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クラウドサイン セールスマネージャー 米川かえで「日本一の営業へと続く、駆け上ったシンデレラストーリー」#CloudSign_Astronauts #JSC2022

クラウドサインを創っている社員を、クラウドサイン責任者・橘がインタビューする企画「Astronauts(アストロノーツ)」。第2回はクラウドサインに入社しトップパフォーマーになり、短期間でマネージャーに昇格。そして現在は日本一の営業に挑戦する米川かえでさんをインタビュー。

営業トップパフォーマーと、マネージャーへの抜擢

橘:今回は営業職で最も活躍している人の1人へのインタビューとして米川さんをインタビューしたいと思います。米川さんは営業メンバーとして入社してから早い段階でトップパフォーマーになり、そして短期間にマネージャーとして成果を出していきましたね。

米川:ありがとうございます。本当にクラウドサインに入社して良かったな、と振り返っても思います。

橘:なぜこれだけのパフォーマンスを発揮できているのだと自己認識されてます?その言語化を組織に横展開できれば強いと思いまして。

米川:昔から重要視していることとして、「具体で覚えるな、方法で覚えろ。」ということを大切にしています。

橘:なるほど、詳しく聞かせて欲しいです。

米川:具体的すぎるTipsだけを真似しても、自分では再現不可能であることが多いと感じています。例えば明るく話すとか、冒頭に雑談をするとか、具体的な手法を真似してもそれ自体は正しくとも方法の再現可能性には至らず、数字には直結しないことも多いのだと考えています。

橘:その通りだと聞いていて思いますが、クラウドサインの営業としてその知見を活かしてどのような取り組みをしましたか。

米川:例えばでいくと当時のトップパフォーマーであった先輩社員の分析を個人的にしていました。なぜ彼は売上が上位であるのか、具体的な手法論でなく、重要な要素がどこにあるのかの分析です。

そしてSalesforceの履歴や商談分析をする中での個人的仮説としては、LTVの高い上位プランの受注割合が高いことに気付きました。商談方法に答えがあるわけではなく、いかにクラウドサインの魅力を伝え、上位プランでの製品選定をお選びいただけるかにあるのだと分析しました。

橘:ほう。これは組織としても重要な視点で自分でも今初めて知った視点です。後で営業責任者とも話しておきます。ありがとうございます。その続きはありますか?

米川:重要な点は目標達成するための要素分解です。私の場合は営業成績でトップに立ちたいという目標でした。そのためにLTVの高い上位プランの魅力をどう伝えるかの研究にいきつきました。その視点を持って、はじめて具体的な商談分析に意味がある。

上位プランをお選びいただくにはどんなプレゼンがいいのか。お客様へのヒアリングはどうあるべきなのか。その段階で、具体的な商談分析に移りました。

橘:聞いてみると至極真っ当ですごいと素直に感心するのですが、なぜそれが出来るのですか?重要な思考プロセスだとも感じますが、人はそこまで考えずに具体的に感受できる物事をコピー&ペーストしてしまう事実もまたあるのだと感じます。なぜ、それが出来たのですか?

米川:社会人になって先輩からお勧めされた本を読んで見て気づいたことなどが大きかったです。元々本を読むことはあまり好きではなかったのですが、本と対話する中で1つ1つ学んでいき、実践をしていきました。

橘:人と会話する中で物事や真理を獲得していくタイプだと勝手に思っていて、本を読むイメージはなかったのですが、結構読んでるんですね。

米川:はい。例えば印象的な書籍ですと「地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」」とかは自分の中に残っています。社会人になると圧倒的に頭の良さが結局は問われますが、その頭の良さとはなんなのかの分析に活きました。

この本の中に、頭の良さとはつまり「好奇心」「論理的思考力」「直感力」ということなどが描かれていて、1つ1つどう獲得していけばいいかを理解できました。そして頭の良さって先天的に生まれ持った能力だと思っていましたが、この本を読んで後天的にも変わることができるのだと気付きを得れました。


マネージャーに抜擢された時に感じた葛藤

橘:個人としての営業実績は申し分なく、2021年10月にはマネージャーに抜擢されました。その前月に自分から面接して伝えた記憶がありますが、当時の印象はどんなでした?

米川:新たな役割に挑戦するチャンスをいただけて純粋に嬉しかったです。ただ、マネージャーとしての役割を発揮することができるか、自分に自信をもてていないことも不安としてありました。

橘:初めての経験ですので不安が同居することは適切な恐れで、理解できます。その中でも、営業メンバーとして現場で成果を残すことと、チームを率いるマネージャーとしての違いはありますか?

米川:ものすごくありました。ある意味でコンフォートゾーンを抜けた経験になりました。入社当時私も営業メンバーの1人で、マネージャーに対してここが足らない、あそこが足らないと思うことがあり、完璧を求めていたように感じます。

自分自身がマネージャーに抜擢されたからといって、突然自分自身が変わるわけではない。突如として完璧になるわけではないと感じました。それを自覚して、成長しなくてはいけないと思いました。

マネージャーの業務は人生で初挑戦でしたし、振り返るとまだまだ課題や伸びしろも本当に多くあると思いますが、個人ではなくチームとしての成果や成長に向き合うことが本当に難しいなと感じています。

橘:それは米川さんにとって「成長」と表現できますか?自分自身、抜擢の振り返りとして良いことばかりではなく、嫌な記憶も多くあります。米川さんの言うように、コンフォートゾーンから抜けることでその人にとって「苦しみ」を生み出してしまう可能性もあり、抜擢した責任や罪悪感を感じることが多々あります。

米川:私にとっては間違いなく「成長」と表現できます。書籍や理論ではない実務として自分の見える幅が広がった経験だと感じています。

橘:それはよかった。抜擢は必ずしも良いことではなく、人の人生を狂わせてしまう恐怖が常に自分につきまとっています。米川さんが成長していたのだとすれば、救われました。

米川:はい。橘さんはよく「この質問、半年後にもう一回しよう」と、言ってくださいます。同じ質問を、半年前の自分と今の自分に投げかけてみても、考えられる幅や、見えているものが全然違っているなと思います。

橘:それを成長と呼ぶのだと思います。不安がありながらマネジメントを自ら実践してみて、工夫した点はどこですか?

米川:自らも商談を行う前提でのプレイングマネージャーでしたので苦労しました。なので自らが営業数値を下げない前提で、チームメンバーの商談管理、育成、キャリア設計を行う必要があり、その時間のバランスに苦労しました。

橘:それでも米川さんのチームは安定的に数値が良い印象があります。苦労しながらも、そのバランスが良いのだと感じています。

米川:苦労はしながらも、チームで仲間の成長に向き合ったり、喜んだりできたらいいなと今も考えていて楽しんでいます。

持論ですが、営業はインサイドセールスに比べると属人化してしまう傾向にあると考えています。受注に至るプロセスが個人技になりがちで、だからこそ再現性あるマネジメントが重要だと考えていますし、チーム戦で営業をすることを実現していきたいです。

日本画を描き、町工場での事務仕事での経験

橘:ところで、米川さんはすごく苦労しながらも、順調そうなキャリアにも見えますが何をして生きてきたんですか?

米川:全然です。順調とは真反対ですよ。石川県で生まれてずっと田舎で育ってきたので、順調なキャリアなんかじゃないんです。

橘:そうなんでしたっけ。簡単に教えてください。

米川:まず石川県で育ち、大学も美術短大に行って、日本画をずっと書いてきました。その後も地元の町工場の事務で働いていました。自動車系の工場で、家族経営で従業員も全員で20名くらいのような会社で、活躍することなく辞めました。

米川さんが学生時代に描いた日本画(画像は制作途中のもの)

橘:石川県でキャリアを築かれていて、その後はどんな経緯で東京に来たんですか?

米川:その町工場を辞めた後は石川・東京間の新幹線グランクラス内での接客業務をしていましたので、そこでも石川県で過ごしていました。

業務自体は楽しかったですが、成果が定量で見えにくく自分自身の満足感が社会にどう影響を与えるかで悩んでいました。そこで東京に行くことを決断し、前職のエス・エム・エスに出会い、今の営業職のキャリアに挑戦しようと思いました。

橘:エス・エム・エス時代は活躍できたのですか?今までの経験からすると営業自体が初めてのようにも感じました。

米川:初めはもちろん苦労したのですが、早い段階から高い数字を出せました。この時はとにかく言われたことを素直に実行することを意識していて、初めて飛び交うSaaSビジネス特有のカタカナ言葉をキャッチアップして、1から学んでいきました。

当時のチームは10数名いたのですが、その中では一番良い営業成績になることができました。

橘:クラウドサインでも入社してから安定的に営業成績がよく、すごいなと感心します。確か2020年でも通期で数値達成してクラウドサインの年間優秀社員(Grouwth of the year)を受賞してましたね。

米川:当時はすごく嬉しい記憶です。


企画職の方が向いているのではないか?

橘:今更ですが、クラウドサインに入社した理由はなんでしたっけ?

米川:当時はSaaS企業の中で探していました。エス・エム・エス時代に携わっていた「カイポケ」もSaaS事業でしたので、まだこのビジネスの中で自らを成長できると感じていました。

クラウドサインは学ぶことも多く、営業成績でトップになることは難しそうだと感じ、自らを成長させることができるのではと考え、選択しました。

橘:営業職で活躍しているのは先程話しましたが、そもそも米川さんは営業職が向いていると思いますか?日頃から会話していて、また今回のインタビューをしながら思った仮説があります。

米川:正直(接客業などの仕事を除けば)営業職以外の企画職経験がないため、考えたことがないです。どうなんだろう。

橘:営業は営業スキルが高いから受注成績が良い人と、構造化や仕組み化が得意で受注成績が良い人に分かれます。前者はプレゼンスキルが高かったり、お客様との関係構築がうまかったり、大企業の決裁プロセスの解像度が高かったりと個人スキルが高い人。

米川さんはこの営業個人スキルも平均以上だとは思いつつも、決して高いわけではない。むしろ後者の構造化や仕組み化が得意で、司令塔のように自分自身を指揮命令して動くタイプだと考えてます。その分析は合っていますか?

米川:確かにそういった面もあるかもしれません。自分自身が面倒くさがりの性格というのが強く、非効率なものが見つかれば仕組み化したいと考えるタイプではあるかもな、と思いました。

橘:だとすればですが、営業マネージャーよりも指揮官として戦略レイヤーや施策の構造化や仕組み化の業務が向いているのではないかと強く感じます。ある意味で、自らが営業実務で成績を出していることがその証明で、その仕組み化を横展開すればいいので。それはどう思います?

米川:まだうまくいくかはわかりませんが、興味深くはあります。自分で作った仕組みを自分で実行することはあっても、他の人にその仕組みを徹底させた経験がないからです。うまくいくかは不安ですが、そう言われることは嬉しく感じます。


クラウドサインを日本一にする、シンデレラの挑戦

橘:クラウドサインは今までもMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を大切にしてきましたが、今年から営業部でもMVVを定めましたね。米川さんもマネージャーとして参加してどう感じましたか。

米川:営業部でも人数が増えてきてMVVを策定することになりましたが、結局はクラウドサインの掲げるMVVに行き着くなと思いました。クラウドサインのミッションである「Rule Re:maker(ルール・リメイカー)」は共感できるし、魂がこもっている。営業としてもこの実現に結局は行き着くなと改めて感じる良い経験でした。

橘:その中で営業部のビジョンは「日本一の、提案支援型営業組織を創る」に決まりました。営業メンバー全員と話す中で「日本一になりたい。」「一番すごい営業組織を創るんだ。その中で自分自身も一番を目指すんだ。」という渇望、叫びのようなものを感じました。自分自身、かつて保有していた若い気持ち、純粋な気持ちを思い出しました。

米川:そうですね。私も同じです。

橘:MVVで定めた日本一への挑戦は本当の意味で実現することは、一朝一夕ではいかない中長期で達成したいものですが、このMVVがきっかけで米川さんとForbes/セレブリックスが主宰する「Japan Sales Collection2022」に挑戦することになりました。わかりやすく日本一に挑戦する、ということを示したい。参加するに当たって、どう思いました?

米川:初めは正直「まずいな」と思いました。失敗できないし、仲間を代表する以上、負けられないので怖いと思いました。でも、参加する以上負けたくないし、中途半端なものは出来ないという意地があります。

橘:適切な感情だと思います。そんなこんなで最終予選でのプレゼンは終わり、日本TOP5にまで選ばれましたね。

米川:重いですが、ここまで来たので勝ちたいと思います。1番になりたいです。期待されて挑戦している以上、それを下回りたくない。挑戦権を得られる切符をもらった以上、頑張らなきゃなと思います。

橘:この日本一の挑戦に向かう過程で、様々なドラマもありました。途中自分から、アウトプットの品質に妥協できず、このパートは自分から話さないと駄目だと米川さんのパートを削ろうと打診したことがありました。

米川:ありましたね。でも橘さんに反論し「私にやらせて欲しい。」と直談判しました。我が儘だということは承知の上で、やり切りたかったです。

橘:日本一に結果的になれるかはまだわかりませんが、先のドラマも含めて、既に米川さんはこの大会への挑戦を通じて、すごく成長しているように見える。米川さんは賢いので与えられた枠内で最適化するのに慣れてそれ自体企画職に向いていると思ったのは先程伝えましたが、今回の挑戦はその枠を超えた挑戦。未知なる問題を解くには賢いだけでは駄目だとも思うので、今回はその今までのやり方を否定し、普通から怪獣になる物語。

決勝はいよいよ明後日。最後に意気込みと、この挑戦を通して伝えたいこれからクラウドサインに入社する方への一言をください。

米川:大会に向けてやれることはやり切りました。答えがない問題に対して苦しんだ部分もありましたが、橘さんや(事業統括部長の)坂元さんにアウトプットしつつ、まとめることができました。すごく緊張すると思いますが、当日はクラウドサインの取り組みをオーディエンスの皆さんに堂々と伝えたいと思います。

クラウドサインには、切符を掴んで挑戦する機会が沢山あると思います。一緒に組織について一緒に思考し、行動できる仲間がいますので、成長痛を感じつつも一緒にがんばれたら嬉しいです。

米川かえで
twitter: @cloudsignkaede

編集後記

目まぐるしく成長する人間を見ると、たった1つの共通点が浮かび上がる。その共通点は何も不思議でない。「努力」だ。つまらない回答だが、真実であり、私たちの希望だ。努力を積み重ねた人間だけが、栄光を掴むことができる。

ハーバード大学教授のマイケル・サンデル教授は2020年に「tyranny of merit」を発表し、世界中で議論となった。実力に至る努力や勤勉さすらも恣意的なもので、運の範疇だということに自覚的になるべきだと説いたものだ。驕りの代わりに、謙虚さによりコミュニティが形成される。重要な指摘であろう。賛同する。統計学的に恵まれた環境にあるものが努力しやすい立ち位置にいることもまた事実である。

では、恵まれなかった人間はどのようにすれば良いのだろう。統計学的に劣後すると見做された者はどのように生きればいいのだろうか。統計学的な正しさは無慈悲な事実を提示させる。運が現実社会に与える影響が正しいと裏付けられたとして、私たちはそれでも運命に立ち向かわなければならない。

アイルランドの作家オスカーワイルドの言葉が、現代において強い意味を持つように思えてならない。代表的な一節を紹介したい。

「人生は、過酷だ。皆、痛みや悲しみを抱え、生きている。私たちは多くの時間を日常の小さな事柄を考えて過ごさなくてはならない。

  -「僕らは皆、どぶの中にいる」“we are all in the gutter”。

私たちの多くの時間は、汚く雑然とした日常の中にある。だけど、どぶの中にいても、そのただなかにいても、もっと高みにあるものを見ることはできる。夜空の星々を、私たちは見ることができるのだ。私たちは夢や希望に集中することができる。汚く雑然とした日常から目を上げることを忘れないで。夜空に光る星を、見るんだ。」(オスカー・ワイルド。日本語訳:橘 大地)

米川さんの人生を見つめて、オスカーワイルドの言葉が思い出された。どのような環境にいても、世界のどこに生まれても、私たちは星を見ることができる。例えどんな統計的事実が証明されたとしても、抗い続ける強い意思を持つ自由が私たちにはある。いつもそんな強さを持ち続けることはできないけれど、この言葉を思い出したとき、少しだけ強くなれる。

汚く雑然とした日常から目を上げることを忘れないで。夜空に光る星を、見るんだ。

総合企画・ライター・編集:橘 大地
デザイナー:笛田 満里奈、佐伯 幸徳
写真撮影:長浜 裕子
テーマソング:PEOPLE 1 「怪獣」

お読みいただきありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ