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古き善き場末の映画館(4) 特別編

山田洋次監督の89作目の作品「キネマの神様」を観ました。涙が止まりませんでした。

去年亡くなった両親は新婚時代、映画館に住み込みでした。新潟県小千谷市の劇場「明治座」 明治時代に東京の明治座を模して造ったらしいです。映画館にしてはステージが広かったのは歌手や劇団が来て芝居やショーをやっていた名残だったのです。

父は20代で映写技師の免許を取得し同じ小千谷市内にあった別の映画館に就職し、後に明治座に住み込みで勤務するようになります。昔のフィルムは可燃性だったので、映写技師は国家資格でした。「ニューシネマパラダイス」で映写機から火がでるシーンがありましたね。その住み込みで働いているときに母と出逢います。

幼い頃は学校が休みになると父が出勤するときに付いて行って映画を観たり事務所でおやつを食べたり時には父が仕事する映写室でフィルムが回るのをボーと眺めたりしてました。「キネマの神様」にはその頃父が使っていた旧式の映写機が登場します。主人公のゴウとテラシン、淑子が映写室に集う場面で映写技師のテラシンが操作している映写機です。あの映写機の回る音を聞くとやけに落ち着くんですよ。多分母のお腹の中で聞いていたのかも知れない。

その場面では淑子が出前のカツ丼を持って来ます。父の映画館でも映写室の中に畳三畳位の休憩室があって、そこでよく出前のカツ丼やラーメンを食べたものです。

ゴウと淑子の夫婦関係に両親の事を重ねてみたり。ゴウから淑子へのラブレターは山田監督から亡き奥様へのラブレターなのかなと思ってみたり。そして小津安二郎監督の「東京物語」のシーンを北川景子で再現した山田監督にはお見事と言いたいです。

そして、あのラストシーンですよ。「そうきたか!」と心の中で叫んでました。今年映画館で観た作品でラストで号泣したのは「鬼滅の刃」以来ですよ。映画好きの両親にも観せてあげたかった。

そして、山田洋次監督89歳で89作目。まだまだお元気で創作活動を続けていただきたいです。

次回は山田監督の映画にエキストラ出演したときの話をします。


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