『ダブドリ Vol.10』 インタビュー02 齋藤拓実(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
2021年1月22日刊行の『ダブドリ Vol.10』(株式会社ダブドリ)より、齋藤拓実選手のインタビューの冒頭部分を無料公開いたします。
今シーズンはキャリア初のオールスターゲーム(注:中止)選出を果たし勢いに乗る齋藤拓実選手に、齋藤選手の大ファンだという女優の中﨑絵梨奈さんが直球インタビュー。
中﨑 最初に、バスケを始めたきっかけを聞かせてください。
齋藤 始めたのは、えーーっと……あんまり覚えてないんですけど、3歳から5歳の間くらいだと思います。すでに家族がバスケットをやってたんですよ。兄が小学校4年生ぐらいのときにミニバスを始めて、父親がそのミニバスのコーチ。それでもう自動的に、物心ついたときにはバスケットをやってました。
中﨑 当時から「バスケ楽しい!」「好き!」っていう感情はありましたか?
齋藤 はい、たぶん。ミニバスは週5くらい練習があってけっこうハードだったんですけど、やめたいって思ったことはないので、ちっちゃい頃からずっと楽しくやってたのかなあ、と思います。
中﨑 お父さんがミニバスのコーチって、ちょっとやりにくそうなイメージがあります。成長するにつれて、反抗したりした経験はありますか?
齋藤 反抗はしてないんですけど、ミニバスで指導を受けて、試合が終わったあとは家でビデオ観て反省会みたいなことをやって……。チームメイトからは、「家でも教えてもらっていいよな」みたいなことを言われるんですけど、僕としてはもう嫌でしょうがなかったです。
中﨑 あ、やっぱ嫌だった(笑)。
齋藤 はい、それはもう。
中﨑 お父さんは今でも、齋藤選手のプレーに対して何か言われたりしますか?
齋藤 いや、今はもう全然。僕が小学校を卒業するタイミングで父親もミニバスのコーチを卒業しましたし、高校からは部のコーチにお任せという感じでした。
中﨑 バスケ以外では、齋藤選手はどんな学生だったんですか? 例えば、勉強はできました?
齋藤 勉強……正直得意ではなかったです。
中﨑 (笑)。
齋藤 中学校のときは、けっこうやんちゃな感じ。小学校のときも目立ちたがり屋でした。
中﨑 えー、ちょっと意外です。
齋藤 遠足や社会科見学のあとに、写真を注文できるじゃないですか。カメラマンさんが撮った写真が廊下にバーっと貼り出されて、それを見て注文するみたいな。僕、女の子2人がピースしてる写真とか、あらゆる写真の後ろに写り込んでいて、母親に「写りすぎ!」って怒られた記憶があります。
中﨑 そういう子、どこの学校にも必ず1人はいますね(笑)。ちょっと話題が飛んじゃうんですけど、大学時代のことを伺わせてください。この頃になると齋藤選手は「世代ナンバー1ガード」と言われる機会が増えていたようですが、ご自身としてはどのような気持ちでしたか?
齋藤 なんか……不思議な感覚でしたね。高校まではそんなに高いレベルでやれていなかったし、同世代で活躍している選手は他にもたくさんいたんですけど、U24日本代表に呼んでもらったり、そういうふうに評価してくださる方がいたことは本当にありがたかったです。自分でも身長が低いのによう頑張ったなあ、って(笑)。でも、当時も自分のプレーには全然満足していませんでした。
中﨑 すごく謙虚だったんですね。
齋藤 ミニバスは地区優勝ぐらいのレベルだったし、中学でも全国に行ってないし。他の選手たちの小中学生時代の話を聞いて、なんか全然レベルが違うなーって思ってたんで。
中﨑 今回の取材の前にいろいろ記事を拝見してきたんですが、大学時代はヘッドコーチが何度も変わってすごく大変だったそうですね。
齋藤 あーもうホントにしんどかったです(笑)。ほんとにその一言に尽きるというか、自分が思ってたような大学バスケット生活とは全く違った、壮絶な4年間だったなあ、とは思いますね。
中﨑 U24日本代表の合宿では、当時A代表のヘッドコーチ代行をつとめられていたルカ・パヴィチェヴィッチさん(現アルバルクHC)からの指導も受けられたと聞いています。ルカコーチとの出会いは齋藤選手にとってどのようなものでしたか?
齋藤 慢心のつもりはもちろんないんですけど、大学1年生のときから主力としてある程度プレーさせてもらっていて、ピックアンドロールのプレーなんかもしっかり自信を持ってやっていたんです。でも、ルカコーチに会って、ピックアンドロールの細かい部分やディフェンス面などで「自分はまだまだなんだな」って改めて気づかされました。そういう意味でも、ルカコーチとの出会いはほんとに大きかったと思いますね。
中﨑 その後の大学でのプレーにも影響がありましたか?
齋藤 そうですね。プレーの質は上がったと思います。
中﨑 続いては、Bリーガーになってからのお話を。ルーキー時代に所属していたアルバルクでは、なかなかプレータイムが伸びなかったですよね。今振り返って、そういう苦しい状況でこそ学べたものはあったと思いますか?
齋藤 めちゃくちゃありましたね。アルバルクの練習って、シーズン中も強度をあまり落とさずに、短い時間でもがっつりやるんです。そういうタフな練習で、代表レベルの選手と常にマッチアップしたことで、試合にはなかなか出られないながらも、たくさんのものを吸収させてもらいました。
中﨑 昨季はレイクスターズにレンタル移籍されました。
齋藤 レイクスターズに来て、スタートで試合に出させてもらえるようになって、やっぱりそれなりの責任感はすごく感じるようになりました。特にショーン・デニスHCはポイントガードである僕の考えを尊重し、出す指示について信頼してくれるコーチだったので、より責任感を感じるようにはなりましたね。
中﨑 ルカHCとデニスHCとでは、ポイントガードに対するアプローチの仕方が異なりました?
齋藤 2人の考え方は似ているところも多いんです。ルカHCもデニスHCもすごく細部にこだわるし。あえて言うなら、デニスHCのほうがルカHCよりもプレーの引き出しが多いタイプかな。ルカHCから教わった攻守の基礎の上に、デニスHCから教わったプレーの柔軟さが乗っかった感じはありますね。
中﨑 アルバルクに入団したときから齋藤選手のプレーを拝見しているんですけど、何ていうか、レイクスターズで一気に羽ばたいたっていう印象を受けました!
齋藤 それは本当にHCが引き出してくれたと思いますし、まわりの選手が活かしてくれたとも思っています。昨季のレイクスターズは外国籍選手が変わってチームとしても個人としても本当に良くなりました。ポイントガードというポジションということもあって、自分が他の4選手を活かしてるように見えるかもしれないんですけど、自分の中では逆に、彼らに活かしてもらってるっていう感覚。今季一緒にドルフィンズに移籍した狩野祐介さんやジェフ・エアーズを筆頭に、チームメイトみんなに感謝しています。
中﨑 まわりへの感謝の気持ちって、どなたかに教わったことだったりしますか? 例えば恩師の先生とか。
齋藤 あ、そうですね、高校のときの監督が「仲間」と「感謝」っていう言葉をすごく強調する方だったんです。仲間がミスしてもそれを責めるなとか、バスケットができる環境に感謝しなさいって、よく言われましたね。後者のほうは、新型コロナウイルスが流行する今になって、改めてその通りだなと感じています。
中﨑 アルバルクから移籍して以降、齋藤選手のプレータイムはかなり増えています。試合に出るようになったことで、今までになかった悩みが生まれたりしましたか?
齋藤 悩み……うーん、これは今、ドルフィンズでもすごく感じてる部分なんですけど、一度もシーズンを通してプレーしたことのないメンバーと戦うってなったときに、試合をしてみないとわからないことがたくさんあるんだなということは痛感しています。昨シーズンは開幕から連敗して、そこから立て直す苦労を味わいました。どうやったらチームがよくなっていくのかを、選手同士で話し合いましたね。ドルフィンズも今はまだそういう段階にいると思うので、もっとチームが良くなるためにはどうすればいいのか、引き続き考えています。
中﨑 エアーズ選手と狩野選手の存在って、ドルフィンズに来てもやはり大きいですか?
齋藤 やっぱり昨シーズン1年間、一緒にやってるので、ケミストリーみたいなものは強いと思います。それをドルフィンズに持ち込みつつ、元々のドルフィンズの雰囲気やスタイルにうまく溶け込んでると思うので、非常に心強いです。
中﨑 なんか感じます。試合を観ていても「やりやすそうだなあ」って。
齋藤 はい、やりやすいですね。
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