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突然、こんなメールですみません(コロナ禍の演劇 第1話)

「突然、こんなメールすみません」

2020年7月から一度目の緊急事態宣言が解除され、なんとなく世の中がこれから落ち着いてくるのかなと思っていた8月も過ぎた頃、吉田テツタさんから「タッキー今、台本書いてるんだけどできたら読んでくれる」とメールが来た。
「楽しみにしています」と僕。

数年前(だいぶ前)、吉田テツタさんの芝居を観たあと呑み屋で「ボクの書いた本にタッキー出てくれる」と冗談か?ホンキか?分からないような仏器ら坊に言われたことがあった。

「あ、あれか」
僕といえば4月の下北沢の公演も中止になり、秋公演に抑えていた劇場も劇団が早々にキャンセルを決め稽古場で小規模の少人数へ向けたアトリエ公演の準備をしていた。
コロナでショーの仕事が減り、役者仲間との交流もなく、劇団ではZOOMでリモート稽古が始まり、でも何かがぽっかりと空いたまま日々を忙しくしていた。

「書けたので読んでください。感想教えてください」
とひと月ぶりに丁寧だけど、例のぶっきらぼうなメールが来た。

読んだ。なんだろう

舞台芝居への愛に満ちた台詞に溢れていた。
それは僕が役者を続けていたから感じただけなのかもしれないし、このコロナで仲間の芝居がいくつも中止になったからかもしれない。演る方も観にいく側も、どうしようもないリスクを背負いながら何か後ろめたい気持ちと言いようのない緊迫感の中で、ある時間を過ごすという、その意味というか業(ごう)に、テツタさんの描く物語が重なった。

「これは今すぐ演らないといけない台本だ。」

と内容の感想を伝え
僕は、返信した。

「今回の芝居なのですがもし公演を行うことになった場合は
来年2月以降になりそうな感じなのですが
内容が内容だけに
情勢はどんどん変わるだろうし
どうですかね・・・?
遅すぎますかね…?」

どうだろうか。タイミングは僕らのできる時だ。
もっと世の中が戻っているなら、それこそ、沢山の人たちに観てもらいたい。

そして第二稿の台本が添付されたテツタさんからのメールが来た。

「ありがとうございます。
お手隙の時間で結構ですのでよろしくお願いします。」

続けて


「あと、題名を変えようと思ってます。
【芝居は戦う】にしようと思ってます。」

シバイハ、タタカウ

「突然、こんなメールですみません」

「芝居なのですが、来年3月〇〇〜〇〇で公演を打ちたいのですがどうでしょう?
中野のスタジオあくとれです。
予約して良いですか?吉田テツタ」

相変わらず、仏切ら坊な。

もちろん。望むところだ。

シバイハ戦ウ。

戦いは
乗り超えてその足跡を
次の世界に
つなぐためだ。





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テッピンvol.4
「 シバイハ戦ウ 」
2021/03/12(金)~03/14(日)
@中野あくとれ
作+演出=吉田テツタ
キャスト(五十音順)
池田ヒトシ
瀧下涼
日暮玩具
山口雅義

納得のいく答えなんかないけど
僕には、心躰と意思がある
動かさないのは、もったいない。



【チケット予約 フォーム】専用
https://www.quartet-online.net/ticket/teppin4?m=0dbhidc












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