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『ダブドリ Vol.9』インタビュー01 田渡凌(横浜ビー・コルセアーズ)

2020年5月9日刊行(現在も発売中)の『ダブドリ Vol.9』(ダブドリ:旧旺史社)より、田渡凌選手のインタビューの冒頭部分を無料公開いたします。インタビュアーは、元Wリーグ選手で近年は3X3で活躍する岡田麻央さん。なお、所属等は刊行当時のものです。

『テラスハウス』に出たことで、「もっとやんなきゃいけない」というモチベーションにつながった。

岡田 『テラスハウス』に出演して、バスケ仲間内からなんか言われた?
田渡 言われましたよ、勇樹(富樫勇樹/千葉ジェッツふなばし)とかには「なんか凌が住んでても違和感ない」って。それが結構多かったですね。あとは「凌は誰とでもしゃべれるから。全然、普通に暮らせそうだよね」みたいな。
岡田 私、凌が出るって言ったから見たの。でも大変そうだな、と思ったもん。
田渡 最後のほうは大変でしたけど、別に普通。どういうところが大変だと思いました?
岡田 もう全部。本当に普通に生活できたの?
田渡 余裕っすよ。練習行ったりで、一日中あの家にいるわけじゃないですから。練習へ行って、休んで、トレーニングして。家でご飯食べるときもあれば、トレーニング後に食べて帰るときもあったんで。普通に、夜ご飯とか街に食べに行きました。で、結構、真面目な話する食事会のほうが多いから、それの延長だと思ってました。できるだけ意味のある会話をするようには心掛けてました。
岡田 なるほどね。じゃあ出て良かったことはある?
田渡 ルームメイトに会えたこととかは良かったですけど、それ以上に、いやそれと同じくらい、出たことで会場に来てくれる人も増えたし、応援してくれる人も増えたこと。チームとしても、僕個人としても注目を浴びるようになって。もっと練習しなきゃいけないっていう責任感よりも、いい意味でプレッシャーがかかったのが僕はすごい良かったんじゃないかなと思った。それが「もっとやんなきゃいけない」というモチベーションにつながったっていう結果なので。
岡田 もともと、そういうのはあっただろうけど、出たことでさらなるモチベーションになった感じなの?
田渡 そうですね。やっぱ反響ってすごいものがあるんで。街を歩いてても、どこでも声を掛けてもらえるし、どこへ行っても「応援してます」って言ってくれるし。皆が「応援してます」って言ってもらえるような世界じゃないから。ただでさえ僕たちバスケット選手はブースターの人たちとかに「頑張って」「応援してるよ」って言ってもらえる、ぜいたくな世界に生きてるんですけど、それ以上にバスケを見たことない人とかにも、そう言ってもらえるようになったのはすごくありがたいことだなと思います。
岡田 もともと覚悟してただろうけど、出るってことに対して賛否両論はあるわけじゃん。その悪いほうの意見は、あんまり気にしないタイプ?
田渡 悪いほうも良いほうも気にしないですね。昔からそう。そんなんで一喜一憂してたら、やってられないじゃないですか。僕はもう、どっちも見ないようにしてるし、聞かないようにしてる。
岡田 いいね。それでいいと思う。でもさ、そういうのは普通できない。怖いし、批判とかあるし。それを気にしない性格がすごいなと思う。
田渡 いや、気にしない。自分がうまくなれるチャンスだって、すごく思いました。僕は生きてく中で、それが一番大事なんですよ。家族とか友達、人間関係とかも大事ですけど、常に生きてる中で「どうやったらうまくなれるんだろう」って考えちゃう。もし『テラスハウス』に出させてもらったら、切羽詰まるじゃないですけど、プレッシャーになって、やんなきゃいけなくなるっていうのは分かるじゃないですか。

どう言われようと、周りからの期待より、自分が自分にしてる期待のほうが多分大きいと思ってる。

岡田 うん、分かるね、間違いない。いや、すごいわ。
田渡 そこは小さい時からバスケに限らずですけど、集団生活してて良かったなって思いました。小学校、中学校、高校、大学、今もそうですけど、ずっとキャプテンやってきたんで、集団行動に慣れるじゃないですか。だから人とコミュニケーションを取る力も、自分にはすごくあると思ってる。だからなんも苦労することがないと思いました。
岡田 でも、みんな結構チームでやってきてるじゃん。だから集団行動というよりは、見られるっていうところがね。
田渡 友達とかに変な目で見られるんじゃないか、とかっすか。
岡田 あとは知らない人たち、不特定多数の人にワーワー言われることの怖さだと思うんだよね。
田渡 自分が恥ずかしい生活をしてなかったら、そんなに言われることもないだろうと思ってるんで。バスケの練習もそうですし、私生活もそうだけど、それに全部つながると。例えば信号無視とかしなくなるじゃないですか。ゴミが落ちてたら拾うし。そういうことも、いつも見られてると思って生活してましたけど、そのスタンダードがものすごく上がったと思ってます。
岡田 なるほどね。もともと、やってるからだよね。でもそれを自分でやるのと、人に見られるのとでは絶対プレッシャーのかかり方が違うから。
田渡 僕は父親(田渡優/京北高等学校バスケットボール部監督)が監督だったんですけど「俺や先生がいないときに頑張れないやつはダメだ」って言われるじゃないですか。そのとおりだと思うんですよ。誰かが見てないとできない人って、やっぱり魅力ないと思うし。何なら僕、1人でずっと人がいないときにやってたいタイプなんで。
大柴 自分が映った放送とか見ましたか。
田渡 基本的に見ないです。
大柴 『テラスハウス』内で見る感じになったら見るけど、自分からは見ない?
田渡 そうですね。
大柴 スタジオの声について、八村塁選手(ワシントン・ウィザーズ)が、「田渡さん、そんな悪いことしてないのに」って声を上げてたんで。
田渡 よく皆から放送後とかに「大丈夫?」って連絡が来るときがあるんですけど「え、何? 全然、余裕なんだけど」って言うと、「こうやって言われてたよ」とかって話をされて。でも僕は「そうなんだ」としか思わないですね。
大柴 バスケの評判も、良い評判も悪い評判も、全く気になんないんですか。
田渡 勝ち負けとか、自分のパフォーマンスに関しては気にしますよ、もちろん。自分でやってみたときに「うわ、ダメだったな」とか負けたときとかは悔しいですけど、それを周りからどうこう言われて、アップダウンするとかはないですね。周りからの期待より、自分が自分にしてる期待のほうが多分大きいと思ってるんで。だからどういうふうに思われようが言われようが、自分が自分に言い聞かせることのほうが正直ひどい。そんなに思い詰めなくてもいいんじゃないかと思うことも、ある部分はある。
岡田 自分で「うわ、ダメだな」って思ったときってどうしてるの?
田渡 それこそ『テラスハウス』に入った一番の理由かもしれないですね。やっぱ他の職業の人へ、例えば「こういうとき、ダメだったらどうしてるの?」とか、全員に聞きました。自分も、まだクラブ3年目だから正解は分からないです。でも練習するしかないと思ってるんで。

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