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守衛の犬
2023年9月12日 22:00
今年の初夏に京都でひとに薦めてもらって、山岸由佳という俳人の句集『丈夫な紙』(素粒社)を読んだ。歌集とくらべると句集を読む機会はすくないので、俳句という形式が有する表現そのものへの発見や気づきばかりに意識が向いて、まだ振り回されている感じがする。 たとえば後半の「鳩のゆめ」という章のなかで「春日部さくら霊園八句」という詞書が置かれたうちの二句目に、こんな句がある。 この句に私は不思議なほど
2023年9月3日 01:08
東直子『春原さんのリコーダー』(本阿弥書店)の栞には、穂村弘による「無限喪失/永遠希求」という文章が寄せられている。ちくま文庫版には本文巻末に、穂村弘の単著では『短歌という爆弾』(小学館文庫)にも収められているこの文章は、東直子という歌人を論じるにあたって重要な文章のひとつだろう。何より「廃村を告げる活字に桃の皮ふれればにじみゆくばかり 来て」という一首を引いての鑑賞には非の打ち所がない。優れた