とあるカメコのライブ撮影の実際
筆者がWACKのアイドル現場でカメコを始めて早4年近くが経ちました。振り返りもかねて、ライブ撮影のときのカメラの設定や、撮るときに気を付けていることをまとめてみます。少しでもライブ写真を撮る皆様の参考になれば幸いです。
1. カメラと撮影時の設定について
・カメラ本体について
自分が現在使用しているカメラは、"SONY α7Ⅳ"です。SONYフルサイズセンサーミラーレスのベーシックモデルになります。センサーサイズにはAPC-Sとフルサイズ、その他もありますが、APC-Sに比べてボケが得られることやダイナミックレンジが大きい(明暗やグラデーション)といった利点があります。ライブ撮影においては暗所でのノイズが少ないという点を重視してフルサイズを選びました。なぜSONYかというと、対応レンズ(Eマウント)のラインナップが純正からサードパーティー製のものまで豊富にあるからです。比較的安上がりにできると思います。
・レンズについて
自分が今使っているレンズは、TAMRON 35-150mm F2-2.8 (A058)、FE 70-200mm F2.8 GM OSS IIの2本です。明らかに距離がある場合は70-200mmを使い、最前近くの可能性がある場合には35-150mmを使います。35-150mmは明るい上に幅広いズーム、十分なAF速度とかなり便利に使えますが、サードパーティー製にしては高額であることと、1kg超の重さがネックでしょうか。個人的には瞬時に撮りたい焦点距離を判断して切り替える判断力が必要で、使いこなすのにある程度スキルを要するレンズだなと思っているのですが、その玄人感がまたお気に入りです。70-200mmGMの2型は言わずもがな最高峰の性能なので安心の1本というやつですね。これ以上の距離が必要なときはレンズレンタルで済ますか、テレコンでもかまそうかなと思ってます。最前近くで使用するレンズの選択肢として、標準ズームである24-70mmも選択肢に上がるかと思いますが、個人的には最前であっても奥を狙う際等望遠端が物足りないと思うことが多く、結果手放してしまいました。引きの画を撮る際に24mmは便利なのですが、自分は全体を写すよりも切り取りたい気持ちが強いのでなおさら標準ズームは必要なく、35-150mmに落ち着いたというわけです。
・カメラの設定について
明るさの調節として主にF値、シャッタースピード(SS)、ISO感度の3つの値を設定しますが、自分はMモードで3つ全ての値を自分で設定しています。
まずライブハウス内では、F値は絞り開放、ISO感度は100-12600の範囲でAUTOにした上で、箱の明るさに応じてSSを調整する感じです。SSはできれば1/1000ぐらいにしたいですが、暗い場合は仕方なく下げていきます。適宜写りを確認しつつ調節しています。α7ⅣでもISO12600では結構なノイズが出てしまいますが、それはもう許容しなければならないものとしています。自分は必ず写真のレタッチ(後述)を行ってからアップするので、それ前提で写ればなんとかなるの精神でやっています。ライブハウス内といっても、明るい箱ならISO値の低い美しい写真を撮れる公演もありますよ!また、フリッカーという写真に縦線や横線が入ってしまう現象が存在します。なんで線が入るんや!と思った方も多いのではないでしょうか?実は照明は一定の周波数で点滅しており、関東では1秒間に100回、関西では1秒間に120回点滅していると言われています。その点滅の影響でフリッカー現象が出現しているというわけです。カメラの設定においては、フリッカーを抑えるフリッカーレスの設定があるものもありますが、周期的な点滅ですので、フリッカーが出にくいSSに設定することでこれをある程度抑えることが可能です。自分は一応開演前に照明を撮ってフリッカー出現の有無を確認し、SSを設定しています。意味があるかどうかは分かりません!()
そして明るい昼間の屋外は結構なくせ者です。ISO値も3ケタくらいまでに抑えることができ美しい写真が撮れやすいですが、明るすぎて白飛びしちゃうことも多々あります。天気や影にもよりますが、昼間の屋外では基本的にはF値は欲しいボケ感に合わせて設定し、ISO感度は100~800くらいの低い値にして、あとはSSで白飛びしないように調整します。自分は明るさをレタッチで調節すること前提で撮るので、あえて暗めに撮ったりします。AFも効きやすいですし、SS1/1000超えで撮れるのでバシバシ決まって楽しいです屋外。
ピント合わせに関しては、SONYでいうところのコンティニュアスAF(AF-C)に設定し、フォーカスボタンをシャッター半押しではなくカメラ背面のAF-ONボタンに設定しています。AF-ONを押している間フォーカスエリア内にピントを合わせて続けてくれるような設定にしているわけです。半押しにはもう戻れない…またフォーカスエリアは、これまたSONYで言うところの拡張スポットにしています。ある程度ピントを合わせたいところを自分で決めつつ、動きものであるため大きく外さないようにしている感覚です。顔にフォーカスエリアがかかっていれば瞳AFも機能しますので現代の技術に感謝ですね。
2. 良い写真(?)を撮るために
どのような写真が良い写真なのか?…自分もよく分かっていません。その場の雰囲気や被写体の様子にも左右されるでしょうし、ラッキーパンチな部分も大いにあるかと思います。ただ、自分が撮るときに気にしているのは構図です。そして、撮ったあとの写真の処理もカメコの仕事だと思っています。
・構図について
構図が意識された写真は良い写真に見えやすいと思います。自分は三分割構図を常に意識するようにしています。具体的には、フォーカスエリアを中心に置くのではなく、あらかじめ縦横三分割した線の交点あたりにフォーカスエリアを置いています。こうすることで、急なシャッターチャンスにおいてもバランスの良い写真が撮れやすいと感じています。
被写体が中心に写っている所謂日の丸構図も、アイドルという素晴らしい被写体を撮る際には問題ないかと思いますが、他の構図も頭に入れておいたほうがカッコよい写真が撮れるかも…と思っています。
構図に関しては、動きのある中では難しい部分もあるので、撮れた写真をトリミングするときに、構図を意識してトリミングしてみると写真としてのバランスの良さみたいなものが理解できるかもしれません。
・写真の選別とレタッチについて
写真を撮ったあとには、どの写真を採用するかと、その写真をレタッチする作業があります。撮って出しでも問題ない写真もありますが、WACKでは許可なくSNSなどに写真をあげることができるので、せめて被写体に対する思いやりを持って写真に向き合ってほしいと思います。
写真の選別に関しては、半目になっているものや意図せず変顔になっているものはもちろん論外ですが、衣装によっては際どかったりするものも上げないようにしています。そもそも際どくなりそうなときにはカメラを構えないようにしています。SNSでは上記のような写真もよく見かけるため憤慨している人も多く居られます。撮った本人は何が悪いのか理解できていないように見えます。こういう写真を見るたびに、このカメコさんは表情を認識したり推測したりする部分が自分とは違うんだろうなと解釈しています。自分が被写体となってこういう写真をあげられたらどういう気持ちになるかという視点にも欠けているんだろうなと…熱くなってしまいました。本当に腹が立つ。アイドルさんたちは何も言えないんだから!!今で言うノンデリってやつでしょうか。周りの近しい人たちがこういう写真上げちゃダメだよと教えてあげてほしいものです。
レタッチ…つまり写真に手を加える作業ですが、基本的にはLightroomを使用して、写真の明るさと色味、そして被写体のお肌の具合の調整を主に行っています。Photoshopなどで別人レベルに加工することはコスプレ等の写真ではよく見かけますね。あれは加工も含めてコスプレなのだと解釈しています。一方アイドル界隈ではそこまでの加工はあまり見かけません。そこまでの加工を被写体が望むかどうかも分かりませんし、実際と写真がかけ離れてしまうのもマズいのかなと思い、思いやりはあるけど当たり障りのないところでレタッチを行っています。うわーーでもアイドルのみなさんは本当はどう思ってるんだろう??気になっちゃうなーでも聞けないなーー!!これを見ている女子のみなさん(いるのか?)どう思いますかーー??!!
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以上が現在筆者がアイドルライブカメコとして撮影に望む際に気を付けていることや心がけていることです。コロナ禍以降、カメコの数はやはり増えているように感じます。カメコなんてそんなに良いもんじゃないと思うのですがどうして増えるんでしょうかね??重いでしょカメラ持ってくるの。オールスタンディングの現場が増えてきている以上カメコとしての立ち回りも変えていく必要があります。ギュウギュウのライブハウス内ではカメラなんて凶器ですから、無理に持っていくのは控えましょう。ただカメコが完全に必要ないかといえばそうではないと思います。WACK現場全てスマホなら動画OKになったということは、SNS等への発信も重視するようになってきたということですから、やはりアイドルのみなさんの素敵なお姿を発信するという意味でカメコもまだまだ必要なんじゃないかなと思います。ただカメコの質に関しては、自戒の意味も込めて気をつけていかなければならないなと思います。現場ごとの動き方を把握していればフロアとカメコも共存できるんじゃないかなと、最近のライブに参加してみて感じたところであります。
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