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エンドラインからの景色 vol.52 NICK THE LAST GAME 辻直人選手、ニック・ファジーカス選手

エンドラインからは選手たちの熱く激しいプレーや、そこからしか見えない表情がある。ダブドリ編集部が撮影した中から厳選し、写真とともにゲームを振り返っていく。vol.52では5月30日に行われたNICK THE LAST GAME を取材。最後に辻直人選手の囲み会見、ニック・ファジーカス選手のインタビューを掲載。
(写真・文 = 宮本將廣)

辻直人選手インタビュー

宮本 ニック選手とは東芝から川崎とクラブが発展していく中で一緒に戦って、最後はライバルとしても戦いました。ライバルになってから改めて感じた、ニック選手の凄さを教えてもらえますか?
 バスケの賢さっていうんですかね。ここで得点が必要だと思ったときの嗅覚や相手の弱点を見極めるのがすごく早いですし、僕が川崎にいた頃は、彼がほとんどのセットプレーコールをしていました。今もそうだと思うんですけど、本当にコートの中で引っ張ってくれる存在でしたね。敵として戦ったときも身体能力ではなくて技術だったり、駆け引きだったり。能力の高い選手でも彼を止められないという状況を目の当たりにすると、改めて彼の凄さを感じましたね。
宮本 チームメイトの頃はハンドラーとスクリナー。もしくはオフボールのユーザーとスクリナーという関係でした。彼がスクリナーだったことで、辻選手が学んだことはありますか?
 そうですね。彼とプレーしてもっとピックアンドロールを勉強しようと思いました。2人の関係性だけでなく、僕と彼の連携を相手が抑えにくることによって、コートの隅々まで視野を向けていくことの大切さを学びましたね。ピックアンドロールの奥深さというか、そういうものを学べたことは僕にとってはめちゃくちゃ大きなことでした。

ニック・ファジーカス選手インタビュー

宮本 現役生活お疲れ様でした。ニック選手が日本に来たときは、移籍というものがあまりなくて。Bリーグになってからは環境が変わり、移籍が活発になってニック選手のようなビッグネームも移籍するケースが生まれました。ロビーに飾ってあったメッセージボードにも、あるチームに「移籍をする可能性があった」と書いてありましたけど、それでもニック選手が川崎を選び続けた理由を教えてもらえますか?
ニック 僕自身が育ってきた時代は、マイケル・ジョーダン、ケビン・ガーネット、コービー・ブライアント、ティム・ダンカン、ダーク・ノビツキー。彼らのような素晴らしい選手が、ひとつのチームで長くプレーすることが主流だった時代でした。もちろんその中でガーネットは移籍をしたり、他の選手も違うチームでプレーをしたケースはあったけど、チーム一筋でやり続けるということ、こだわりを持ち続けるという世代に生まれたからこそ、それを貫き通したというところもあります。おっしゃってくれたように、僕の12年間の中で移籍するチャンスはありました。他のチームがもっとお金を出してくれるという話であったり、より良いと思われる条件を提示してくれた。そういったビジネスの世界でもある中で、前オーナーの東芝だったり、今のオーナーのDeNAがステップアップしてくれたからこそ川崎に残り続けることができた。すごく感謝しています。あとはいつも言っていますが、僕が何よりも大事にしてきたことは「幸せには価値をつけられない」ということ。僕自身が川崎にいることにものすごく幸せを感じていたし、その幸せをより多くのお金や環境を変化させてまで手放すべきではないと思ったからこそ、川崎に残り続けました。あとは川崎と言えばニック、ニックと言えば川崎と思ってもらえることは僕の中でも誇りです。自分自身が創り上げてきたことが、これからも語り継がれてほしいと思っているし、僕自身もそういうものを残していきたいと思っていた。だからこそ川崎を選び続けたんだ。もしかしたらそれは僕自身のエゴかもしれないけど、そういったすべてをひっくるめて、川崎で過ごした12年間はすごく特別な時間だったし、文句のつけようのない時間だったと感じています。

会見後、ニック・ファジーカスのラストメッセージ

ニック 最後にメディアの皆さん、僕のことを応援し続けてくれてありがとうございました。日本のバスケットボールがここまで成長できたことは、メディアの方々が増えて、メディアの質が上がっていって、露出が増えて、認知が増えて……。皆さんの努力によって日本バスケが成長していったと思っています。ひとりひとりに感謝を述べたいと思っています。本当に今までいろんな取材だったり、いろんなプロジェクトで皆さんと関わりを持つことができました。すべてが僕にとって特別なものだったし、いい思い出になっています。皆さんのおかげで日本バスケがここまでくる事ができたと思うし、僕自身も成長できたと思います。これが最後になることはすごく寂しいですし、皆さんに会えなくなることもすごく寂しいですが、皆さんと仕事ができて本当に良かったと思っています。

ありがとうございます!(日本語で)

NICK THE LAST GAME
ニック・ファジーカス
73得点16リバウンド5アシスト2スティール

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