ファンは「お友達」ではなくファンです。

まえおき

「アイドルの参加するイベントに行ったときに、自分のオタク名刺を渡しに会いに行きたかったのに断られて迷惑がられてしまった」

このような話題を見た。少しぼかしてはいる。

距離感を誤った?
会いたいのは自分だけだった?
そもそも何がいけなかったのか。

どうしてもモヤついたのでまとめさせていただく。友達の体験談ベースだからこそ、ちょっと厳しいことも書いていく。


1.お客様とプロ

イベントを開催し、そこに登場する人は基本的にプロである。プロとひとくちに言っても千差万別であるが、どんな広い会場でもお客様でいっぱいにしてしまう天上の世界の大ベテランから、アマから抜けたばかりの駆け出しの半プロ、くらいの立場の方までさまざま。ここではギャランティをもらってイベントに出るような人、くらいの感覚で話します。

こういう場にお金を払う、ないし壇上にいかない、ないし参加者側の人はみんなお客様。プロの方の友達ではありません。

何度もイベントへ足を運び、熱心なファンをやっていると、気持ちも変わっていくのか。お客様である意識が薄れて、仲良くなれたと思ってしまう。応援だけしていたはずの人に、自分のことをもっと認知してもらいたくなってしまう気持ちが芽生えてきます。

何度も会えている。
自分はこの人と深く関係を結べている。

そう思っているのは、相手も同じなのでしょうか。
いや、そんなことばかりではありません。

基本的に、プロは「お客様」として現場へ足を運んでくれることに対して、接客サービスをおこなっているだけなのです。個別に仲良くなりたいからではない。

(もしも本当に仲良くなりたい人がいるなら、現場の中でそういうことはできない。周りの人の目があるから。
そしてプロ本人からアプローチが直接コソッとくる。ダジャレではない。)

そりゃファンと個別に、プライベートまで仲良くなることによって応援に熱を入れてもらいたい、という売り方をしてるアイドルなんかもいます。正直危ういと思う。お店や現場外のことは、本人任せになりスタッフがすべてを守りきれなくなるから。犯罪がいつ起きてもおかしくないでしょう…?

閑話休題。

ちなみにこれはプロの話であり、一般人だとまた全然異なる話になる。一般人はもっと俗物的な判断基準に則って動くからね。

プロの方とお友達になるのは実質的に不可能と思われます。次章はそれを話します。


2.なぜプロと友達になれないのか

「友達になれないのか」
「友達になってはならないのか」
「近付きすぎてはいけないのか」
…どれにしようか迷ったけれど、結局これで。

前章で述べたとおり、イベントには来てほしいんですよ。プロの方が出る場には、お客様としては人数増えてほしいんです。応援もされたいんです。

アイドルは認知されないと消えてしまう生き物です。妖怪変化や神様と変わらない存在です。どれだけの人から応援されるか、が活動の幅を決めるポイントだからです。

なので、駆け出しのころは数少ないながらも着いてきてくれるファンに強めのサービスをします。応じられればサインや写真、握手なんかもします。もっと過激なサービスを行う地下アイドルもいますよね(本筋ではないので割愛します)。

ですが、そこそこ名のある活動を伴い始めると、ファンの数も増えていくため、全てのファンに平等に振る舞うことが難しくなります。

例えば、一人のファンから連絡先を聞かれる。
個人の連絡先やプロフィール、名刺、プレゼントを渡されてアプローチされる。
「○○県でイベントがあります!」と言うと、近くまで来てイベント外の場で会おうと提案される。

こういうのも、ファンからしたら「自分は健全なファン!」「ただお話したかっただけ!」と思うもの。
ですが、多くのファンを抱えるプロからしたら、イベントの場から外れるお声掛けは迷惑にしかなりません。

もしも断りきれずに一人のファンの求めに応じてしまったとします。
そのファンの方はとっても嬉しいですよね。
○○さんにこんなことしてもらえた!仲良くなれた!と喜んで吹聴します。

ですが、その行為がプロの方の事務所や運営ルールに違反していたら?
もう二度と、応援してるその方は表の世界へ出てこられません。活躍の場を自分のエゴで奪ってしまうことになります。

ファンの方からしたら、健全な意味でしかなかったことも、他の悪意のあるファンに同じことを求められたらそのプロの方に被害が出ますよね。断れないでしょう、一度でも応えてしまえば。模倣はとまりません。

ガチ恋勢だってとまりません。
もっとプライベートなところにも近付いていいんだ!
と、勘違いを与えることになります。
あの人達は怖いです。どんな個人情報でも突き止めてきます。軽はずみと思ってなかった行為が、実は軽はずみだったと後悔してももう遅い。全てが後の祭りとなってしまう。

自分たちを楽しい思いにさせてくれるひとに悲しい、怖い思いをさせてはいけないよ。

じゃあ結局プロが求めてるのは自分らの時間とお金か!!?💢💢
と怒る気持ちもわかります。でも残念ながら本質的にはそうです。夢と希望を我々に与えてくれる代わりに、その場への参加費を支払いするシステムなのです。

これが理解できない人は、芸能界を応援することにそもそも向いていません。絶対に近づけない二次元キャラへ愛情を向けたほうが幸せになれるタイプです。もしくは、現実でともに連れ合える仲間を探したほうが良いです(あえて仲間としました、こういうのは恋人とは限りません)。

何度も言いますが友達の体験談ベースなので、立ち直ってほしいと背中を押す意味で書いています。本人が読むかはともかく。


3.気持ちの持ちようで世界が自分を見る目が変わる

よく言うじゃないですか、
「気持ちの持ちようで自分は変えられる」って。

でも、自分がどう思うかの前に、変える前に。人が自分をどう見てくれるかを意識して、よく思われたら。
もっと心健やかに、気持ちを持ち直せると思うんですよ。

例えば、納得行かないことがあったとき。
納得行かない原因に、
「これだから女(男)はいつもこうなんだよ…」
「これだから若いやつ(年寄り)はダメなんだよ…」
みたいな締めの言葉をつけていませんか。

これ言うとマジで速攻で人から嫌われます。
好かれる時は訪れません。
言うなら個々を嫌え。所属する属性を嫌うな。すべての機会を失っていくから。

例えば、会社や学校の輪の中で、自分のことだけがハブられてしまった。

ハブってきた人が本当に心無い嫌な人の可能性もあるが、
そもそもなにかしてしまってないか?
こんなことが挙げられる。

自分にとっては気にも止めない発言だったけど、その人にとってはショックなことを口走ったりしていないか?(無意識な傷付け)
その人が嫌うような格好をしていないか?(清潔感)
その人が触られたくないものにむやみに触れたことはないか?(私物や身体への接触)
その人は自分と仕事上の付き合いだけしたいのに、自分はそれ以上近付いていくようなことをしていないか?(距離感のバグ)

じつは一番多いのが無意識な傷付けだと思います。
何気なく言ってたことがめちゃくちゃマズいことだったとか、言われたくなかったことが突き刺さってただとか、人間関係の揉め事だとしょっちゅう起きてること。

でもこうやって自分がやってきたことを振り返ると、人がされて嫌なこと・嬉しいことを想像して動いてあげられる。

ここでの注意点は自分がされて嬉しいことが、相手にとってもそうとは限らない。あくまでも相手の立場優先。そうするとその先どんなお仕事でも役に立つし、自分のことばかりの人生から脱却できて人が自分を見る目が変わる。見る目が変われば、自分に近付いてくる人も変わるし、自分が近付ける人も増えていくってこと。

最近あったキャンプ場の声掛け事件もそうだよね、人から離れたくて人里を逃れ自然の中に来ている人は、人間にとくに用事はない。人間に用事がある人は最初から連れと来てる。だったら、話しかけてはいけない。困ってるようだとか、危険が迫る瞬間だけお互い様で助け合えばよかっただけ。

声掛け失敗して、「興味ねえよブ○!」みたいな捨て台詞吐く人、この世で一番カッコ悪い。書きたくもないので伏せ字。


おわりに

大したことも書かないまま3000字を突破していたしもはや丑三つ刻も過ぎようとしている週末の夜。落ち着かない気持ちを言語化したくて日記を書いてみたが、ひとまずケリはつけられた。ように感じる。女神なんてなれないままみんな生きてんだよ。せめて聖人くらいは目指させてくれ。

アイドルやってる子ってみんなすごいよね。
わたしにできないことを出来てるひとはみんなかっけえわ。


2023.6.24
@daed_a_lus_
綾織 洛

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