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『ダブドリ Vol.4』 インタビュー04 志村雄彦(仙台89ERS ゼネラルマネージャー)

2018年9月29日刊行(現在も発売中)の『ダブドリ Vol.4』(ダブドリ:旧旺史社)より、今回は志村雄彦さんのインタビューの冒頭部分を無料公開いたします。なお、所属等は刊行当時のものです。

志村雄彦現役お疲れ様会と称して、大学時代のチームメイト石田剛規(東京エクセレンス)と泉秀岳(仙台89ERS)が飲み会を開催。バスケットボール選手として、そして人としての"志村雄彦"に迫ります。

僕は意外な一面と言える部分がない。それは全部をさらけ出しているからです(志村)。

大柴 今日はよろしくお願いします。
志村 いえ、とんでもないです。
大柴 以前、広報の石幡さんにお会いした時に「うちだったら志村っていう良いのがいるんで取り上げて下さいよ」と言ってもらっていたにもかかわらず、気付いたらもう引退発表があったので「あぁヤバい」と思って。ほかの媒体で、立派な引退インタビューをやっていたので、ちょっとテイストを変えたいなと思いまして、今日はこの2人を呼んで『志村さん、選手生活お疲れ様でした』と、労う会を設けました。
志村 いやあ、間違いましたね、これ。キャスティングミスですよ。
一同 ハハハハハハ。
大柴 今回、宴席を誌上で再現するっていうのは良いんですけど、それだけだとちょっと取留めがなさ過ぎるっていうことで、サイコロトークをしながら飲み会してもらうという。
志村 サイコロトークですか……。石田さんとは……。若い頃はいろいろあったから。
大柴 さすが。そういうね、若気の至りみたいなのも聞きたいんですけど。
志村 大丈夫ですよ。
大柴 ちょっとインタビューの趣をほかと変えようと思って。先にこっちの2人から口火を切る形式の目を5つ。内容は「志村雄彦のここがすごい」「志村雄彦の意外な一面」「志村雄彦へ今だから言えるごめんなさい」「志村雄彦の面白エピソード」「志村雄彦に聞きたいこと」で、6が出た時だけ「志村雄彦いわく」というテーマになっていまして。
志村 一瞬、疑惑って聞こえた。今さぁ、そういうネガティブなことに敏感ていうか、怖いんすよ。いろんなことが怖いんだよね。
 怖い(笑)。
大柴 それで、6が出た場合はサイコロをもう一回振ってもらって、志村さんのピンチやプチ自慢、秘密、やめられない話、のろけ話、若気の至りの中から出たテーマを喋ってもらいます。
志村 もう全部ダメじゃん。
一同 ハハハハハッ。
大柴 乾杯したら、記念すべき最初のサイコロ振らせてもらいます。
志村 乾杯は石田さんがすごい上手だから。
大柴 じゃあ石田さん。例のやつを。
石田 ちょっと待って(笑)。
志村 ものまね、ものまね付きのやつが。
 この絡みは見たかった。初っすもん。
石田 いつもの、つっても全然会ってないんだから(笑)。
志村 もう何言ってんすか。
大柴 大学時代の一番チャラかった頃の、ないんすか?
石田 おい(笑)!
志村 いや石田さんはチャラくないっす。
大柴 え、石田さんチャラくない?
石田 ちゃんとしてましたから。まずは引退、お疲れ様でした。
大柴 お疲れ様でした。
志村 ありがとうございます。
石田 労いながら、楽しい会にできればと思います。乾杯!
一同 乾杯!
志村 とりあえず泉はめっちゃ食べるんっすよ。で、僕は食わない。
大柴 ああ、そうなんすか。
石田 痩せたから。
大柴 痩せたから?
志村 痩せちゃって筋肉落ちちゃったから。
石田 ガリガリ(笑)。
大柴 落とそうと思って落としたんすか?
志村 はい。まず去年のシーズンから落として。
大柴 あ、そうなんすか。それはまたなんで?
志村 ケガしたくなかったんで。あと2年くらいはやると思ってたんで。
大柴 なるほどね。
志村 泉にもそう言ってたのに、気付いたら辞めちゃってた。
 これ本当っすよ。
志村 俺から話あるみたいなことで泉がなんか、「いやタケさん、何、何、何。どうした、なんかやっちゃった?」とか言って。
 あぁ、あったあった。
志村 あん時、部屋でな。泉なんか「え?」みたいな感じで、びっくりしてたよな。
 ガチでビビったっす、あれは。
志村 マーカス(・クザン)がビビってたよね。
 確かに。
石田 報告をした時に?
 そうっす。その前まで全然、なんのお呼びもなくて。1回集合みたいになったから、「え? 何これ、マジで誰かやったのか?」みたいな雰囲気が流れたんですよ。そしたらいきなりタケさんが前に出て「すいません、引退します」ってなって。「えっ!?」て。本当っすよ。
大柴 なるほど。じゃあ行きますよ。1投目のサイコロ。2だ。2番はなんだ。自分で考えておいて覚えてないっていう。お、「志村雄彦の意外な一面」。
志村 これはないっすね。意外がないんですよ。
大柴 意外がない?
志村 はい。僕は全部をさらけ出してるんで。
大柴 なるほど。じゃあ、もともとのイメージがどうかって。普段はこうだけど、みたいに。
志村 あぁだから、泉が一番あれだよね、まずはさあ。こう、外から見ていて。
 まずは見た目で。絶対みんな小さいって思うじゃないですか。リーグでもそういう感じだし。でもめっちゃ朝飯食うんすよ。
大柴 ハハハハハハ。
志村 食ってたな。
 遠征行く時とかも、絶対早起きしてやって来るんすよ。
志村 いやそれはお前が遅いんだよ。
 10時からの練習の時でも、絶対スタバのコーヒー持ってるんすよ。
大柴 おお。
 で「タケさん、コーヒーだけっすか」みたいな感じで言ったら、朝はいつも早起きして朝飯をがっつり食って、コーヒー飲む時間まで俺は欲しい、って話をされて。食事調査があったんすよ、僕ら。そん時も奥さんの手料理でバランスよく、本当に朝からこんな食べんだ、みたいな感じの量を食べてたんすよね。で、遠征でホテル行っても、そんな感じでいつもしっかりいろんな物を食べてて。
志村 歳取ると早くなるよね。
石田 いや早いけどさ。人の起床時間とかは別にどうでも良い。
大柴 それは心掛けてたんですか、志村さん的には。
志村 まぁそうっすね。朝御飯をしっかり食べよう、みたいなのはありました。
大柴 へえ。
志村 今もありますよ。
大柴 あぁそうなんですか。引退されても。全然違います?
志村 そうですね。午前中に動けるか動けないか、変わってきますよ。僕ら練習が早かったりもしたので。そこを抜いちゃうとできないんで。
石田 意外な一面。意外な一面かぁ。
志村 ちゃんと聞いてるところが偉いね、このB型ね。
石田 A型ね。
志村 ああ、A型。
大柴 ハハハハハハ。
 雑だなあ。
志村 俺、A型だからな、実は。
大柴 あ、そうなんですか。A型?
志村 スーパーAだもん。遅刻しないもん、俺(インタビューは志村氏の到着遅れで30分遅れてスタート)。
一同 ハハハハハハ。
大柴 ほかにあります? 意外な一面。
石田 意外な一面。大学に入って初めて会ったんだけど、会う前から有名人で。
大柴 全国に名が。ウインターカップとか、テレビでやってたね。
石田 そうそうそう、それでまぁ、「どんな感じなんだろう?」って分かんなかったけど、付き合ってみて思うのは、おもてなし好きみたいな感じ。
大柴 へえ。
石田 でもなんか、癖があるなとは思っていて。
泉・大柴 ハハハハハ。
志村 なぁに毒づいてんだよ。
石田 皆で鍋とかをするときに、鍋奉行になぜかなる。
大柴 良いじゃん、そこまでは。
石田 で、料理も多分好きだから、自分の味にしたくなる。1回ちゃんと出汁取って酒を入れたりするから。俺とかはこう、鍋の素を足せば良いじゃんと思って。
志村 意外にこういうところは雑なわけです。
石田 コントロールしたがるけど、こういうとこまでするんだと思って。
志村 剛規は面倒臭がるの、こういうところ。
石田 まぁだからそのおもてなしを、なんか全部自分でコントロールしてやるのが好きなんだなぁ、って。そこが意外だった。
大柴 では次のサイコロに行きます。1です。えーと、「志村雄彦のここがすごい」。
志村 すごい話、言っちゃって。
 あります。俺が思うのは、高校や大学で雑誌とかの表紙を飾ったような選手って、プライド高いっていうか、天狗になってもおかしくないじゃないですか。けど、どのジャンルの選手の気持ちも分かるんすよ。
大柴 へえ。
 俺らこういう年代で、今こういうことやっているって言ったら、「俺もこうだったから。こうしていった方がいいよ」とか。摂生の話とかも、30歳になって気付いてからやったら遅いから、今から習慣つけろ、って。結構そういうことを練習終わった後、毎回ストレッチの時に教わりました。
大柴 へえ。でも志村さんはなんでその、いろんな選手の気持ちが分かるのかなと。
志村 えー、それは真面目な話になるんですけど。東芝(現川崎ブレイブサンダース)にいた時、石田も分かると思うんですけど。お互い苦しんでいたんで、そういう経験がめちゃくちゃ大きいです。今でこそ川崎がトップチームの1つになっています。でも入った時、石田はトヨタ(現アルバルク東京)にいたんで、その時は彼らがチャンピオンで、僕らは2、3位。それを見てすごく挫折して。で、仙台に来たので。そこは泉には学んで欲しいなって。湘南サンズで石田との繋がりもあるんで、泉はどういう子かなと思ってたんです。パーソナルスペースに入ってくるのが上手なんですよね、この人。
大柴 1歩目が早いタイプ。
志村 そう。でも腹黒い。
一同 ハハハハハハ。

雄彦の熱さと熱量はすごい。その場にいるだけで人を巻き込んで、勢いをもたらす(石田)。

石田 パーソナルスペースに入り込むのは多分、雄彦もすごく上手だと思う。
大柴 泉だけでなく志村さんも?
石田 そう。パーソナルスペースにさっと入っていく。人を巻き込んで、っていうのがね。それはすごいなって。だから人の心をつかんだりするのは早いはずだから、そのへんも何で学んだんだか。バスケットかな。
志村 いや違うでしょう。
一同 ハハハハハハ。
大柴 キャラ的にはいつからなんですか。その、人を巻き込んでみたいなキャラクターは。
志村 いやぁどうですかね。まぁでも、小学生の時の一番大事なスキルっていうのは、足が速いことだと思うんですよ。それがもう一番のモテポイントで、そこは持ってたんで。それって顔とか頭の良さと関係ないじゃないですか。そこには特化してたんで。それでもうリーダーだ、みたいになっちゃって。
 人気ですもんね。運動できることが。
大柴 じゃあキャラクター的には、小学校の時からあまり変わってない?
志村 そうすね。でも(仙台)高校時代はあんまり個性を尊重する高校じゃなかったんで。
一同 ハハハハハハ。
 やばい、やばい。
志村 大丈夫、大丈夫。久夫先生(佐藤久夫。元・仙台高校ヘッドコーチ、現・明成高校ヘッドコーチ)にもちゃんとご挨拶してますから、毎回。
 インスタ見ましたよ。ちゃんとオケさん(桶谷大。現・仙台89ERSヘッドコーチ)とタロウさん(渡辺太郎。現・仙台89ERS社長)と。
大柴 石田さん「志村雄彦のココがすごい」は、今の以外にはないっすか。
石田 熱さ、熱量がやっぱすごいなって。さっきのその、人を巻き込むのもあるけど、勢いをつけるのがすごい。それを持っている人だと思う。だから試合中ももちろんそうだし。楽しむ場でもそうだし。
大柴 楽しむ場ね(笑)。
石田 場に勢いを与えるってのは、やっぱすごいかな。今日も雄彦が到着してから、場が明るくなって。
志村 君たち仲悪いんじゃないの?
 いや、この展開予想して抑えてました。
石田 上手い、上手い。
志村 そういうのいらないんだよ。
一同 ハハハハハハ。
志村 そういうの大丈夫。お前がやんなくても、ちゃんと盛り上がるから。そこは俺がマネジメントするから。飲み会のマネジメントは任せて。
一同 ハハハハハ。
石田 でもまぁそういうの、誰でもできるわけじゃないから。なんか変にやって空回りする場合もあるだろうし。雄彦はそれがないから、組織や何でもそうだし、バスケットボールの面でもそうだし、それはすごいなって。
大柴 なるほど。じゃあ次の話題に行かせていただきます。「志村雄彦いわく」の4です。4は「やめられない話」。志村雄彦がやめられない癖とか。
志村 ダメでしょう。1個しかないもん。
泉・大柴 1個しかない?
志村 コーヒーだね。ずっと飲んでるもん。
大柴 じゃあ相当こだわっているんですか。
志村 こだわってはないですけど、美味しいのが飲みたいんですよ、ちょっとでも。なので豆とかも買うし。
大柴 へー。豆ってことは挽くんですか。
志村 挽きます。別に挽き方は普通です。なんか仕事がこういうふうに変わったんで、コーヒー出していただくことも多くなるんで。俺、現役の時も相当飲んでいたよな。
 朝、まず飲んでいるじゃないですか。で、移動の時に飲んだり。
志村 そう。試合の直前とかも飲んでるよね。
石田 自分で煎れたりは?
志村 煎れる、煎れる。
石田 それやれば良いじゃん。試合会場とかで。持ってって、携帯の挽くセット。
志村 それはね、あるわけですよ。
一同 ハハハハハハ。
石田 あるんだ(笑)。
志村 「タケヒコーヒー」っていうのを考えてます。コーヒーくらいかな、やめらんないのは。
大柴 へー。でもコーヒーって、すごい利尿作用が強いって言いますよね。試合中とか大丈夫なんですか。そんな関係なかったっすか?
志村 汗かいて勝手に水分が出るんで、全然大丈夫です。
 バスの中で「トイレ行きたいんです」みたいな感じで言ったら、「いや、お前トイレ近いんなら、ちょっとそこで汗かけ」とか言って。「早く動け、動け」「汗出れば大丈夫だ」って言われました(笑)。
石田 ヤベぇ先輩じゃん。
志村 ヤベぇ先輩だよ。だってこいつ、うるせえんだもん。
石田 俺、おまえの後輩じゃなくて本当に良かった。
一同 ハハハハハハ。

志村雄彦締め用

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この後も、大学時代や選手同士のコミュニケーションについてたっぷり語ってくださっています。続きは本書をご覧ください。

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