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声変わり

息子が16歳になった。
娘はこの4月で中学生になる。

気のむくままに書いてきたnoteだが、中高生になる子どものことに触れるのはこれが最後。そろそろ潮時だと感じている。自分が子どもたちの立場だったら、父親目線のエモい文章なんてキモいを通り越して迷惑だ。

息子の誕生日がたまたま日曜日だったので、ランチをしつつ家族4人でカラオケしようということになった。数年ぶりに行ったカラオケボックスだったが、内装もシステムも、驚くべきほど何も変わっていなかった。消臭剤のきついニオイ。手元のパッドにタッチペンで選曲するシステム。マイクに被せられた「除菌済」のビニール。音に連動する謎の照明。一曲目歌ってる途中にドリンクを持ってくる店員さん。

GLAYやミスチルやラルクやドリカムが流行ってたあの頃、部活のない日は男友達と毎日のように学校帰りにカラオケしてた。

あの頃同級生が座っていた向かいのソファーに、ほとんど同じようなシルエットで息子が座っている。すっかり声変わりした声で上手に歌う息子の歌声を聞きながら、成長のたしかな実感と、音楽的なDNAは祖父母譲りでいいところを継承したな、と誇らしくなったりもした。

妻は妻で、娘と一緒に流行りの歌を歌ったりしている。
中学受験の勉強に付き合いながら、BGMで一緒に聴いているうちに覚えてしまったようだ。決して平坦な道のりではなかったけれど、朝から晩までまさに二人三脚で、妻と娘は中学受験を乗り越えたばかり。その戦友同士、照れくさそうに歌っている二人の様子は実に微笑ましかった。

次がいつになるかはわからないけれど、家族4人で楽しめる環境がまだわずかながら残っていると信じたい。

変わらない空間もあれば、変わっていく成長もある。
正直言えば、成長して親元から遠ざかっていく子どもたちの姿に寂しさは否めない。ただ、こうして父親も変わっていくのだろう。

少し散り始めた桜の木を眺めながら思う。


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