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愛想笑い

その場の雰囲気で笑うことをやめた。

「ハハハ」

「…」

ある日、何の日だったか、何の集まりか。そんな細かいことは記憶にないけれど、新鮮な違和感を覚えた。

僕は今、何に笑っているんだろう?

会議の雑談で。

同僚とのランチの場で。

友達との飲み会の場で。

僕は何に笑っているんだろう?

実は、何も面白いことなんてないのに、空っぽの笑顔とカラカラに乾いた笑い声で取り繕っていた。

僕が取り繕っていたものは何だろう?

グレースーツに馴染むカメレオン。

飲み会の場に溶け込む390円の赤ワイン。

取り繕っていたものの正体は、自分自身の存在だ。

もう自分の存在を取り繕うのは、やめよう。そんなことすればするほど自分の好きなものがわからなくなる。自分の得意なこともわからなくなる。

僕は僕が楽しい時に笑おう。

僕は僕が笑いたい時に笑おう。

理由なく笑わない僕をあざ笑う人がいたなら、鼻唄をうたいながら軽くステップを踏んで明日に進もう。みんなが今日という日に居座ってる間に。

僕は僕が笑いたい時に笑おう。