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ごちそう 49

 本当に美味しいものを食べたときの「ワクワクドキドキ」の感動は、生涯において忘れられません。
 モノで与えるよりも、体の身になるモノ、感動を与える方が子ども達には効果があり大切な財産となるのです。
 その中でも子どもの頃のごちそうは一生忘れられない思い出の味になります。
 例えば、病気をした時だけに食べられるメロンやイチゴや葡萄等の高級フルーツ。
 お出かけをした時の遊園地やデパートのお子様ランチやカレーライス。お祭りの時に食べたたこ焼き、誕生日の時にしか食べられないステーキやケーキ、クリスマスの時にしか食べられない、もも肉、お正月にしか食べられないお雑煮やおせち料理、お月見のお団子や柏餅。特別な日にしか食べられない、お寿司やうなぎ丼なのです。
 普段のごちそうなら、お肉屋さんのコロッケやメンチカツ、ポテトフライ、学校行事でのカレーライス。 また、子ども時代には、駄菓子屋さんで食べたお菓子やおでん、焼きそばやお好み焼きの味は、今でも忘れられません。
 飲み物で言うならば、初めて飲んだ時のコーラ、チェリオ、ヤクルト、カルピスの味は忘れられない味だと思います。
 一方で自分にとっての忘れられない味は、十代の成長期に食べていた、アイスクリーム、フルーツポンチかもしれません。    
 ところで、味覚には「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の五味があると言われています。
 ①甘味の役割は、エネルギー源である糖の存在を知らせるようです。
②塩味の役割は、体液のバランスに必要なミネラル分の存在を知らせるようです。
③酸味の役割は、腐敗している、果物などが未熟であることを知らせるようです。
④苦味の役割は、毒の存在を知らせるようです。
⑤うま味の役割は、体をつくるのに必要なたんぱく質の存在を知らせるようなのです。
言い換えれば、味覚とは生きて行くために必要なものを識別する大切な能力なのです。
 そして、子どもが「おいしい」と感じる要素は味だけではなく、食材の色や形、舌触り、ニオイ、大きさなど全ての五感情報を脳に取り込んで、おいしいと判断する仕組みになっているようなのです。
 食べ物と言うと、味に拘ってしまいがちなのですが、五感のなかでも最も原始的な臭覚は、その情報がダイレクトに大脳に伝わるため、味覚よりも強く正確に記憶されると言われています。
 味よりも、美味しい匂いを嗅いだ時のほうが、ハッキリと昔の美味しかった体験が、蘇って来るのです。 
 子ども達には、出来るだけ幼い頃から、たくさんの素材の味を経験させること、特に匂いと一緒に体験させておくことが、最も大切なのだと言えるのではないでしょうか。

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