『ダブドリ Vol.15』インタビュー05 西川貴之（佐賀バルーナーズ）
2022年11月9日刊行の『ダブドリ Vol.15』(株式会社ダブドリ)より、西川貴之選手のインタビュー冒頭を無料で公開します。
昨シーズン、昇格を逃した佐賀バルーナーズ。西川貴之の名前が自由交渉リストに載った時、やはり彼の戦いの舞台はＢ１なんだと感じたブースターも多かったはずだ。しかし、彼の決断は佐賀との契約継続だった。「やり残したことがある」。そう語る西川貴之の思いに迫る。（取材日：７月26日）
札幌選抜にすら入れなかった
宮本 まずは西川選手のこれまでのキャリアを簡単に教えていただけますか？
西川 バスケは小学校３年生の時に始めました。そこから八条中学校、東海大四高校（現東海大札幌）、明治大学に進みました。そこからレバンガ北海道、シーホース三河、三遠ネオフェニックス、茨城ロボッツで今に至ります。
宮本 ミニバスは地元ですか？
西川 始めたのは地元のミニバスです。札幌にドリームキッズというクラブチームがあるんですけど、知り合いがコーチをしていて、そっちも通ってみたら楽しかったので、小学校５年生くらいからクラブチーム１本にしました。
宮本 ドリームキッズでコーチをされている片桐三千代さんは僕の恩師の１人です。片桐さんとはお父さんとの繋がりですか？
西川 そうですね。僕が小さい頃から、バスケの会場とかでたまに会っていて、お世話になっていました。中学もドリームキッズで続けることを考えたんですけど、八条中学校の先生が一生懸命な人だったので、部活に入りました。
宮本 若木文博先生ね（笑）。
西川 はい（笑）。
宮本 偶然にも小中で同じコーチからバスケを教えてもらっているんですよね。若木先生はどうでしたか？
西川 本当にいい教育者でバスケ以前に人として大切なことをすごく叩き込まれました。
宮本 叩き込まれたでしょうね（笑）。
西川・宮本 ハハハハハ。
宮本 八条中学校はどれぐらいの成績だったんですか？
西川 豊平区大会でなんとか勝てるくらいで、札幌市大会に行くと１回戦とかで負けていました。
宮本 当時、北海道ですごかった選手は誰ですか？
西川 東海第四中が全国で２位になったんです。そのメンバーに須田（侑太郎／名古屋ダイヤモンドドルフィンズ）がいたので、当時はすごいなって思って見ていましたね。
宮本 須田選手とは高校で一緒になるわけですが、東海第四高校へ進学した理由を教えてください。
西川 東海第四の佐々木睦巳先生には兄も声をかけてもらっていて、昔から知っていました。東海第四は憧れというか、強くてかっこよかったので、「東海第四に行きたい」って言ったら、みんなに「無理だよ」って言われました（笑）。
宮本 厳しい（笑）。実際に東海第四に行った時はどんな印象でしたか？
西川 中学校の春休みに練習に参加させてもらったんです。親の車で石山通りを走ってて、ポスフール（現在はイオン）があるじゃないですか？
宮本 あー、右側にね。
西川 はい。そこから高校が見えるんですけど、なんか吐きそうになってきて。
西川・宮本 ハハハハハ。
西川 絶対に通用しないし、練習もハードだろうし、やっぱり嫌だなって思って、親に「帰りたい」って言ったんですけど、もうすぐそこだったんで……。
宮本 もう引き返せないですね（笑）。
西川 今でも鮮明に覚えています。
宮本 当時はそんなに自分のプレーに自信は持っていなかったんですか？
西川 自信は全然なかったです。北海道選抜どころか札幌選抜にすら入れなかったので。
宮本 え、札幌選抜も入ってないの？
西川 落ちました（笑）。強い中学校でプレーをしていたわけでもないし、選抜に入っていたわけでもない。中学の時はただ人よりちょっとでかいぐらいだったので、自信は全然なかったですね。
宮本 高校に入学してからはすぐに活躍したわけではないですよね？
西川 それこそ１年生のインターハイの開催地が佐賀の唐津だったんですよ。１軍に帯同はしてましたけど、ひたすら洗濯していましたね。唐津で（笑）。
宮本 まさかの佐賀との縁ですね（笑）。当時はどういう気持ちでした？
西川 延岡学園の永吉（佑也／ライジングゼファーフクオカ）とかが普通に試合に出ていて、「すごいな」って思っていました。
小さい頃の口癖は「もうやめるわ」
宮本 他に高校の時に印象的なこととかありますか？
西川 ３年生の時にインターハイの北海道予選で負けたことですかね。その時は「もうやめよう」って思いました。バスケはもういいやって。
宮本 それ以前でバスケをやめようと思ったことはあったんですか？
西川 全然ありますよ。小さい頃は親に、「やめるわ」って口癖のように言っていました（笑）。
宮本 西川選手はお父さんが日本代表でもプレーをしていました。プレッシャーとかはありました？
西川 僕はなかったですね。兄は父親の高校でやっていて、二人三脚じゃないですけど、結構結び付けられることがありましたけど、僕は全然でしたね。
宮本 小さい頃にお父さんに何かを教えてもらったりとかはありました？
西川 シュートに関しては結構言われました。小さい頃は届かないから無理矢理投げるじゃないですか。それは絶対にダメで、「まずは近くから打ちなさい。届かなくてもしっかりとしたフォームで打ちなさい」って言われていました。でもスリーポイントが打ちたくて、隠れて打っていたんですけど、めちゃくちゃなフォームで投げているのがバレて注意されましたね。あとは消極的なプレーをしたら、「なんで思いっきりやらないの？」とかは言われたことがありますけど……それぐらいですね。
宮本 よくバスケ一家でお父さんとか、お母さんが厳しくて……みたいなことがありますけど、そういうことはない？
西川 うちは全くないですね。
宮本 じゃあ、単純に自分のプレーが通用しないからやめよう、みたいな？
西川 そうですね。試合でうまくいかないから、もうやめようみたいな感じですね（笑）。
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👉「北海道と佐賀はなんか似ている」と話す西川選手。そのココロは……？
👉22-23シーズンにかける思いからも、コーチや選手から「一緒にやろうよ」と言われる彼の人間性が垣間見えます。
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