「夢の続きはまだ。」

正直に言うと「なんか凄い人」になりたかった。

小学生の頃だけど、土曜日夜8時にナイティンナインさんの「めちゃめちゃイケてる」という番組があって、岡村隆史さんで何万人という観客を前に踊っている姿を見たときに羨ましいと思った。

僕は元々、目立ちだがり屋で末っ子な引っ込み思案だったのだが、その反動で小学生のころからクラスでよく喋るようになった。
そのとき、岡村隆史さんを見てあんなことをやりたいと思った。

その番組内で岡村隆史さんは、当時人気絶頂にあった「モーニング娘。」や「EXILE」のステージに上がって、世界の真ん中でほんとうにキラキラと輝いていた。

「なんじゃこりゃ」
もはや嫉妬に近い感情で、ビデオテープを何度も繰り返し見た。もし自分が観客の前でいつかあんなパフォーマンスをやれたら。そんな気持ちいいことはないだろうな。そんなことを子供ながらに思っていた。

そして中学生になると。僕は後にNSC吉本総合芸能学院に行く友人とバンドを組むことになった。

これはたまたまだ。
バンドなんかに興味はなかった僕が彼とバンドを組むことになるなんて同級生の誰も思っていなかっただろう。
だけど結果として彼と3年間ほど一緒に活動をした。中学3年生から高校2年生まで。

何度もライブに出た。
そもそもどうして仲良くしてくれたのか今でもよく分からない。
才能や人間性というところを見たとき、圧倒的に彼は優れていた。
元々引っ込み思案な僕だったし、彼のほうは誰からも注目をされて、ギターもうまかった。彼は楽しそうにゲラゲラ笑いながら僕とステージ上で躍動して、「次はレコーディングがしたい」とはしゃぎ、「路上ライブをしてみよう」と次々に行動をしていった。
そのとき願っているだけじゃ人生は動かない、そういうことを教えてくれた。
ありがとう。

今ではもう思い出だが、あのとき「なんか凄い人たち」が見ているモノと同じモノを見ていた気がする。

のちに「NSCに行く」と彼は言ってしまうのだが、、、、それまでぼくも世界の真ん中にいた。

そんなことを最近思い出した。

今になって思うのだが彼は将来に繋がることを疑っていなかった。そのとき彼の後ろにいた僕もすべてのことが将来に積み重なっていくことを疑わないでいた。
無駄なことは一つもない。
そののままイメージした将来が到来する。そんなことを疑わない若者でした。
だけどそんな願いが通用するほど世の中は甘くなく、結局バンドは解散しました。挫折することを知ったのだ。

世の中は叶わない可能性の方が高い。

自転車を漕いでいるだけで将来がどんどん近づいてその瞬間がやってくる。なんて、そうそうないことなのだ。

そうしてnoteを書いている。
無意識に「この現在の努力は無駄に終わるのだろうな」と疑っている。だけどたぶん「なんか凄い人」って、何歳になってもそれを疑わないでいる人なのだろう。
あのとき疑わなかった僕らみたいに。挫折をしてもそれでもいつか夢は叶うって疑わないまま大人になった人たちだろう。

この年末年始
1年ぶりにまた彼と会いました。東京でサラリーマンをしている彼とは、いつもこの時期に会っています。地元のラーメン屋でゲラゲラと笑った。

そして彼に僕は「noteに投稿をしている」と言えなかった。
夢を追うことを教えてくれた彼に、noteで夢の続きを見ていることを伝えたかったけど、やっぱり信じられないから。だけどいつか「夢は叶ったぞ」と言いたい。
35歳になってまた自転車を漕いでいたときみたいに、二人で将来を信じてゲラゲラ笑ってみたいのです。
どうかみなさん、執筆家になりたい僕をしばし見守り下さい。

新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

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