほしいと頑張ってたよ。だけど「そんなもん無駄」「高いだけ」と思う相手に頑張っても、受け入れられないだけだよね。って話。2ちゃんの「嫁の飯がまずいスレ」でも、手料理が下手というよりもこの手のタイプの嫁様が多いイメージですね…まずいだけじゃなくて、美味しいものを追求したい欲がなくてどうしようもなくなってる感じの。

「食費足らないからまずいもん出されてるだけじゃね???」

→これも多かった。たしかに奥さんは節約頑張ってるけれど、旦那さんの生い立ちでも

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(第十話 三コマ目より)

…と、高いものをねだったり求めてるわけじゃない。大切に調理したら味わい変わるし違うんだよ、と訴えたかったんだと思う。奥さん任せではなく、自分もやってみせてた。で、もしその腕がないなら、世の中の便利なサービス使おうよ…と提案してるけど、「無駄」と切り捨てられてるから詰んでいる。食費増やす提案はしてる。しても意味がないと思われて平行線なのよね。

「養育費がもう少し負担少なければ息詰まることもなかったんじゃないかな。政府の公助とかで」

→一理ある。けれど上記と同じく、本人が食にお金をかける意味を分かっていなければ解決しない。

「飯のうまい嫁選ばなかった旦那が悪い」

→わかってても結婚するときってそういうのだけで見ないもんなんじゃないかな…他に好きなところがたくさんあったらきっと。

「苦手なりにやれてるならやる気が皆無のネグレクトではないと思う。毎回焼肉のタレじゃなくて、味の素やうちのごはんシリーズとか、麹漬けにしたのを焼くとかだけでも変わるのにね」

そもそもここに至れてないんだよね。工夫が足りない、と言われても。至れてたら(言われた通りやってみよっかな…)ぐらいには感じるはずだけど、「お腹に入れば同じ」に帰結する。

「料理下手なりにやれてるだけ偉くない?ちゃんと働いてるし」

→一理ある。ただ今回の話、ぶっちゃけタイトル詐欺だよね。確かに嫁の飯がまずいけど、食の楽しみがわかる人間とわからない人間の話だと思うから。

「料理下手なりにもっと楽でおいしくなる調理法とか探せよ…旦那だけじゃなく子供も望んでるっぽいし」

→まあこれですね。ただやはり…「まずくても栄養がお腹に入れば一緒」の状態から抜け出せないうちは、手詰まりだと思う。

第八話で、喧嘩してるときにありがちな「思ってること溜め込んでること全部吐き出しちゃった」からの「わたしを全否定!?」になっちゃってるし。気持ちが落ち着き、奥さんが食育を理解するまで事態は硬直状態でしょうねー。

「旦那は外で食べれても、子供の健康が心配。給食くらいしかちゃんとしたもの食べられてないんじゃないの?」

→あああああああ本当これ。子供かわいそう。給食のが美味しいってよっぽどだぞ。

「この奥さんに調理されてる食材が不憫。調理じゃなくて買ってきたものだとしても、無駄と思われてるのかわいそう」

→これもわかる。せっかく食べられるために作られたのに、台無しにされてる感じがする。食べ物を大切にしている人からしたらすごく心が痛む。


まとめ

いいからこの奥さんに食育を施せ。話はそれからだ

@daed_a_lus_ 綾織 洛

2021/9/22

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