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組織で働いているデザイナーがポートフォリオ(作品集)を必要とされるのは、新しい仕事を担当するメンバーの実績紹介として使用するケースが主となります。ポートフォリオをお見せする相手を挙げると、クライアントの宣伝部や広報部に向けて。インハウスのデザイン部に向けて、または代理店のクリエイティブディレクターやアートディレクターに向けてなど、これ以外にもさまざまなパターンがあります。クライアントは提出されたポートフォリオを見て、これから実際の仕事を依頼する、または、今後共にプロジェクトを担っていくパートナーとしてふさわしいかどうかを判断することになります。

そこで今回はポートフォリオのつくり方に関して注意しておきたいポイントをご紹介します。(※就職のためのポートフォリオのつくり方ではありません)


1. 相手が必要とする作品を紹介する

車のデジタル広告をつくるためにデザイナーを探している相手に、ファッションや演劇の紙ベースのグラフィック作品を集めて見せても、クライアントは判断できません。むしろ「今回の仕事の趣旨が分かっていない」と思われることにもなります。

車の広告の作品がない場合でも、機械系の広告作品や、デジタルに特化した作品でポートフォリオを構成したほうが、見る側が判断しやすくなります。大切なことは「今回の仕事のことをきちんと理解してくれている」とクライアントに思っていただけるかどうかです。相手のことを考える前に、自分のことばかりを紹介しても、結果はよくなりません。

もちろん、まず趣旨に合った作品を紹介した後、それ以外の作品を紹介するのは、自分のデザイナーとしての活躍できるフィールドの広さや、プロのデザイナーとしての経験を見せることに繋がるので問題ありません。


2. Briefing と My Design を明記する

Briefing とは「簡単な状況説明」という意味です。案件の依頼内容や与件に対してのソリューションを簡潔にまとめます。

My Design は、案件の依頼内容や与件に対して、どのように工夫し取り組んだか、そして、どのような結果や成果に繋がったのかをまとめます。

下記はたき工房の作品事例です。

https://www.taki.co.jp/works/graphic/

デザイン画像を貼り付けるだけでなく、制作意図を明記することは、依頼された仕事を、単にデザインやレイアウトとしてだけを考えるのではなく、企業の問題解決に対して、自分はどのように考え企画して、成果を出すかを大切にしているデザイナーだと示すことにもなります。また、ポートフォリオを提出すると、その後は一人歩きになるので、誰が見ても理解できる、簡単な案件説明としても機能します。

どちらも100〜150ワードくらいで明記します。伝えたいことが多いために説明過多になっても相手は読んでくれません。言いたいことを簡潔にまとめる訓練にもなりますので、ポートフォリオをつくる時だけでなく、普段から書く習慣をつけるとよいと思います。


3. オリジナル作品を載せる

これは毎回必要なことではないのですが、ポートフォリオの提出相手が代理店のクリエイティブディレクターやアートディレクターの場合、同業者という視点でポートフォリオを構成することも効果的です。

たとえば、実案件を紹介したのち、フィックスされたデザインに至るまでの、ボツラフなどを紹介することもアイデアのひとつです。ボツになった手書きのサムネイルはそれだけでもオモシロイですし、完成までのプロセスは、自分のデザイナーとしての思考を伝えることもできます。自分というデザイナーを知ってもらうことで、今後のパートナーとして、継続的な関係を構築するための要因にもなります。

また、プライベートのオリジナルデザインを紹介することも大切です。実案件は自分のプロのデザイナーとして、力量や経験を伝えるためには重要です。ただし、あくまでそこで紹介した作品は、自分が関わったクライアントの仕事の紹介のみとなります。

すべてのデザイナーがさまざまな業種のデザインをしているワケではなく、ひとつのクライアントだけのデザインをしているデザイナーは数多くいます。

そのため、実案件の紹介以外にも、プライベートのデザインやクリエイティブ活動でつくった作品を紹介することにより、デザインに対する成長への欲求や想いを伝えることができます。これは成長過程のデザイナーにとっては、仕事と同じくらい大切な要素なのです。


デザイナーの育成についての情報を発信します。
たき工房には115人のデザイナーが在籍しており、日々さまざまな仕事で自己研鑽をしています。また、キャリアと適性に応じた研修・育成制度が、個々の能力向上に活用されています。
デザインには、一気に上手くなるような一発必中の魔法はありません。繰り返し反復することにより、少しずつ、デザインクオリティが上がっていきます。
このコラムでは、たき工房のデザイナーたちがどんな方法でスキルアップをしているのかをご紹介しますのでご覧いただければと思います。



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