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『ダブドリ Vol.3』 インタビュー04 ダバンテ・ガードナー(新潟アルビレックスBB)

2018年5月31日刊行(現在も発売中)の『ダブドリ Vol.3』(ダブドリ:旧旺史社)より、ダバンテ・ガードナー選手のインタビューの冒頭部分を無料公開いたします。なお、所属等は刊行当時のものです。

川崎のファジーカス選手を抑えて2017/18シーズンの得点王に輝いたガードナー選手。幅広いプレースタイルの秘密に迫ります。

若い頃はポイントガードでプレーすることが多かった。おかげで両方の経験があるから、プロではどちらもできるよ。

玲央 今日の練習中、なぜ途中でバッシュを変えていたのですか?
ガードナー 最初に履いていたグレーのレブロンがゲームシューズなんだけど、ここ2試合ほど足が痛かったんだ。だから次の三遠戦からシューズを変えようと思っていてね。
玲央 じゃあ違う靴を試しているのですね?
ガードナー ああ、シーズン中に色々試すのが好きなんだ。
玲央 僕が最初にガードナー選手がプレーしているのを生で見たのは、今シーズン序盤のアルバルク東京戦でした。40得点の活躍でしたが、最後にテクニカルファウルを取られた試合です。
ガードナー そう、2個取られて退場した。
玲央 次の試合では現在でもB.LEAGUE記録である47得点の活躍で勝利していました。昨シーズンから平均8得点上がっていて、得点ランキングでは1位です。
ガードナー ああ、そうだね。
玲央 NBLで得点王になるなど、これまでもずっとスコアラーではありましたが、今シーズンは特に「点を獲るぞ」っていう気概があるのでしょうか?
ガードナー いや、今シーズンはとにかくチームの勝利に集中しているよ。チャンピオンシップに行って優勝したいからね。だから特に得点することに集中している訳ではない。ただこれまでの人生で得点するということは自然とやってきていたことだから、そうなっているんだと思うよ。フィジカルにプレーするのが好きだしね。
玲央 やはりチームにもっと馴染んだ、同じチームメイトとプレーしているというのも影響していますか?
ガードナー 彼らとはとても親しいんだ。今年入った新しい選手とも親しくなった。だからプレーオフに行けるチャンスがあると思っている。
玲央 練習を見ていても仲の良さが伝わってきました。
ガードナー ああ、冗談を言ったりして楽しむのが好きなんだ。その方が良い。真面目すぎると色々と失うものがあるからね。だから集中しながらも、楽しんでいる。
玲央 インスタグラムで今年初めに婚約したのを見ました、おめでとうございます!
ガードナー 12月30日だね。ありがとう。
玲央 あれもチームメイトの前でプロポーズしていましたよね?
ガードナー 新年とクリスマスを祝うためにチームパーティーがあったんだ。本当は元旦に東京でプロポーズしようと思っていたのだけど、天皇杯の影響でできなくて、チームパーティーでやったんだ。
玲央 チームメイトの前でああいった大切なことをやるということからも、あなたとチームメイトの親しさが伝わってきます。
ガードナー 親しい人がいる中でプロポーズしたかったからね、チームとは親しいからとても良かったよ。
玲央 そんなガードナー選手は毎年新たな武器をゲームに加えていっているイメージがあります。大学時代はポストアップからのペイントでのプレーがメインだった印象ですが、今ではあなたがボールを運んで、トップでボールを持つのも珍しくありません。そしてこの間の三河戦ではまるでダーク・ノヴィツキーさながらのフェイダウェイを見せてくれました。
ガードナー ダークは僕の一番好きな選手なんだ。
玲央 そうなんですね!
ガードナー フェイダウェイはダークを参考にしている。バックボードを使ったりしてね。
玲央 三河戦でのブザービーターでは、片足が上がっていて、完全にダークの技でしたよね。
ガードナー 最初に打った時は外れたかのように感じたのだけど、なぜか空中でうまく回転してくれて、バックボードに当たって入ったんだ。入った時はびっくりしたよ(笑)。
玲央 ダークを参考にしていると話していましたが、若い頃はポイントガードだったのですよね?
ガードナー そうなんだ。若い頃はポイントガードでプレーすることが多かった。ポストよりもポイントガードが多かったね。でも大学では既に良いガードが揃っていたから、バズ(ウィリアムズHC)は僕をポストで起用した。でもおかげで両方の経験があるから、プロではどちらもできるよ。
玲央 では高校ではポイントガードがメインだったのですね?
ガードナー ああ、AAUと高校はポイントガードだね。
玲央 身長は高かったのですか? ビッグガードということでしょうか?
ガードナー そう、高校まではいつも一番身長が高かった。でも大学に入ると小さい方だったかな。相手チームには自分より大きい選手がいた。でもそれにもすぐ慣れたよ。
玲央 ではポイントガード時代は、誰を参考にしていたのですか?
ガードナー 母親がポイントガードだったんだ。だから色々と教えてもらったよ。
玲央 おお、血筋なのですね。
ガードナー そうなんだ。スポーツ一家なんだ。バスケットボール一家かな。
玲央 まだお母さんと対戦したりしますか?
ガードナー いやあ、母も父も最近は見るのが専門だね(笑)。
玲央 ご両親が日本に試合を観に来たりはするのですか?
ガードナー 今年来るはずだったのだけど色々あってね、来シーズンは確実に来てもらうつもりだよ。
玲央 それは楽しみですね。ではポイントガードをプレーしていた高校時代を終え、大学はマーケット大学へと進みました。
ガードナー そう。
玲央 マーケット大ではジミー・バトラー、ジェイ・クラウダー、ヴァンダー・ブルー、ジャミル・ウィルソンなどNBAでプレーする選手がチームメイトでした。彼らとプレーするのはどんな感じでしたか?
ガードナー 楽しかったよ。ジミー・バトラー、ジェイ・クラウダー、ジャミル・ウィルソンは多くのポジションをプレーできるから、一緒にプレーするのがとても楽だった。誰にでも勝てるっていう気持ちだったからね、本当に楽しかったよ。彼らがNBAで活躍しているのを見ると嬉しいね。そして彼らも僕がこっちで頑張っていることを知っていて、喜んでくれている。今も連絡をとっているよ。
玲央 学年が上がる毎に、あなたがチームの主軸になっていくわけですよね。その変化はどうでしたか?
ガードナー これまでずっと主軸としてプレーして来ていた経験があったから変化というほどでもなかったよ。でもあまり自分がメインだとか、リーダーだとは考えていないんだ。でもチームからはリーダーになるよう求められることが多い。今年はもっとリーダーになろうという気持ちでプレーしているんだ。
玲央 見た所、マーケット大のチームもとても仲が良さそうでしたよね。昨年は『The Basketball Tournament』(※元NBA選手や大学で活躍した選手が参戦するバスケットボール大会)にも参加していました。
ガードナー TBTだね。
玲央 OBチームで参加したのですよね。その時のことを教えてください。
ガードナー あれは楽しかったね。夏の間に3、4週間ほどみんなと一緒にいた。昔話に花を咲かせ、とても楽しかった。もちろんTBTで試合に勝つこともね。
玲央 ではチームでトレーニングを行なっていたのですね。
ガードナー 7月の第2週に3、4日間ほどトレーニングをした。とても楽しかったけど、今年の夏は参加するかまだわからないな。

父がフリースローの名手、母がポイントガード。僕は父と母がプレーしていたスタイルのハイブリッドなんだ。

玲央 大学が終わってからはNBAのサマーリーグでプレーしていますよね。
ガードナー そうだね。
玲央 2014年にシカゴ・ブルズのサマーリーグチームでプレーしていた試合をテレビで観ていました。実は僕、大のブルズファンでサマーリーグとかもよく観ていて、それであなたのプレーを覚えているんです。ベストゲームはミネソタ・ティンバーウルブズとの試合で、5分くらいしか出場していなかったのですが、それでも8得点、3リバウンドという活躍でした。確かスリーも決めていましたよね。
ガードナー そうだったね。
玲央 チームメイトには現在大阪エヴェッサでプレーしているデイビッド・ウェア選手もいました。
ガードナー そう、実は大阪にきたのは彼の兄弟の方だと思っていたんだよ。デイビッドだとは気づかなかったんだ、彼には双子の兄弟がいるからね(トラヴィス・ウェア、今シーズンはロサンゼルス・レイカーズに所属)。
玲央 ああ、そうでした!
ガードナー だから兄弟の方だと思っていたんだ。デイビッドのことは少し覚えているけど、彼が僕のことを覚えているかはわからないな。今月終わりに対戦するから確かめないと。
玲央 さっきウルブズ戦でスリーを決めたという話をしましたが、スリーについてちょっと聞きたかったのです。大学では4年間で23本しかスリーを打っていません。フランスでは1試合平均1本でした。しかし日本に来てから1年目は西宮ストークスで平均4.6本。昨年は少し落ちて1.8本、そして今年はここまで2.5本。なぜ急にスリーの試投数が上がったのですか?
ガードナー 自信がついたんだ。日本ではコーチたちが打たせてくれるから、そのおかげでもっと打つ自信がついた。ボールを運ぶこともやらせてくれるから、これまで培ってきたポイントガードのスキルと、ビッグマンのスキルを組み合わせているんだ。だから僕は日本で完璧にはまっている。
玲央 昔からシュートタッチは良かったのですか?
ガードナー うん、父がフリースローの名手でね。それを受け継いだ形だね。母がポイントガードだから、母からはそれを受け継いだ。僕は父と母がプレーしていたスタイルのハイブリッドなんだ。今は両親よりも自分の方が大きくなっちゃったけどね。
玲央 では現代バスケットボールに最適なビッグマンに自然となっていったということですよね。日本はもっとトラディショナルなビッグマンがいるリーグなので、それはかなりレアなことだと思います。外からも打て、ボールを運べ、ハンドリングも良い。たまにユーロステップまで披露してくれます。日本で自分は稀有なタイプだなと感じることはありますか?
ガードナー 少しは感じるかな。この国はみんなある程度は両方できるけど、僕は若いというのもあって、周りよりもうまく動けると感じている。そしてこれまで日本で所属したチームでは、自分がやりたいプレースタイルをやらせてくれるんだ。ボールを運ぶのもスリーを打つのも好きだからね。日本ではしっかりと活躍できているという実感があり、チームとのフィットも良い。でもロールプレーヤーになる必要があるのであれば、それももちろんできる。両方できるね。
玲央 ボールをトップで持って回したり、ポストでもキャッチが柔らかいのでうまくボールを持ったりして、周りにボールを配球できていますよね。本当もう何でも屋さんですね(笑)。
ガードナー そうだね(笑)。僕はバスケ人生ではずっとダブルチームされてきたから、パスを会得する必要があったんだ。その時の成長が今につながっている。パスをしっかりとやり、ダブルチームやトリプルチームにも慣れている。
玲央 先ほど少しフリースローの話になりましたね。大学時代はかなり効率の良いフリースローシューターだったことから、試合終盤にいつも「AU-TO-MA-TIC(オートマティック)」というチャントが沸き起こっていました。
ガードナー そうそう。
玲央 しかし日本に来て最初の2年間は70%台でしたよね。それを今年は85.7%まで上げています。成功率ではトップ10入りしている上に、試投数ではダントツ。2位相手に100本近く差をつけています。やはりこれも自信がついたからですか?
ガードナー もともとフィジカルなプレーが好きで、ポストでファウルを誘ってアンド1を決めるのが好きなんだ。それがわかってからは、良いフリースローシューターになることに集中した。試合終盤になれば相手からファウルを誘って、フリースローを打つチャンスがあることがわかったからね。それでフリースローを伸ばす努力をしたんだ。キャリアの中でも一番練習してきたことなんじゃないかな。フィジカルなプレーが好きだから、たくさんファウルされる確信があったんだ。
玲央 昔は実家に帰ってワークアウトするときは、ワークアウト前に500本フリースローを打ってから始め、終わってからも100本、200本打っていたと記事で読みました。
ガードナー そう、あれは父が教えてくれたことなんだ。あれのおかげで今がある。今年はフリースローにもっと集中していて、練習でももっと打つようにしているよ。
玲央 「オートマティック」とチャントされるのってどんな気分なのですか? いいものですか? プレッシャーはありますか?
ガードナー いや、プレッシャーには慣れているから問題ないよ。むしろ楽しんでいるね。たまにおかしくて笑っちゃうんだよ。これまで何本もフリースローを打ってきているからもう決めるリズムに慣れているんだ。笑いながらでも決めることができるよ。
玲央 新潟でも「オートマティック」コールが見てみたいです。
ガードナー そうだね、しばらくここにいるつもりだからね、そうなってくれると嬉しいな。
玲央 この記事が読まれてコールする人が現れることを願います。
ガードナー そうなると良いね。

ガードナー締め用

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