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「ルーキーでキャプテン!樋口鈴乃がリーグNo.1ガードになるために」 アランマーレ秋田 樋口鈴乃

苦しいシーズンを送ったアランマーレ秋田。アーリーエントリーで圧倒的存在感を残し、今シーズンはルーキーながらキャプテンを務める樋口鈴乃。彼女がすでに作り始めている秋田の新しいカルチャーを紐解いていく。(取材日:5月11日 インタビュー&写真:宮本將廣)

今回のインタビュー能代電設工業株式会社様のサポートにより、実施させていただきました。企業情報などは以下のリンクをご確認ください。

自信はないですけど(笑)、いいプレーメイクをしていきたい

宮本 お久しぶりです。調子はどうですか?(樋口選手とは、ダブドリVol.19でのインタビュー以来のインタビュー)
樋口 まだ始まったばかりですけど、自分でワークアウトをしたり、ウエイトで体重を増やしたりしています。結構いい感じで調整できていると思いますね。
宮本 聞いた話によると、今シーズンはキャプテンをされるみたいで……。
樋口 そうなんですよ(笑)。
樋口・宮本 ハハハハハ!
宮本 いや、すごいよね! 初めて聞いたときはどんな感じでしたか?
樋口 最初のミーティングが終わった後に言われたんですけど、「本当に?」って思いました(笑)。
宮本 バスケットボール的な視点で見ると、小嶋さんのバスケットボールにおいてガードがどれだけ大切か。これはデンソー時代を思い返してみても、今日の練習を見させてもらっても、「そうだよな」と感じました。実際、樋口選手はアーリーエントリーだった昨シーズンに戦えることを証明した。そして、大学時代も周りを巻き込んでチームカルチャーを作ってきた。僕自身は樋口鈴乃という選手の力は間違いないと思っているし、キャプテンとしてこのチームでどんなケミストリーを作り出すのかすごく楽しみです。本人としては、どうやってチームにポジティブな影響を作っていきたいと思っていますか?
樋口 まず、個人的には15点7アシストを目標にしています。これに関しては大学のときから継続しているもので、大学のときは得点がなかなか伸びなかったけど、1試合7アシストぐらいはできていました。そこに関してはフィニッシャーが揃っていたので、そういう数字になっていたと思います。逆にアランマーレに来てからは、15得点以上の試合が増えました。自分がフィニッシャーになることが多いからそういう数字を出せていると思うので、15得点を当たり前にしながらアシストをどう伸ばしていくか。その結果、チームを引っ張っていければいいなと思っています。キャプテンとしては……正直まだあまり考えていないです(笑)。
宮本 ハハハ。15点7アシストを目標にするということは、単純計算で自分を起点に30点から40点が生まれる。昨シーズン、チームの平均得点が59点台でした。個人的には、そこにプラス10点をどう上乗せしていくのかが重要だと思っています。もちろん樋口選手が加入したことによって得点力は上がるけど、それでもおそらく平均70点台には届かない。そういう意味では話してくれたように、アシストを増やしていくこと。どれだけシューター陣にいいキャッチアンドシュートを作って、それを決めてくるかが大事だと感じています。あとはピックアンドダイブとかで簡単なゴール下を作り出すことも必要ですよね。樋口選手としては、自分がスコアをしてからゲームを作っていくのか、それともボールを散らしながらスコアをしていくのか。まだシーズンが始まったばかりだけど、その辺はどう考えていますか? 
樋口 まだそんなに深くは考えていないですけど、自分が好きなのは散らしながらゲームを作っていくことなので、その中でスコアを狙っていきたいと思っています。おっしゃる通り、いいシューターがたくさんいるのでいかにオープンを作ってシュートを打ってもらうか。それは昨シーズンから考えていました。自分のマークマンを切って行くことは当たり前で、いかにディフェンスを収縮させてオープンの選手を作れるか。インサイドも考え方は同じで、いかにオープンで簡単なシュートを作り出せるか。自分が工夫をして受け手が楽にプレーできるようなスキルを身につけていきたいと思っています。

宮本 アランマーレはアウトサイドに得点力のある選手が揃っています。大学時代を振り返ると桐原麻尋選手(富士通レッドウェーブ)がペイントタッチをしてくれたり、フォワード陣がミッドレンジ、インサイドを支配してくれたから、ゲームを作りながら自分がアウトサイドのシュートを決めていくっていう形が多かったですよね。
樋口 そうですね。
宮本 アランマーレでは樋口選手がペイントタッチをしながら、シューターの特徴を捉えて活かしていく必要がある。昨シーズンの9試合も含めて、シューター陣の特徴はある程度理解できましたか?
樋口 それぞれの特徴は理解できてきたと思います。今話してくれた通りで、大学のときはゲームメイクがメインで、ゲームがどうだから誰のところで攻めていくということを考えながらやっていました。今はプレーメイクをして、そのワンプレーを自分がどうメイクしていくか。どうオープンシュートを作りだすか。シューター陣の特徴に合わせてプレーメイクをしていきたいなと思っています。自信はないですけど、頑張ります(笑)!
樋口・宮本 ハハハハハ。

どういう練習をして、どういう取り組み方をしているのかを見せていきたい

宮本 個人的に昨シーズンのアーリーエントリーの中で圧倒的インパクトを残したのは樋口鈴乃だと思っています。東京羽田ヴィッキーズ戦では本橋菜子選手(日本代表)を翻弄するシーンもあったし……もちろん本橋選手のレベルになってくると決め返してくるんだけどね(笑)。
樋口 そうなんですよ(笑)。
宮本 ハハハ。彼女のような現役の日本代表選手とマッチアップしてみて、「やれるな」という感触は得られた?
樋口 そうですね。本橋さんのような選手とマッチアップさせてもらうことが何回かあったんですけど、小嶋さんに、「トップ選手がキャリアの終盤ではなく、全盛期のうちに倒す方が楽しいだろ?」って言われたんです。羽田戦の前にも、「本橋選手が日本代表のうちに勝たないと意味がない」と言ってくれて、すごく気持ちがたかぶりました。3月の羽田戦(GAME1で13得点、 GAME2では22得点)はオフェンスの調子が良かったので、「やれるな」ってところもあったんですけど、やっぱりプレーメイクだったり、判断の部分で本橋さんはすごかったです。だから半々ぐらいですかね。「やれるな」って思いつつ、まだそのレベルには到達していないなとも感じさせてもらいました。
宮本 なるほど。あの試合は振り切って、「得点を取りに行く!」っていう感じがありました。そこにフォーカスしてなんとか対峙できるというか。
樋口 そうですね。
宮本 周りを活かしながら、自分もスコアを重ねていくという部分では、本橋選手はすごかった?
樋口 悔しいですけど、1枚も2枚もレベルが上でした。あの試合は自分ファーストでやっていたんですけど、本橋さんは作りながら最後に自分がオープンになってシュートを決め切ってきました。そういうバランス感がまだ自分には足りないと思いましたね。
宮本 今、決め切るというワードが出たけど、今日の練習でも小嶋さんが、「シュートを打って決め切るまでが仕事だよ」という話を何度かしていました。個人的にはすごく共感したし、そういうマインドを樋口選手は持っていると思っています。それこそ大学時代に田中平和選手(トヨタ自動車アンテロープス)にそれを植え付けたのは樋口鈴乃ですよね(笑)?
樋口 ハハハハハ。
宮本 これはダブドリVol.19を読んでくださいって話なんですけど(笑)。その辺はルーキーとか関係なく、示していきたいところだったりする?
樋口 そうですね。バスケットボールに対する気持ちだったり、練習に取り組む姿勢、練習後のワークアウトの取り組み方。その辺りはすごく考えているので、キャプテンという立場も含めて、自分がどういう練習をして、どういう取り組み方をしているのかを見てもらったり、感じてもらうことは大切だと考えています。最近も練習後にハンドリングをしていたり、ジャンパーのワークアウトをしているんですけど、いろんな選手が「一緒にやりたい」って声をかけてくれて、人数も増えてきました。そういうきっかけを作って、このチームのバスケットに対する姿勢を変えていけたらいいなと思っています。
宮本 めちゃくちゃ期待してます! 今シーズンからWリーグは2部制になりました。アランマーレはフューチャーリーグ(2部)からのスタートで、プレミアリーグ(1部)に上がることが目標だと思います。そのために自分が何を積み上げていきたいか。最後に伺えたらと思います。
樋口 もちろんチームとしてプレミアリーグに上がることが目標です。その中で、個人としてもフューチャーリーグで活躍する。そこで1番いいポイントガードになれなければ、プレミアリーグで戦えるポイントガードにはなれないと考えています。だから、まずはフューチャーリーグでNo.1のポイントガードになることが個人としての目標です。そしてアランマーレをプレミアリーグに上げられるように頑張りたいと思います。

取材サポート企業のご紹介

能代電設工業株式会社様
今回は以上の企業様のサポートにより、秋田での様々な取材を行わせていただきました。

能代電設工業様のサポートにより、秋田ノーザンハピネッツの取材も実施させていただきました。



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