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子どもの介護ベッドをレンタルするには?福祉用具のレンタル・購入方法を解説

「子どもの介護ベッドを使用したいけど高価で手が出せない」と悩んでいる親御さんはいませんか?特に子どもが身体障害者手帳を持っている場合、どのように公費の給付を受けるか迷っている方も多いでしょう。

 10年以上理学療法士として療育センターで勤務する中で、同じような悩みの声を数多く伺いました。

 本記事では、そんなお悩みを解決するために、身体障害者手帳を利用した日常生活用具給付制度や介護保険を活用した福祉用具のレンタル・購入方法について詳しく解説します。
 
 これらの制度を理解することで、介護ベッドの給付を1割の負担で受けることが可能となり、子どもの介護環境をより快適に整えることができます。実際に、多くの家庭がこの制度を利用して介護ベッドを導入しています。

 本記事を読むことで、適切な支援を受けるための具体的な手続きを理解し、市町村や専門家に相談する一歩を踏み出すことができるでしょう。

 この記事を参考にして、ご自宅の介護環境をより良いものにしてみませんか?

1. 相談内容の紹介

 理学療法士として担当しているお子さんの親御さんからこのような相談を受けました。 
「子どもの介護ベッドを使用したいけど高価なので公費の給付を受けたい。子どもは17歳で身体障害者手帳を持っている。介護保険でレンタルできると聞いたけど手帳でもできるの?」
 今回はこの相談に対する回答となる内容をお伝えします。


2. 相談への回答(結論)

 まず、17歳で身体障害者手帳をお持ちの場合、介護保険は40歳以上が対象となるため適用外です。しかし、身体障害者手帳を利用した日常生活用具給付の制度が利用可能です。この制度を活用することで、介護ベッドの給付を1割の負担で受けることができます。


3. 身体障害者手帳を利用した日常生活用具の購入

3.1 日常生活用具給付の制度概要

 日常生活用具給付は、市町村が実施主体となり、障害者の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付または貸与する制度です。この制度により、身体障害者手帳を持つ方が必要な用具を公費で利用できるよう支援しています。

3.2 対象者と対象用具

対象者
 身体障害者(児)、知的障害者(児)、精神障害者、難病患者等であって、日常生活用具を必要とする方

負担額:
 
用具の費用の1割を負担
※納税額(市民税所得割額)46万円以上(概ね年収2000万以上)の高所得世帯は対象外となります。

対象用具

3.3 申請手続きの流れ

  1. 市町村の障害福祉課に相談

  2. 相談支援専門員や担当のリハビリ専門職とともに適切な用具を選定

  3. 必要書類の提出(身体障害者手帳、医師の意見書、用具の見積書など)

  4. 市町村の審査を経て給付決定


4. 介護保険による福祉用具貸与・購入

4.1 介護保険制度の概要

 介護保険制度は、40歳以上の要介護または要支援の認定を受けた方が、必要な福祉用具を貸与または購入することができる制度です。40歳未満の方は原則として介護保険の対象外となります。

4.2 対象者と対象用具

対象者
○ 要支援・要介護状態となった65歳以上の者
〇末期がんや関節リウマチ等の老化による病気が原因で要支援・要介護状態になった40~64歳の者

負担額:
レンタル費用の1割を負担
購入費は全額支払い後、9割相当額を市町村に請求

対象用具

4.3 申請手続きの流れ

  1. ケアマネージャーに相談

  2. 福祉用具専門相談員と共に適切な用具を選定

  3. 指定福祉用具貸与事業者との契約

  4. レンタル費用の1割負担(原則)


5. どこの誰に相談すればいいの?

5.1 市町村の障害福祉課

 まずはお住まいの市町村の障害福祉課に連絡し、日常生活用具給付について相談してください。具体的な手続きや必要書類について教えてもらえます。

5.2 相談支援専門員

 福祉サービスについて知りたいことがある場合には、相談支援専門員に相談しましょう。日常生活用具給付以外にも活用できる福祉サービスについて教えてくれます。

5.3 ケアマネージャー

 介護保険を利用する場合は、担当のケアマネジャーに相談しましょう。ケアプランの作成や福祉用具の選定をサポートしてくれます。

5.4 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士

 リハビリ専門職である理学療法士、作業療法士、言語聴覚士も、必要な福祉用具の選定や適切な使用方法について助言をしてくれます。


まとめ

 「子どもの介護ベッドを使いたいけど高価で手が出せない」と悩んでいる親御さんも多いでしょう。身体障害者手帳を持つお子さんの場合、公費で介護ベッドを利用できる方法があります。

 まず、17歳のお子さんが身体障害者手帳を持っている場合、介護保険は適用されませんが、日常生活用具給付制度が利用可能です。この制度を活用すれば、介護ベッドの費用の1割負担で済みます。

申請手続きは以下の通りです。

  1. 市町村の障害福祉課に相談

  2. 相談支援専門員やリハビリ専門職と一緒に用具を選定

  3. 必要書類(身体障害者手帳、医師の意見書、見積書など)を提出

  4. 市町村の審査を経て給付決定

 また、40歳以上の方や特定の病気を持つ40~64歳の方は介護保険で福祉用具を費用の1割負担でレンタルまたは購入できます。この場合は、ケアマネージャーに相談し、福祉用具専門相談員と共に適切な用具を選びます。

 困ったときは、まず市町村の障害福祉課や相談支援専門員に相談してみましょう。適切な支援を受けるための具体的な手続きを理解し、安心して介護ベッドを利用してください。

参考
愛知県刈谷市 日常生活用具費支給制度についてhttps://www.city.kariya.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/655/20240401kaiseibann.pdf

愛知県名古屋市 重度障害者(児)日常生活用具給付の御案内https://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/_files/00181174/R6nichigu.pdf

厚生労働省 介護保険における福祉用具
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/07.pdf

一般財団法人 保健福祉広報協会 国際福祉機器展 福祉用具・補装具等の利用について
https://hcr.or.jp/cms/wp-content/uploads/2019use_of_welfare_equipment.pdf


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