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働き方と生き方

やはり家に居なきゃ、と、気持ちは北海道で落ち着く方に向かっていた。ありがたいことに、この移動の面倒くさいフリーランスと付き合ってくれるクライアントは少数ながらあり、この人達との関係を大事にしながら、北海道での暮らしを探っていくか…と。たまに芋掘りながらでもまぁ良いのかも知れない。方言も少し使えるようになって、やっと北海道の土地にも馴染んできている自分がいた。

そもそもこんな、行ったり来たりの生活をよく今まで続けられたなと思う。自分の部屋をその都度移動させて仕事をするようなもので、落ち着く暇がない。寝床も安定せず腰をかなり悪くしている。ソファーは座るものであって、寝るものではないのだ。

まだコロナの来ていない当時テレワークという言葉はなく「ノマド」や「多拠点居住」などの意識高い系のカテゴリに無理やり自分をはめ込んで周囲に説明していた。新しい言葉なので耳触りは良かった。このまま都内のシェアハウスでも使うか…?など考えたが年齢層も価値観も若すぎて入る気がしない。今で言うリモートワークも既に板についていたが、いかんせん回線が細い。この地域には5Gはいつ来るんだろう?と親戚に聞くと「5年後、かな?」と返ってきた。どれもこれもまだまだ世間的には新しすぎる、浮ついた概念に思えた。まだ早すぎるのだ。過ぎたるは及ばざるが如し。いつも先に行き過ぎてしまう考えを現実へ落とすのに苦労している。

うちの家庭は父が事務所を持たないフリーランス、母は非常勤の看護師そして幼稚園児の三つ子ということで、仮に家族一緒に暮らしていれば両親が2人とも家を空けることは最小限に止めることができる。家の中に仕事部屋をしっかり作っておけば合間に子供の世話も十分こなせる。これは現在のコロナ禍でテレワークに移行した人々も肌で感じたメリットの一つではないかと。家事の分担なども幾分やりやすいはずだ。もともと自分もそういう生活をイメージしていたのだが、このときの状況というと父親は遠く離れた仕事場で一人離れて暮らすという、リビングと仕事部屋を繋ぐ廊下が2000kmある状況。そもそも単身赴任というのは勤め先の都合で仕方なくやるもので、自営業者はもっと自由に働き方を選んで良いはずだ。その選んだ結果が2000kmの廊下なんて馬鹿げている。ずっとそう思いながら過ごしていた。こんな生活は早く終わりにしないといけない。精神的にも資産的にも無駄な浪費が激しすぎる。今のところ、その答えは北海道に留まることであると。気持ちがまとまりつつあった。

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父親目線での三つ子育児日記 保育園から幼稚園卒業まで

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