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2019年の1月に香港と武漢に行ったおはなし①(全2話)

「ねぇ、今度遊びに行っていい?」「いいよ~」
そんな軽い流れで中国に出かけることが決まった。当時友人は企業の駐在で、湖北省武漢市に住んでいた。武漢へは直行便もあるのだが、日程と値段の兼ね合いで乗り継ぎ便を利用することにした。経由は香港。安直な中華圏旅が始まることになった。

憧れの香港

とある木曜日の朝、香港へ向かう。飛行機が早いために、最寄りを始発電車で出発。銀座から成田へは1000円バスで。

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キャセイパシフィック航空509便は9時ちょうどに成田を出る。空港には7時過ぎくらいに着いた。正月明けの平日。空港はかなり閑散としている。免税店で友人へのお土産を仕入れる。

機内に入ると案の定空いていて、大型機なのに横一列誰もいなかった。隣がいないだけで、かなり気楽な旅になる。ありがたいことだ。
機内食は朝食メニュー。CAさんにコーヒーか紅茶か聞かれるも、ビールある?と答える。だってカートの端にサンミゲル積んでるのチラッと見えているもの。朝から飲むサンミゲル。背徳の飲み心地。

香港には5時間半ほどで到着。襲う熱気。独特の匂い。これが香港なのか。

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券売機でオクトパスカードを買い、バスターミナルへ。スーツケース持って登り下りを避けるため、鉄道ではなくバスで行く。香港の二階建てバスに地味に感動を覚える。とりあえずバスで宿がある尖沙咀(Tsim Sha Tsui)へ向かう。九龍半島の南端だ。

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バスは快調に市街地へ進む。今回はA20というバスに乗った。尖沙咀に行くバスはA21が有名で乗り場も行列でかなり混んでいるが、対してA20のバスは数人が乗るだけで空いている。現在はルートが変わり尖沙咀へ行かなくなってしまったが、当時はほとんど同じようなルートを通っていたのでA21にわざわざ乗る理由もなかった。

乗り過ごさないように香港のバスアプリとにらめっこしながら「金馬倫道、彌敦道」というバス停で降りる。バス停からは目と鼻の先、「美麗都大厦(ミラドールマンション)」という雑居ビルに今宵の宿はある。
予約サイトで見つけたパールゲストハウスという宿なのだか、書いてあるフロアに上がっても見つからない。真ん中が吹き抜けの口の字通路を一周して、掃除をしていたおばちゃんに連れていってもらう。明らかに別の名前が書いてある扉を開けると小さいカウンターがあった。ここだチェックインをするようだ。

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スタッフはインド系、すでにチェックインしていた客はマレー系の客だった。かなり聞き取りやすい英語で手続きしてもらう。そういえばここ元英領だった。インドもマレーも香港も。
チェックインの終わりかけの頃、さっきのおばちゃんがやって来て、そのまま部屋に案内される。ぶっきらぼうだけど優しいおばちゃんだ。部屋は全部で3畳くらいの広さで、ベッドとトイレ&シャワーがあるだけ。シャワーを浴びると便器が濡れるやつ。2500円位だからなんの問題もない。今回は1泊だけだから、環境より立地が優先。

荷物を軽くほどいて身軽になったところで街に繰り出す。両替すらしていなかったので、まずは香港ドルを手に入れる。

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ミラドールマンションから彌敦道(ネイザンロード)を南に数十秒、尖沙咀でお馴染みの重慶大厦(チョンキンマンション)にやって来た。こちらの方が安宿が多くあることでかなり有名で、1,2階には両替商が多くいる。レートのいい店を見つけて香港ドルを手に入れた。また明日、中国に行く前に人民元に換えてもらう。

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機内食を食べてからだいぶだったので遅めの昼食、尖沙咀以外にも数店舗あるというワンタン麺が有名な池記という店へ。ランチとディナーの間は飲み物もセットでお得に食べることができる。ゴリゴリに食べごたえのある麺とプリプリの海老ワンタンがうまい。

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彌敦道を南へ歩いていくと、どん詰まりの角にそごうがある。日本もだいぶ少なくなったけど、台湾と香港のそごうはまだまだ元気そうだ。
道を歩いていて、その横を二階建てバスや赤いタクシーが通りすぎるのを見ると、なにやら香港映画の世界に引き込まれた気分になる。

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彌敦道のどん詰まりの先、公園の向こう側は海だ。あぁ、これがビクトリアハーバーか。そして向かいは香港島。本やネットなんかで何度となく見た光景が広がっている。これはいい。雲がどんよりしているけど、なんとなくこれくらいがちょうどいい気がするんだ。
公園の横から香港島へ向けてスターフェリーが出ている。尖沙咀から中環と灣仔へ2路線。観光客も地元の人も次々と乗り場に吸い込まれていく。「往 中環  To CENTRAL」の標識が示す方へ、自分も流れについていく。

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フェリーは二段構造で乗り場も違う。なにより値段が違う。上の方が少し高い。とはいえ値段の大差ないし、空いてそうだったので上の方へ。オクトパスカードでさくっと乗れる。
地元の人の多くは慣れたように下のフロアへ行っていたけど、多少は上のフロアにもいる。船が動くまでずっとスマホとにらめっこしていた若いひとり客が、動き出すと物憂げに外を眺めていたのが印象的だった。

船はあっという間に香港島へ到着した。香港島の中環は金融機関や政府や各国の機関が集まるオフィス街。超高層ビルが連なっている。場所柄駐在の欧米人の姿もかなり目立っている。スーツ姿の欧米人なんて普段あまり見かけないから新鮮だ。
フェリー乗り場からビル街へは歩道橋というかデッキのようなものでずっと繋がっている。何本も大きな通りを越えたが、横断歩道もなくずっと歩いていける。

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アップルストアも通りの上にある。かなりでかい。こんなのも土地が少ない香港ならではだと思う。

中環のビル街に挟まれた「畢打街 Pedder Street」という電停から東行きのトラムに乗る。料金後払いで後ろから乗り込む。香港のトラムと言えば、世界的に珍しい2階建て構造だ。せっかくと思い2階へ上がるとかなり混んでいる。ひとつ空いていた通路側の席をもらって座る。

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隣の席は欧米系の青年。のんびりとした速度で電車は進み、開け放した窓から風が吹き込んでいる。電停や信号で停まると、ぬるい空気が顔の回りで停滞する。

目的地「堅拿道西 Canal Road West」という駅についた。人を掻き分け、前の出口から降りる。運賃はHKD2.3。安すぎる。

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駅から高架道路に沿って10分ほど、立ち寄ったのはハッピーバレー競馬場。別にレース開催日ではないけれど、なんとなく香港って競馬のイメージがあったので気になってきてみた。馬場は小さく、今はメインの競馬場は九龍側の郊外にある沙田になっている。肝心の競馬博物館がしまっていたので、職場の競馬好きの為にショップで香港競馬のグッズだけ買って退散。

夜の香港をゆく

次は香港といえば、のところに行く。競馬場から数分歩いたところをバスが通るので乗り場を目指し緩やかな坂を少し上っていく。
学校と病院に囲まれた「聖若瑟小學; 皇后大道東」というバス停。やってきたバスの行き先表示には「15 山頂 The Peak」の文字。車内はかなり混雑している。終点までは狭くうねった坂道を40分ほど。かなり攻めの走りである。

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一度は来たかったビクトリアピーク。バスに乗っているうちに日が暮れて、かなりいい時間になっていた。指ではじいたら、ぱきっと折れてしまいそうな香港島側のビル群と、ビクトリアハーバーを挟んで向こう九龍側の夜景。下界よりもちょっとだけ心地よい風が吹いている。大満足。

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帰りはピークトラムで帰ろうかと思ったけれど、ものすごい行列。また来たバス乗り場に戻る。
中環へ戻る15番の乗り場もそこそこ列ができていて、前のバスを一本流して次のバスに乗る。1時間くらいかかるので今回は座席に座る。相変わらずの山道、そして攻めの走り。座っていたがゆえに酔う。普段乗り物酔いしないんだけどな。坂を下りきるまでの40分ほどがかなりきつかった。

バスは中環のスターフェリーの前が終点なので、そこでフェリーに乗り継いで九龍側へ戻ることにする。

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相変わらず2階に乗船する。さっきとは違ってこの時間はかなりの人が乗っている。殆どが観光客で賑やかだ。船が動き始めると右手に香港島の夜景が遠ざかる。
スターフェリーはやはりあっという間で、大量の乗客と共に尖沙咀の街へ吐き出される。ちょうどいい時間に着いたのでこのままシンフォニーオブライツを観に行くことにしよう。

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シンフォニーオブライツは毎晩20時から始まる光と音楽のショー。九龍側から香港島方面を眺めるのが綺麗というので、よく見える場所を探す。時計台の横、埠頭の2階デッキに上がるとかなりの人でごった返していた。
ビルの電飾やレーザーを使った光のショーはかなり見応えがあって、ほどよく曇っていたのが、逆にレーザーが映えることになって味があった。10分ちょっとのショーは、立ち見でも疲れず気軽に観れてちょうどいい。

シンフォニーオブライツを見て、とりあえずこの日やりたいことは終了。お腹もまだ空いていないし、目的もなく歩いて回ることにした。
ふと思い立ってトイザらスへ。知り合いの息子さんがハマっているというプラレールを買う。現地香港MTRの車両。なんか地味だけどどうだろう。(結局喜んでもらえた)

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ふらふら夜道を歩いて、気づいたら旺角(Mongkok)まで歩いてきてた。旺角には小米(Xiaomi)のショップがあるので覗いてみる。店内はかなり混雑していて、スマホ関連のものだけでなく家電関係もいろいろと並んでいた。

歩き疲れたのでMTRに乗って尖沙咀へ戻る。赤い線の荃灣線。この旅はバスとフェリーばかりではじめてのMTRだ。構内も車内も相変わらずの混雑っぷりで、香港は夜遅くもかなり人の動きがある。旺角から尖沙咀は3駅なのであっという間。
尖沙咀の駅を出るとここもかなりの人。重慶大厦の前の横断歩道の往来も激しい。人混みも疲れるし、軽い夕食を部屋で食べることにしてファストフード店で軽くつまみを買う。コンビニでビールを買おうとしたら、おっちゃんに年齢確認をされる。20後半なのにね。

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シャワーで汗を流して、ファンを回してビールを飲む。暑い気候に合う軽いビールだ。
翌日は早起きなので、この日は早めに就寝することにした。

朝の香港。飲茶。

朝4時。おもむろに目が覚める。日本時間の朝5時は普段目覚めている時間。もはやいつも通りである。

香港島にある店で朝から飲茶をキメたいのだが、お店の開店もMTRの始発も6時から。なるべく開店にあわせて行きたい。
調べるとバスを乗り継いで行けるようなのでとりあえず部屋を出てみることにした。

重慶大厦の先にある「中間道; 彌敦道」のバス停から紅磡(ホンハム)の駅までバスに乗る。早朝5時でもいろいろな系統のバスがネイザンロードから尖沙咀を通って紅磡駅へ走っている。紅磡まではほんの数分で着いた。

紅磡は広州まで行く九広鉄路の始発駅で、上海や北京への夜行列車も出る駅だからかなり大きい。早朝のだれもいない静かな駅舎を横目に見ながら、地下通路を通って次のバス乗り場を目指し歩いていく。

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紅磡の駅から歩いて数分。香港島へ渡るクロスバーバートンネルの入り口に「海底隧道収費廣場」というバス乗り場がある。(写真右側)
さながら高速バスの停留所を大きくした感じ。ここから香港島各方面へのバスに乗れる。
やって来た(記憶が正しければ)101番「堅尼地域 Kennedy Town」行きのバスは、かなり混雑していた。走り始めるとすぐトンネルに突入しビクトリアハーバーを越える。香港島内は細かくバス停に止まり、少しずつ乗客が減っていく。20分もかからず、「威霊頓街; 皇后大道中」で降りる。威霊頓街はウェリントンストリートらしい。なるほど。

バス停からすぐ「蓮香樓(今は名前が変わって蓮香茶室)」へ到着した。店内にはおっさんの客しかいない。席に通され伝票(紙切れ)をもらいお茶を頼む。お茶は(壽眉)サウメイ茶。

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お茶を飲む前に食器を洗う。洗杯というやつだ。席に着くとみんなやるから、あちこちからカチャカチャと食器がぶつかる音がする。
急須のお茶を入れてひと息つく。クセのない口当たりで、なんとなくシャキッとする味。なににでも合いそうだ。

ワゴンのおばちゃんが来たので、蒸籠を見してもらう。広東語なんてわからんので指差しで注文。注文の時に伝票にはんこを押してもらう。帰りに伝票のはんこの位置と数で精算してもらう。

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肉まんみたいなのと、肉団子。肉しかない。肉団子なんかかなり主張してくる食べごたえがある感じだけど、お茶がさっぱりしているのでいい組み合わせだ。いやはやかなりおいしい。
もう一つくらいなにか食べようと思っていると、おばちゃんがワゴンに大きなポリバケツを載せて歩いている。バケツから杓子で掬っているのはお粥っぽい。次はあれにしよう。

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発注。思った以上に大きい。かなり大きい。ラーメンのどんぶりくらいある。お粥の中にはチャーシューや魚を細かくしたやつや、豆なんかが入っている。チャーシューは元がしょっぱいからか、お粥で中和されていい塩梅。ひとりで食べるのは難儀だけど、中華粥好きの自分にとっても大満足。

食べるだけ食べて、お茶を飲む。お茶がなくなったときは急須のふたをずらして半分だけ開けておくと、勝手におっちゃんが来てお湯を足してくれる。無限お茶地獄だ。
のんびりしていたらだいぶ店内も混んできた。同じテーブルにも相席のおっちゃんがやって来て、慣れた手つきで洗杯をしていた。広東語の新聞を片手にお茶を飲んでいる。まわり見渡したらみんなそうだった。早朝はひとり客ばかりみたい。いい。香港の朝。

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長居もしたことだし、お茶を飲みきって外に出る。すっかり陽が出て明るくなっていた。お腹もふくれて大満足。腹ごなしにのんびり歩きながら宿の方へ戻っていくことにする。

お店から階段と坂道を下って、昨日も来た中環へ。朝の中環はまだ出勤時間前で人が少ない。

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オフィス街からデッキで通りを抜け、ビクトリアハーバーのほうへ歩いていく。デッキを爽やかな風が抜けて気持ちいい。東の山の端から太陽が見えている。理想的すぎる朝。散歩やランニングをしている人もかなりいる。

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デッキをたどってビクトリアハーバーに辿り着くと、ちょうど中環碼頭(フェリー乗り場)にぶつかった。西から順に数字が振ってあり、ここは3號碼頭。スターフェリーが出る7號碼頭まで海沿いを歩いていく。それぞれの碼頭には通勤通学客を乗せた離島便の大型船がぞくぞくと到着していた。

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7號碼頭からスターフェリーで尖沙咀へ戻ってきた。相変わらず気持ちのよい船旅だ。 
昨晩シンフォニーオブライツを見た海辺を少し散歩して宿に戻る。香港の朝活、本当によかった。

香港から中国本土へ

部屋に戻ってちょっと休憩して荷造り。香港で使う残りの現金とオクトパスカードの残額を確認して、重慶大厦の両替商で香港ドルを全部人民元に換える。真っ赤な毛沢東をゲット。あと宿がある美麗都大厦にあるジェニーベーカリーで缶入りのクッキーを買う。この店はやたら韓国人が多い。

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部屋に戻って、尖沙咀のスターフェリー乗り場にある「泰昌餅家」でエッグタルトを買っていたのを食べる。ほんのり優しい甘さ。本当は昼ごはんを香港で食べてから出発しようと思っていたけど、朝から食べ過ぎたのでぼちぼち出発することにしよう。

宿がある美麗都大厦から尖東の駅を目指す道すがら、少し寄り道をする。

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永安百貨という商業施設の吹き抜け。ここはポリスストーリー(警察故事)という映画のクライマックスでジャッキー・チェンが上から飛び降りるシーンのロケ地。ひとつくらい香港映画のロケ地に寄って見たかったので、お手軽に行けそうだったここに寄ってみた。

とりあえずやることはやったので、香港を後にする。
MTR西鉄線で尖東から隣の紅磡へ。紅磡で東鉄線に乗り換えて羅湖(ローウー)を目指す。東鉄線はかなり混んでいる。電車は途中から地上に出て、沙田の競馬場の横をかすめる。羅湖のひとつ手前、上水で落馬洲方面と分岐する。落馬洲も中国との境界がある。上水からさらに大量の中国人客を乗せて終点の羅湖へ向けて走る。上水から先は制限エリアらしく、住宅などなにもない原野が広がっている。

羅湖到着。人の流れにのって改札を出て香港をあっさり出境する。境界の川を越える橋を渡り中国側へ。手荷物検査、指紋登録をしてパスポートコントロール。ここまでかなり順調。パスポートにスタンプおされて終わりかなと思ったら、別の係官に離れたカウンターへ連行されて、さすがに焦る。ちょっと位の高そうな係官にメガネ外してみろだのいろいろ聞かれたけどあっさり解放された。もうひとり日本人のビジネスマンも連行されてたけど、かなり長そうだったからちょっと心配だ。

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香港から中国、広東省の深圳に入った。広東語の繁体字が普通話の簡体字へ変わると急に中国を実感する。今回は深圳に用事はないのでさっさと広州へ向かう。
羅湖は中国鉄路の深圳駅と接してるので、まずはきっぷ売り場を探す。深圳と広州の間には広深鉄路という列車が頻発していて、深圳駅は他の列車と違う専用の入口から駅に入る。

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手荷物検査を受けてきっぷを買う。広深鉄路は基本的に深圳駅と広州東駅を結んでいるけれど、数本は広州駅まで行く。後の予定も考えて、広州駅まで行く列車に乗る。
きっぷを買う時には必ずパスポートが必要。窓口できっぷとパスポートとおつりが投げて帰ってきたときに、ここは中国なんだと再確認。

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13:34発のC7150列車に乗る。改札が始まるとわらわらと人が集まる。列なんて正直あったもんじゃない。

今回は価格差もそんなないので1等車に乗ることにした。日本でいうグリーン車。固定のボックス席。しかも後ろ向き。夫婦とおぼしき男女と向い合わせになった。
列車そのものはかなり快適で、新幹線より少し遅い速度、時速200キロくらいで走っていく。深圳を出るとかなりの牧歌的な景色が続いていた。

途中広州東で大量の客をおろし、深圳から1時間半で広州駅に到着。

広州をちょっと歩く

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広州からは夜行列車で武漢へ向かう。列車のきっぷを引き換えて、時間もかなりあるので荷物を預ける。雑多な感じでちょっと気後れしているけど、とりあえず街歩きに出掛けよう。

まずは地下鉄に乗る。中国は地下鉄でも手荷物検査がある。だいぶ面倒だ。
广州火车站(広州駅)から2号線で公园前(公園前)、そこから1号線に乗り換えて长寿路(長寿路)で降りる。降りたらマックスバリュがあった。日本の田舎かな。

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駅から歩いて数分、上下九歩行街という繁華街に来た。中国の街の雰囲気を知るためにとりあえず繁華街へ。確かに賑わっている。店先で音が鳴る羽子板みたいなのをカチカチ鳴らしながら客引きをしている。飲茶が出来るたくさんお店もあるし、広州酒家という飲茶の店には「食在広州  食は広州にあり」と大きく掲げられている。

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外資系のお店なんかもたくさんあるけど、習近平がどうしたとかいうスローガンを見ると、ここは中国なんだなと思う。あと物凄くがやがやしている。朝の優雅な飲茶の記憶が飛ぶくらいの喧騒と混沌。
あまりのんびり出来そうもないので、Mobikeというオレンジ色のシェアサイクルを借りて上下九を後にする。

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自転車で川っぺりまでやって来た。繁華街から外れたからほんの少し落ち着いてるかな。天気としては晴れなんだろうけど、かなりガスっている。なんならこの方角にスカイツリーが出来るまで世界一の電波塔だったという広州タワーが見えてもおかしくないんだけどな。

海珠广场(海珠広場)の駅から2号線で広州駅へ戻る。本当はもう少しふらつきたかったけども、想像以上の人混みにかなり疲れが来た。駅に戻ってゆっくり列車を待つことにする。さっきもだけど広州の地下鉄は常にラッシュかってほど混んでいる。中国人と押し合いへし合いしながら広州駅まで耐えるのはかなりの苦行だ。

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駅舎に掲げられた「统一祖国復兴中华(統一祖国復興中華)」のスローガンが勇ましい広州駅。金曜の夜ということもあってかなりの混雑。広州にある長距離在来線が出る駅としては、広州東とここが二大巨頭。いかにも地方から出稼ぎに来た風の人達が大量の荷物を持って里帰りをする姿が多く見られる。
自分も預けた荷物を受け取って中へ。手荷物検査をして、パスポートを見せてきっぷの実名確認(中国のきっぷは名前と身分証番号入り)する。

駅は空港のように巨大で、列車ごとにそれぞれ学校の体育館くらいの大きさがある待ち合い室がある。自分の列車の待ち合い室は座るところがないくらい混雑していたが、利用するクラス専用の待ち合い室が別にあったのでそこへ。売店で買った哈爾浜ビールを飲みながら待つ。
専用の待ち合い室の女性係官二人がやたらといい人たちだった。日本人が珍しいらしく、二人でパスポート見ながらキャッキャしている。中国語がわからないだろうからといろいろと身振り手振り、片言の英語で教えてくれる。

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今回乗るのは広州を20:12に出て、翌朝7:44に武漢市の武昌に着くT180列車。約11時間半の旅だ。
列車の改札がはじまった。アナウンスされたのはわかっていたけど、さっきの係官がちゃんと呼びに来てくれた。中国人って優しいし、良くも悪くも人懐っこい。
物凄い数の中国人たちとぞろぞろ乗り場へ向かう。ホームには濃い緑色の車体の列車が停まっている。車内には2段寝台が向かい合わせの4人部屋。その上段が寝床。意外と綺麗だなと思っていたけど、部屋の荷物置き場にポテチの筒が転がっていた。ゆるい。

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車掌が回ってきて、きっぷをプラスチックのカードに交換する。降りる前にまた返してくれるので、深夜早朝の到着でも寝過ごさないシステム。よくできてる。

自分の寝台の下の段は向かい合わせで老夫婦。上段の向かいは30代半ばくらいのお兄さんだ。揺れも少なく普通に寝れそうだ。

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落ち着くと急に腹が減ってきた。車両端の給湯器からお湯をもらい、非常食のラーメンを食べる。夜汽車で食べる即席麺はしみじみうまい。

翌朝は武漢。また知らない街の旅がはじまる。

→②に続く。
2019年の1月に香港と武漢に行ったおはなし②


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