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2023年8月の記事一覧
エガオが笑う時 第3話
メドレーは、正統な騎士団ではないとは言え、仮にも王国直属の戦闘部隊だ。しかし、その扱いは傭兵のゴロツキ達と変わらず、その宿舎も公的な扱いなはずなのに壊れた木箱のような黒色に変色した板張りの建物だ。それでも食堂には絶えず食べ物が供給され、男女共用とは言え浴場が付いているだけでも有難い話なのかもしれない。部屋も4人一部屋で二段ベッドに身を縮こませて寝ている。
女子は、私一人だから流石に1人部屋だし
エガオが笑う時 第2話
浴場の大きなお風呂に入り、香油の混じった石鹸で何度も身体を洗ったらようやく血の匂いが消えてきた。
幼い頃からお湯を浴びるよりも血を浴びて生きてきたはずなのにどうしても慣れない。白い肌が擦り切れるまで身体を洗い、熱されて溶けてしまうのではないかと思うくらいに湯船に頭まで浸かってしまう。
何度も匂いを確認しながら浴場を出ると白と黒の水玉模様のショートヘアをした少女がバスタオルを持って待機していた
エガオが笑う時 第1話
あらすじ
彼女は、"笑顔のないエガオ"と呼ばれていた。
身の丈を超える大鉈を振り回し、荒くれ者の集団メドレーの隊長として、最強の戦士として王国の平和の為にその身を犠牲にした。しかし、そんな彼女は王国と帝国の停戦条約を邪魔した罪でメドレーから除隊の名目で追い出されてしまう。
戦うことしか知らないエガオは王都の路地裏で何もすることなく雨の中佇む。
「自分は何の為に戦っていたのだろう?」
そんなこと