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幼稚園へ転園

保育園へ入園して1年、子供達が環境に小慣れてきたのもつかの間に転園が決まった。東の果ての小さな町では待機児童の問題などは無縁だと思っていたが、すこし緩やかになってその波は訪れた。来年度入ってくる児童を受け入れるのに、人数調整が必要とのことだった。当然のごとくゴネはしたものの、場合によっては抽選で兄弟が別々の園に回される可能性がある、と軽い脅しを受けた我々家族は素直(?)に、町内の仏教徒を一手に引き受けている浄土宗系のお寺が町と一緒に管理運営する幼稚園への編入を決めた。お寺の住職でもある園長先生からそこはかとなく漂う芸能系の業界の匂い。聞けばこのお寺に婿入りした後継者で、お寺で夜に時折開かれるDJイベントはその住職さんの主催らしい。都会の方では寺社で音楽系のイベントが開かれることはそう珍しくない。もともと、木魚に乗せて唱える経と、4つ打ちリズムのテクノやハウスミュージックは親和性が高いのだ。お経を聴くために作られているお寺のお堂はもともと音響的にも理にかなった構造で作られている。


お寺のあらましと今回の編入はまったく関係はないが、子供達は毎日の昼食の際に両手を合わせて「ののさま」に感謝を込めることが通例となった。ちなみに他の選択肢として、もう一つ町唯一の教会が経営するカトリック系の幼稚園があり、奇しくも子供たちはここで当面の宗教を指定されることとなった。選択肢の極端さに少し困惑したが、特にどちらの宗派にも文句はないのでここでは何を言うこともない。

「ののさま」とは、仏様や神様、大地や自然など尊いものを全体的にさす言葉だそうで、子供がその名を発したときの舌ったらずな響きを除いては特に違和感は無かった。食事前の挨拶としてはまぁ適切な気もするので良しとしよう。うちの実家も浄土真宗だし。

お寺が経営する、ということを除くと、他はまったくなんの変哲もない一般的な幼稚園であった。奥さんの母校(園?)ということで、廊下の上方にずらっと掲示された各年度の記念写真には幼い時の奥さんの年代のものもあり、懐かしそうにそれを眺めている。月並みだがその面影はやはり娘に似ている。今では大ベテランの保育士さんの若かりし、そして一瞬目を奪われるくらいの美しい姿も微笑ましい。問題ないんじゃない?と入園が決まった。

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父親目線での三つ子育児日記 保育園から幼稚園卒業まで

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