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『ダブドリ Vol.2』 インタビュー06 大阪籠球会(フリースタイルバスケットボールチーム)

(変える)2018年3月15日刊行(現在も発売中)の『ダブドリ Vol.2』(ダブドリ:旧旺史社)より、大阪籠球会さんのインタビューの冒頭部分を無料公開いたします。なお、所属・肩書等は刊行当時のものです。

2018年2月14日、日本人フリースタイルバスケットボールチームとして初めて本場NBAでパフォーマンスを行った大阪籠球会。そんな彼らにも苦難の歴史があった。

NBAでパフォーマンスしたくて、あてもないなかチームで渡米。ジャマール・クロフォードのお母さんが担当者と交渉してくれた。(KAN)

※本インタビューは大阪籠球会がNBAでパフォーマンスを行う約1か月前の1月に実施された

大柴 2月にNBAデビューということで。おめでとうございます。
一同 ありがとうございます。
大柴 NBAデビューが決まったときにSNSで拡散されていたトレーラーを拝見しました。きっかけは2016年のサマーリーグのショーに行ったことだったとか。それも出演が決定する前に乗り込んで行ったって聞いたんですが。
ISE そうですね。
大柴 それはどういう話から始まったんですか。
KAN 僕が子どもにバスケを教えるスクールをやっていて、毎年、アメリカのシアトルに行ってたんですよ。その流れでサマーリーグも毎年、見に行っていたんですね。で、ここでパフォーマンスできないかなってずっと打診してたんです。でもなかなか決まらなくて。それで2016年、また行くタイミングで、僕からメンバーに言ったんです。「決まるか分からんけど1回行って、みんなで交渉したら何とかなるかもしれへん」って。
大柴 おおお。
KAN で、行って交渉してみたら、できた。
大柴 すげえ。メンバーの皆さんはKANさんから「行ってみよう」って言われたときはどんな感じでしたか。
mic まあ、KANさんはKANさんで、「自信がないわけじゃなかったんだよな」って言ってましたよね。
KAN 自信はあったよ、全然。
mic 半分乗っかったみたいな感じですね(笑)。
ISE ま、実際行きたかったしね。
mic あとサマーリーグ自体、ジャマクロ(ジャマール・クロフォード)とか、自分が知っているNBA選手が出るっていうのが魅力でしたね。最悪、パフォーマンスできなくても、なにかしら繋がりとかはできるかなってのもありました。
大柴 皆さんは普段NBA見られるんですか。
FATBOY ちょいちょい。
ISE えーと、テレビを見る環境がないんで。
一同 (爆笑)。
BON 物理的に。
KAN 見る環境が無いの、やばいわ。
大柴 フフフ。
ISE 見るならスマートフォンで見る。ハイライトとか、順位を見たりね。
KAN テレビないってやば過ぎるやん。
一同 (笑)。
KAN でもシアトルに行くと、さっき言うてたジャマクロもそうっすけど、アイザイア・トーマスとかも。あとはザック・ラビーンとか、ネイト・ロビンソンとかいるんですよ。
大柴 おおお。
KAN 僕、向こうでもトレーニングをするんですけど、その場所がアイザイア・トーマスとネイト・ロビンソンと一緒なんですよ。一度、アイザイア・トーマスとトレーニングパートナーになって。僕が前・アイザイア後ろと、アイザイア前・僕が後ろで、一緒にトレーニングしましたね。
大柴 すごい。
KAN オフシーズンには結構接触できるというか、みんなめちゃくちゃフレンドリーにしゃべってくれますよ。なんか、「よく来てるね」みたいな感じで。だからシアトル、結構日本人ウェルカムな場所かなと思います。
大柴 何者だか分かってんすかね?
KAN でも、もう認識はしてくれてる感じですね。大阪籠球会っていうチームに関しても。例えばFATがパフォーマンスをやったら、やっぱりジャマクロもブワーって沸いてたし。
大柴 ジャマクロを沸かせた男。
KAN 響きがすごい(笑)。
FATBOY 彼のお母さんも気に入ってくれて。
大柴 へえー。
KAN そうなんですよ。それも、むちゃくちゃ。
FATBOY だから、なんか「あんたら付いてきいや」みたいな感じで、向こうの人たちとパフォーマンスの交渉してくれたりして。
大柴 ジャマクロのお母さんがまるでエージェントに(笑)。
FATBOY そうそう。すごい優しさが伝わりましたね。
大柴 へえー。あ、そっか。じゃあ、そういうつながりもあってやらせてもらえたと。
FATBOY そうですね。3回ですよね。アメリカでパフォーマンスやったの。
ISE そうそう。1回目が何分出てたんやったっけ。向こうからは何分やっていいよって言われてて、それに対して僕らも構成を作って。
KAN たしか5分かな。
ISE ちょこっとなんですよ。ちょこっとやから、普通やったら最後までね、終わるまでやらしてもらえんのかなと思ったら。
FATBOY 音、なかったやんね。
ISE そう。音響トラブルがあって。結局ショー途中やのに、MCが「終わり、終わり」みたいな。
KAN 帰れ、帰れみたいな。
ISE えー、ってなって。で、急遽あれやんな、構成変えたんよな。
mic そう。音の編集をその場でして。次までの間に1分半ぐらいに無理やりおさめて。でも次があるとかもまだ決まってなかったんで。
大柴 ああ、はい。
mic そのタイミングとかで、お客さんとかに「どうだった?」とかお話聞いたりとか。で、またちょっと修正してみたりとか。そん中でジャマクロのお母さんを見つけたんです。
大柴 なるほど。
mic すごく喜んでくれてたんですよ。で、「せっかく日本から来たから、もっとパフォーマンスしてきたいんだけど」っていうことを言ったら、オーガナイザーさんの所に連れてってくれたんです。「もっとやらせてよ」みたいな話になって。
KAN でも最初はオーガナイザーも横に首を振ってたんです。「もうええやろ」みたいな。だけどジャマクロのお母さんが言ってくれたら、OKに。
大柴 ハハハハ。影響力強い。
KAN いや、すごかったっすね。
BON 公開した動画の中にもちょっと映ってます。
mic 俺と、あと多分KANさん映っています。大きい女の人について行って、最後「OK、よっしゃー」ってやるんですけど、その前にいるのがジャマクロの母ちゃんです。
石川 大きいって、ジャマクロのお母さん、太ってるんですか。
FATBOY そうですね。
ISE 太ってます。
石川 ジャマクロの分、食ってんじゃないの?
一同 (爆笑)。
KAN あり得ます。
大柴 食っても太らなそうですよね。ジャマクロ本人は。
石川 ねえ。遺伝じゃないですね。
ISE そういえば会場に、ショーン・ケンプやったっけ。彼も来てましたよ。
大柴 おお。ケンプとかまだ、シアトルに住んでるんですかね。
FATBOY シアトルでお店やってるとか。飲食店かなんか。
ISE 場内の放送で、「ショーン・ケンプ来てます」みたいなこと言ってました。
大柴 やっぱりまだビッグネームなんですか。盛り上がるんですか、会場は。
FATBOY めちゃくちゃ盛り上がりますよ。
ISE 個人的にもめっちゃ上がりましたけどね。
FATBOY 思いっきり世代やもんね。
ISE ショーン・ケンプだけのビデオテープ持ってましたもん。「レインマン」の。
KAN 知ってるわ、それ。ダンクやばいよな。
大柴 僕も昔、リーボックの「カミカゼ」履いてました。
ISE 復刻しましたよね。俺なんか仙台行ったときにクラブで、カミカゼと、ショーン・ケンプの古着の、チャンピオンのユニホームまで合わせた女の子がいて声掛けましたもん。
大柴 アハハハ。若い子なんすか?
ISE 若かったですね。
石川 レインウーマンね。
大柴 レインウーマン(笑)。
BON ムチャクチャや、ハハッ。
KAN 持ってるな、話題も全部。
ISE 「それ、ほんま意識して買ったの?」って聞いたら、「いや、なんか調べたら出てきたんで、古着屋で見付けて買いました」みたいな。
BON そこで合わしたんや、すごいな。
ISE 「いけてんなあ」って。
大柴 アハハハ。それで連絡先交換して。
ISE いや、してないすね。
BON そこはしてないんや(笑)。
ISE 自分で盛り上がって終わっちゃいました。
KAN やばいな、それ。

オープニングをやって、次はハーフタイムショー。最終的にはオールスターでパフォーマンスをやってみたい。(KAN)

大柴 話を戻しますけど、それがきっかけでNBAも決まったと。
FATBOY そうですね。行ったから、交渉できるっていう話が分かったというか。実は僕らが行ったときが、NBAのSHOW TIMEの締め切りやってんね?
KAN うん。ずっと打診はしてたんですよ。シアトルに行ったときも、そこの人たちがポートランド・トレイルブレイザーズともつながりがあるって聞いてたから行った側面もありますし。シアトルからポートランド、近いですから。だからその関係で、僕らは「大阪籠球会」っていうチームをやっていて、NBAでパフォーマンスをやることが夢だと、ずっと伝え続けてたんですよ。
大柴 はい。
KAN で、みんな行ったタイミングのときにパフォーマンスを実際に見せた。そうしたら、ブレイザーズ側から映像を送ってくれって話になったんです。それで、OKっていう返事をもらったって過程でした。
大柴 ほお、すごい。
KAN あのとき行ってなかったらそのきっかけすらなかったし、送ることもなかったと思います。そこまで行ってなかったんですよ、僕が1人で行ってたときは。だからチームでパフォーマンスして、そこから人づてにブレイザーズにつながった感じですね。
大柴 すごいっすね。
KAN だから結構ラッキーだったというか、行ったことできっかけをもらえた、みたいな感じっすね。
大柴 まあ行かなきゃね、何も始まらんですよね。
KAN そうですね。ありがたいです、本当に。
大柴 でも今回はすごい好カードですよね。相手がゴールデンステート・ウォリアーズ。ガード同士もスターだし、思ったよりポートランドが頑張っててプレーオフにもなんとか行けそうだし。今度のパフォーマンスはハーフタイムですか。
KAN オープニングです。
大柴 オープニングか。さすがにNBAだと尺が云々、ってことにはならないと思うんですけど。
KAN 大丈夫だと思います。ただ、おそらく照明とかは全く使えないっていう感じなんで、結構ラフな感じですね。なので、僕たち的にはそこからきっかけにしてっていう感じなんですよ。今回はこれをやって、次にハーフタイムにつなげられればいいかなっていうのと、その後アメリカで他でも活動できればいいかなと思っていますね。
大柴 やっぱりショーの花形はハーフタイム?
KAN そうですね、やっぱり。なので、そこに行くために次はどうするか。そしてハーフタイムにつながってから、オールスターとか行ければなあと。日本人で初めて、ってのがそこまでつながっていけばいいなっていうのがありますね。
大柴 今、NBAでハーフタイムショーやってる「レッドパンダ」って分かります?
KAN 分かんないです。
大柴 一輪車に乗って皿回してるおばちゃんが全米を回って、結構変なのやってますよ。
BON 知ってる、知ってる。
大柴 あれだったら一見、倒せるんじゃないかって思いますけど。
mic 名物的な盛り上がり方してますよね。
石川 あとは、積み上げた椅子の上で逆立ちするおじさんもいますね。
KAN・ISE えー。
大柴 それと、一輪車の上で皿回すおばさんが二大勢力みたいな。
石川 日本人のダンサーの人もやってましたよ。
大柴 あ、まじですか。
mic 蛯名健一ですかね。あの人は『アメリカズ・ゴット・タレント』からの流れで。
石川 すごいっすよね。
大柴 ああ、首落ちる人?
mic そうです、そうです。
石川 すげえ広いコートの真ん中でやってるから、特に何が起こってるのか誰も分からず、そのまま終わっていく感じです。
一同 (笑)。
BON すげえな、それ。
石川 結構切ない感じに終わってましたよ。
大柴 会場はね。一応、大型ディスプレイで流してくれてんだよね。
石川 そうそう。でも、なんかすごい。
大柴 リーグパスで見るとまだマシだけど、会場で見ると、ポツンとした感じがすごいでしょうね。
KAN 小粒感やばいっすね。

大阪籠球会締め用

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この後も、京都大作戦の裏話や初期の頃からの変遷をたどるなど、わいわい話してくださっています。続きは本書をご覧ください。

ダブドリVol.2の試し読みコーナーは今回で最後となりますが、次号Vol.11が2021年4月30日発売予定となっています。次週からのダブドリ試し読みもお楽しみに!

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