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ロシア・ウクライナ情勢-ネオナチ発言について-③

前々回の記事をご覧頂いた皆さまありがとうございました。
さて、少しばかり情報をアップデートしたので、補足的な記事になりますがどうぞ。

※4/9 "公安調査庁 国際テロリズム要覧2021の「アゾフ大隊」に関する記載の削除について"を受けて追記。

<前々回の記事はこちら👇>

私の現時点での考えとしては、以下の通りで、大枠は変わっていない。

①ウクライナにはネオナチや極右がいる。その中には一部過激派もいると指摘もある。これを以ってネオナチと表現する人もいる。広義の意味で反ロシアをネオナチと解釈する人もいる。なお、過激な極右やネオナチ思想に警鐘を鳴らし問題視する点においては同意するが、これも行き過ぎた攻撃材料に変換されていると感じる。

②たとえ、ネオナチがウクライナ政権や軍隊に入り込んでいたとしても、それを理由にロシアのウクライナ侵攻を正当化することは出来ない。

極右化への警鐘

まず極右化を警鐘する記事から見てみよう。
(引用記事もそういうポジションで書いている)

ウクライナに集まる義勇兵について

ウクライナには2014年以降、すでに「義勇兵」が数多く集まっていたが、戦争犯罪や人種差別といった問題が指摘されてきた。
なぜウクライナ「義勇兵」が欧米の過激派の育成になるのか。端的にいえば、これまでに「自由と民主主義のため」というより「白人世界を陰謀から守るため」ウクライナに集まる者が数多くいたからだ。2014年のクリミア危機をきっかけに、ウクライナでは祖国防衛を掲げる民兵がロシア軍と戦闘を重ねた。
その代表格であるアゾフ連隊には、欧米各国から活動家が次々と加わり、その数は2015年段階で総勢1,400人にも及んだ。
クリミア危機の後も、東部ドンバス地方ではロシアに支援される分離主義者とウクライナ側の戦闘が断続的に続き、アゾフなどはその最前線に立ってきた。
ところが、国防軍の一部となりながら、アゾフはナチスを賞賛する一方、人員のリクルートや訓練を独自に行なってきた。歴代のウクライナ政府は、ドンバスの分離主義者やロシアに対抗する必要から、アゾフの問題行動(後述)をほぼ黙認してきた。
祖国防衛を掲げるアゾフなどウクライナ極右は、「ウクライナらしくないもの」を排除するため、LGBTやロマ(ジプシー)を迫害してきた。
アゾフは「プーチンはユダヤ人だ」といった人種差別的なヘイトメッセージや陰謀論をSNSで拡散し、欧米の白人極右を惹きつけてきた。
ウクライナの現在のゼレンスキー政権は基本的に中道系で差別的ではないが、ドンバスの分離主義者やロシアに対抗する必要から、アゾフなど極右の活動を取り締まれなかった。

引用元:

ウクライナ「義勇兵」を各国がスルーする理由──「自国民の安全」だけか?


ウクライナの「外国人義勇兵」募集に潜むリスク

一方で、プーチン大統領は24日の侵攻開始にあたって、目標をウクライナの「非ナチ化」と説明するなど、政府とこれらのグループとのつながりを誇張し、侵略を正当化する口実としている。
アメリカン大学で過激主義者の研究を行うシンシア・ミラー・イドリス教授は、プーチン氏の主張は誤りであり、大半の外国人戦闘員は過激主義と関連がないとした上で、「紛争は明らかに、過激主義者が、実戦訓練とネットワークを求める外国の白人至上主義者をリクルートする機会をもたらしている」と指摘。さらにウクライナで先鋭化した外国人戦闘員らが、軍事訓練と戦術スキルを自国に持ち帰る危険もあるとしている。

“プーチンの「非ナチ化」の主張が違うとしても、ウクライナのナチス問題は現実のものである。

ええ。極右化の警鐘は分かりました。

アゾフの影響力って?

アゾフは国家親衛隊の派閥となったが、彼らをキエフ政権と同一視することは、彼らの規模と影響力を誇張する。

ウクライナの常設軍は合計で約20万人の軍隊。アゾフは900〜2,500だという。

数からするとウクライナ軍=アゾフとはならない。
なお、アゾフは自分の命を捧げてでも国を守る、戦闘能力に長けているという指摘もある。ただし、これを以て軍の中枢をコントロールしているとは断定出来ないだろう。

紛争地域を監視するOSCEにはロシアも含まれている事実

ドンバス等の紛争地域は、2014年3月以降継続的にOSCEにより監視されているが、活動レポートにはロシア側が主張するような「虐殺」の記述はない。
なお、OSCE構成国にはロシアも含まれている。

ネオナチ関連の概要について、よく纏まった記事

少し視点を変えて

ウクライナの退役軍人省と極右の関わり


ロシアの右派による反ユダヤ・ウクライナの攻撃的言説の考察

リサイクルデマ

「ネオナチだから侵攻してもよい」というロシアのプロパガンダをブーストさせるために利用されるアゾフ。また反米や極左も一部これに乗っかってウクライナ叩き(ウクライナ侵攻と極右警戒は別物だと論じている方々もいるので全てが近視眼的ではない)

2014年の古いプロパガンダ画像、そしてアップデートされていないアゾフの情報が切り取られ攻撃の材料となっている。


親ロシア派の分離・独立運動によって結成された地域で構成される自称国家「ノヴォロシア」の旗(右下)がアゾフの旗(上)にすり替えられる。

では…ロシアには極右やネオナチは居ないの?

→いますとも。

2020年4月米国務省は、ロシアの白人至上主義極右団体「ロシア帝国運動(Russian Imperial Movement、RIM)」を国際テロ組織に指定した。通常、米当局が国際テロ組織に指定するのはイスラム過激派で、白人至上主義団体に適用するのは初めて。

ロシア帝国運動(RIM)は、ロシア国内で、ドイツから来たネオナチをトレーニングしている。
ワシントン州国務省のテロ対策専門家ネイサン・セイルズ氏によれば「RIMは、ネオナチと白人至上主義を擁護する人々に準軍事的訓練を提供するテロリストグループです。」だという。

公安のアゾフが載っているページに「ロシア帝国運動」もしっかりと記載されている。

よくこの公安を根拠に「アゾフネオナチ危険危険」と騒ぐが、「2014年ウクライナの親ロシア派武装勢力が東部・ドンバスの占領を開始したことを受け」という前提がまずあることに留意したい。


公安調査庁 極右過激主義者の脅威の高まりと国際的なつながり

"公安調査庁 国際テロリズム要覧2021の「アゾフ大隊」に関する記載の削除について"を受けて追記。

「国際テロリズム要覧2021」中の「アゾフ大隊」に関する記載の削除について

ロシアの傭兵企業ワグナーグループも無視出来ない。ワグナーはロシアの軍事情報機関GRUの下部組織と見られているという指摘もある。

英国国防省によると、ウラジーミル・プーチンと強く結びついているロシアの民間軍事会社は戦闘作戦に着手し、すでに配備を開始しているようだ。

<参考>

ロシアのウクライナ侵攻の背景を読み解く



当記事を書いている途中で次々と情報が入ってきて、記事を出すタイミングが遅くなってしまった。中々上手く纏まらなかったが、お読み頂いている方に何かヒントになればと思う。

以上
お読みいただきありがとうございました。

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