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記憶がない

殆ど記憶がない。

何とも2年近い月日が経ってしまっている。うる覚えになってしまうのも無理はない、が、それだけではない。本当に、この時期の記憶が何とも薄いのだ。
飛ばしてしまって、現在のことから書くのは簡単だけれど、何とか思い出して書いてみようと思う。


SNSの履歴から当時の投稿を探る。三つ子達が歩行器に乗って、今を走り回って(?)いる写真が多い。このころは殆ど東京に居たはずなので、奥さんが送ってきた写真だろう。何しろ写真を送って欲しかった。できるだけ沢山。写真から目を逸らすと、言いようの無い孤独感で押し潰されそうになるからだ。街を出歩いても全く楽しめない。今この時期に1人で出歩いて何が楽しいというのだ。子供の顔が見れない、近くにいない、抱けない、というのは、身を引き裂かれるような、もっと言えば身体中を精肉用のハンマーでぐしゃぐしゃに叩き潰されるような、とてつもない孤独感があった。
やることと言ったら、仕事しかなかった。何せ、他の何も楽しめないのだから。皮肉にも音楽というのは、空気の振動を人為的に操作して作るもので、その振動はある程度、人の感情をコントロールすることが出来る。今置かれている境遇を忘れてしまわないまでも、孤独感を紛らわすには恰好の手段であった。2年近く経った今でも、少し似たようなことに「仕事」を利用しているきらいがある。
恐らくだか、この頃はワンルームと作業ルームの往復をひたすら繰り返し、たまに来る来客との会話をそれとなくやり過ごし、ただただ日が過ぎるのを待っていたような、薄ぼけた記憶が残っている。それだけ。

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父親目線での三つ子育児日記 退院後の子育て開始から北海道移住まで

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