お腹の中の嵐
たまに彼氏が寝転んでいる私のお腹に耳を当てる時がある。ちょうど良い重みで私には心地よい時間だけど、彼氏はしばらくするとくすくす笑いだす。
「音すごい?」
「嵐起きてる」
なんだか気恥ずかしい。
私はお腹の中が多分普通の人よりゴロゴロいっている…と思う。お腹が弱いことと関係あるのかはわからない。
私のお腹の中で起きてる嵐の音を、彼氏はただじっと聞いている。
目を閉じて、たまにお腹に頬擦りをする。
外は思わず笑い出したくなるような快晴なのに、散らかった部屋の中、綿が泣いて詫びているような煎餅布団の上で2人寝っ転がっている。
少しだけ汗ばんでいるけれど、それでも2人はくっついたまま。穏やかに時間が過ぎていく。
時間になったら私は家に帰らなくちゃならない。
だから1秒たりとも無駄にしないように。2人はじっとお互いを確かめるようにくっついて、ただ愛を噛み締めるのだ。
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