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2023年に観たコンテンツ振り返り(演劇・ドラマ・お笑い)

2023年もたくさんのドラマや演劇、お笑いを観ました、と言いたかったのですが、それほど多く観ていたわけではなさそうです(あくまでも例年比として)。

でも少ないわけでもなく、振り返るのがやや面倒くさいくらいにはいろいろと観ました。今年はたくさん観られると思うので、その助走のために2023年に観たコンテンツをざっくりと振り返ります。

といっても、覚えている限りのコンテンツだけですので、結構抜け漏れもあるかと思います。どちらかというと個人的に「こんな作品あったな~」と懐かしみたいだけなので、流し読みくらいのテンションでお読みください。

※順番は適当です
※2023年の作品ではなくても、観たのが2023年なら2023年の作品に含めています

■演劇

・『幕が上がる』(2023年版)

地方高校の演劇部を舞台にした青春譚。ももクロ版ではなく、日向坂46の森本茉莉さんと山口陽世さんのW主演で2023年に新しく上演したもの。グループ内では個性爆発してる森本茉莉さんがまっすぐに演技に取り組んでいて新鮮だった。共演者のなだぎ武さんが、この舞台をきっかけに「おひさま」(日向坂46のファンの総称)となっていたのが印象的。

・ダウ90000『また点滅に戻るだけ』

埼玉県所沢市のゲームセンターを舞台に、狭いコミュニティの中で生きている若者たちの物語。生きているとどうしようもなく他人の影響って受けてしまうけど、そんな中、自分のオリジナリティって何だろうと考えてしまう。このあたりから園田さんの大ボケとしてのポジションが増えてきた気がする。疑心暗鬼のラリーが盛り上がれば盛り上がるほど、蚊帳の外の園田さんの存在が面白くなっていく構図。すごく面白かったです。

・ロロ『BGM』(再演)

過去観ることができていなかった作品なので、再演の機会で観劇できて良かった。本当に良かった…。

・東葛スポーツ『ユキコ』

ヒップホップ演劇。東葛スポーツは観た後に圧されてしばらく喋れなくなる。主宰金山さんの在日としてのルーツを語った前作『パチンコ(上)』に次ぐ今作は奥様の幸子さんの物語。たびたびトラブルを起こしながらもそれでもまた演劇をやりたいと思った幸子さんがいて、そのうえでこの作品の4人の共演者を指して「一緒に演劇をやってくれる人が、きっとこの4人しかいないんです」と語った場面にグッときてしまった。僕は演劇に帯びる切実性にいつも惹かれる。東葛スポーツは私演劇とかに分類されるのかと思っていたけど、彼らがやっているのは「オートフィクション」※と言うらしい。

※作者と登場人物が同一であることに依拠しながら同時にフィクションも発せられる手法のこと

・コンプソンズ『愛について語るときは静かにしてくれ』

AIによるサイバー戦争が起き、ディープフェイクが蔓延し、歴史というものがグチャグチャになった50年後の下北沢が舞台。本当の歴史なんて誰も分からなくなった世界で戦争に翻弄されながら、かつてのサブカルに縋る人たちがいて。過去に浸ることの無意味さを説きながら、決してそういったカルチャーに意味がなかったとは描いていなかった。今作も同年代なら反応してしまう固有名詞のオンパレード。ラストに下町兄弟『WAR WAR!STOP IT』が流れたときは不覚にもめちゃくちゃテンションが上がってしまった。後日、感想で「サブカルチャーを本来のサブカルチャーの位置に戻そうとした高度な試み」というのを見て、本当にそうだなと思った。

・ロロ『オムニバス・ストーリーズ・プロジェクト』

50名以上の登場人物たちの物語が1~5分で次々と切り替わっていくから、ロロに慣れていない人は置いていかれそうだなと思った。登場人物たちは一部を除いて名乗らないので、無名の人たちの一日の一瞬を切り抜いたような群像劇。一番好きだったのは「静寂の話」。夜の公園での「私は1秒間静寂を作れるんだよ! 3 2 1」という無邪気なやりとりを近くで聞いていた、実家に電話中の女性が「ごめん、ちょっと待って。今だけでいいから、ちょっと待って」と人知れず静寂に協力していたシーン。世界は愛で回ってるんだなと思った。

・画餅『モーニング』

コントユニット・テニスコートの神谷圭介さんのソロプロジェクト・画餅。最新作の『モーニング』も面白かった。僕は神谷さんのことが本当に大好きなので、いつも楽しみにしている。個人的に神谷さんは声を発さなくても動きや表情だけで大きな笑いを生むことができる方なので、今作の設定はとりわけ良かった。

・『あの夜であえたら』

ニッポン放送とノーミーツが贈る舞台演劇番組イベント生配信ドラマ。公式の文言だけど、え、長くない? つまり何を指してるのかがこれで理解できる人がどれだけいるのだろう。それはそれとして、感想は「(体験として)楽しかった!」に尽きる。架空のラジオイベントを舞台にしたメタ構造。観客を共犯者にする仕掛けもあり、間違いなく現地でリアルで観ることに意味がある作品だった。ノーミーツはおそらく、気持ち良さを意識的に作っている気がしていて、カタストロフィをどこで発散するか、どこでどんな演出を入れると観客が気持ちいいか、体験としての気持ち良さの設計に振り切っているように感じる。あとコメディエンヌとしての高橋ひかるさんの才覚が爆発していた。

・柿喰う客『肉食獣』

名前はよく聞いていたけど、観劇したのは初めて。役者の力量や言葉の質量を感じる舞台で、観られて良かったなと思う。長尾友里花さんのセリフ回しがとても好きだった。

・城山羊の会『萎れた花の弁明』

岩谷健司さんと岡部たかしさんの演劇ユニット・切実に圧倒されたので、その両人が出演したこちらの作品を年末に。序盤に訪れる、あまりにも静かな中年男性の全裸を見守るシーン。モノが見えてしまわないかなと心配していたのに、その後バカバカしいほどの巨大マラが登場したので、そんな心配をしたことを後悔した。年末だからゲラ寄りになっていたことを差し引いても、くだらなさの塩梅が振り切れてて面白かった。

・good morning N°5『失うものなどなにもない』

初観劇。観たというよりは目撃したという表現が適切だと思った。忘れられない存在になりたいと祈る主人公のあり方というか、平田敦子さんのキュートなキャラクターが存分に発揮されていて、それゆえ強烈に記憶にこびりつく。失うものなどなにもない。そう言えるのは持っているからだ。なにも持っていない人間が何を失えると言うのか。言葉遊びのようだけど言いたいことは分かる。もとから持っていない人間には「失う」という発想が生まれないのだから。冒頭からオープニングまでの仕掛けにグッと掴まれてしまい、また観たいと思える劇団が増えた。

■ドラマ

・『個人差あります』(2022年作品)

ある日、突如性別が変わってしまう「異性化」という現象に振り回される夫婦の物語。「異性化」というファンタジーを切り口にしているけれど、描こうとしているのは、もっと現実的な話。この世界に存在しているのに、いないことにされているような人々の話。誰かと誰か、話してみたら簡単な話なのに一人で抱え込んで苦しんでしまう、そういう普遍的なコミュニケーションの難しさの描き方が丁寧だった。

「今の言い方、相手のことを考えられてなかったよな」とか「もっと良い言い方があったんじゃないか」とか、自分が勝手に期待してたこととか、そういうの言わなきゃ分かんないけど、1つずつ全部すり合わせるのも難しい。関係性って積み重ねだから、不和に気づいたときには時間が経ちすぎてるときがある。人と生きていくことは大変だ。『結婚相手は抽選で』を彷彿とさせる良い作品だった。

・『なれの果ての僕ら』

極限状態における「人の善性」をテーマにしたサスペンス。よくあるデスゲームモノかと思っていたら、想像以上に重くてよかった。重いというのは内容の話ではなく映像表現として。死の描き方へのこだわりを強く感じる。服毒してから死ぬまでの描写を長回しで撮影したり、撃たれたあとの痙攣を映したり、概念としての死じゃない、事象としての殺人、恐怖の描き方など監督が何を見せたいのかがハッキリしている。ストーリーラインよりも死の描写に徹底的に力を入れることで、結果的に登場人物の恐怖が印象強くなり、そこに引っ張られてストーリーラインが補強されていった。ネクストブレイク俳優が集まった見ごたえのある作品。

・『東京の雪男』

東京を雪山と捉えての雪男なのかと思ったら、本当に雪男がやってきた話だった。異物としての存在を混ぜることで、自分たちが生きる現代社会を問い直す作品。

・『月読くんの禁断お夜食』

主人公がパーソナルトレーナーで、そのお夜食(だから太らないようにとか ヘルシーなもの)に絞った切り口は意外となかったかも。夜食という背徳感に対して、ギルティフリーみたいな。背徳感を煽りながら、でも健康的なんですという、レシピ紹介のお手本のようなドラマだった。昨今の深夜ドラマ、顔にいっぱい皺を作りながらクシャッと笑うような、ありのままの振る舞いができる自然体な女性像として、トリンドル玲奈さんが目立ってきた印象がある(『今夜すきやきだよ』など)。令和の食ドラマは、ふたりが横並びでご飯を食べるシーンが象徴的に描かれることが多い。これは対等な恋愛のイメージなのだろうか。

・『明日、私は誰かのカノジョ Season2』

このシリーズはキャスティングの説得力が強い。Season1の吉川愛さんや齊藤なぎささんに対して、Season2の茅島みずきさん。役に対する説得力がビジュアルだけで十分すぎた。今回で描いていた推し活の闇は、同クールの『ガチ恋粘着獣』の方が解像度高くて見劣りしていた気はする。

・『ガチ恋粘着獣』

正直ほとんど期待していなかった枠だけど、春ドラマの中では3本の指に入る奇作だったのではと思う。「推し活」をテーマとしたホラー作品としての完成度が高い。特にコスモ編の出来が良い。

・『ダメな男じゃダメですか?』(2022年作品)

主演の町田啓太さんの魅力が溢れる作品。美人なのに幸薄そうな役における深川麻衣さんのハマり具合もすごい。加藤清史郎さんが出てきた瞬間に英語をペラペラ喋ってて「ドラゴン桜の世界線!?」と戸惑った記憶がある。ラストはなかなかに展開が渋滞するけど、理解はできた。

・『だが、情熱はある』

『たりないふたり』が好きだったので、それはもう文句なしの良い作品だった。逆に語ることがない。

・『忘恋剤』

対象の人との思い出を消し去ることができる薬・忘恋剤。忘恋剤はポッキーのような形状をしており、ポッキーゲームの要領で両端から食べていくと、お互いに関する記憶が少しずつ消えていく(一度ですべての記憶が消えるわけではない)。このシステム自体のくだらなさというか、遊びっぽさはアリ派。設定だけ見ると世にも奇妙な物語ぽいけど、脚本の中に存在する細かな所作を見る限り、そういうまなざしで作られた物語ではない。

別れる決断をしたカップルが、過去の思い出をなかったことにする薬によって一度は距離が縮まるも、別にやり直して選択肢が変わるわけじゃない、という現実的な落とし所。起きてしまった過去をなかったことにするのではなく、起きてしまったことを受け止めて未来に進みたいと考えた二人の感情の動きが丁寧に描かれていて、短い時間だけど心が動いた。別れるって決めたあと、まるで付き合いたての頃のように楽しく過ごせてしまうあの時間を思い出してしまった。『花束みたいな恋をした』のラストみたいな。主演の吉川愛さん、倉悠貴さんの演技が良かった。

・『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱』

高橋一生さんはもう、いるだけで画が持つ役者だよなあと思う。女優としてはいろいろと言われることが多い印象の本田翼さんだけど、個人的には本田翼さんにしか演じられない女性像があるなあと思っている。『わにとかげぎす』の本田さんとかすごく魅力的なので。

脚本の橋部敦子さんは 「僕らは奇跡でできている」の人。会話劇として面白かったし、誰かのために花火を打ち上げる一話完結型のドラマになるのかと思ってたから裏切りがあって良かった。自分が作り出した父親の幻想を本当の幽霊が現れたことで自覚してしまう展開は斬新。ただ、オチは本当にあれで良かったのだろうか。いまだに納得できていない。あの演出をする意図が分からない。

・『ひともんちゃくなら喜んで!』

ブラック企業を舞台に、モンスター社員を見つけ出し社内の問題を解決していくオフィスラブコメディ。犬飼貴丈さんを見るたびに「いぬくん」と呼んでしまう(『ダブルベッド』の影響)。心理学のドラマみたいな構成だったな、と思う。心の病を擬人化したようなキャラたちとどう向き合っていくかという、ある意味で教科書チックな。アンガーマネジメントやマニピュレーターなど、各登場人物にどういう性質があって、その性質と向き合い共存していくのかなどが描かれていた。

・『やっぱそれ、よくないと思う。』

脚本にはハマらなかったけど、演出や映像は好きだった。主演の岡山天音さんと吉川愛さんを映す遠景ショットが印象的。

・『瑠璃も玻璃も照らせば光る』

第34回ヤングシナリオ大賞受賞作。「瑠璃も玻璃も照らせば光る」とは 瑠璃(=宝石)も玻璃(=宝石)も光が当たれば光るということわざ。石ころにまみれてても、宝石であれば光る。才能に置き換えれば、天才であればどんなところにいても、光さえ当たれば光るのだと。裏を返すと、どんな才能も暗闇では光らないとも言える。

ヤングケアラーである光(豊嶋花さん)が、友人から演劇部の照明係を頼まれ、家族のケアや自分の気持ちと折り合いをつけながら、自らの道を見つけていく話。ことわざになぞらえて、主演女優(瑠璃=祷キララさん)と照明係という関係性はそのまま過ぎるけど、どんな天才でも暗闇にいたら光らないは瑠璃のことを指していて、その瑠璃を照らすことを選んだ光も 瑠璃という光に照らされた玻璃なのかも。二人は相互の関係性に見えた。

・『ザ・タクシー飯店』(2022年作品)

個人タクシーの運転手が毎回違う街に流しに出向き、町中華を堪能するドラマ。まっすぐにオヤジ臭いドラマで清々しい笑。渋川清彦さん演じる主人公が、ものすごく気持ちのいい人で好感がもてる。深夜にのんびり観たいドラマだった。料理がきたときに「絵力つえー」は声に出して発したい日本語。

・『シジュウカラ』(2022年作品)

40歳の漫画家と18歳年下のアシスタントとの純愛不倫。大九明子監督の作品は最後まで飽きずにずっと観られる。同じ歳の差恋愛でも、男性ではそんな描かれ方をしないのに、女性が歳上だと「いつか捨てられる」なんて不安がつきまとう。男女が逆転すると描かれ方が変わるのだなあ。毒親を演じた酒井若菜さんの演技は圧巻だった。

一方で、大九監督作品は緊張感の中に適度に脱力感が挟み込まれることが多い。特に音を使った脱力感の作り方が印象的だった。

・『紅さすライフ』

メンズコスメのブランドを立ち上げた凸凹コンビによるラブコメディ。井桁弘恵さんは、世の女性の代弁をさせられるキャラが多いな。この作品で一番言及したいのはコウメ太夫さんで。本当に味がある役者だと思う。面白いのが、バラエティのときと違いセリフは普通に喋れること。それだけでなく、表情や間の取り方など、キャラクターの解像度を上げるための所作までできている(バラエティではあれほど勘の悪さをいじられてるのに)。こうなってくると、逆にコウメ太夫のときが演技なのだろうかと思ってしまう。

・『褒めるひと褒められるひと』

朝ドラの対となる形で存在する枠「夜ドラ」。今年はこの枠をよく観ていた気がする。月~木の夜中15分ずつの尺は意外とちょうどいい。舞台はおもちゃ会社の総務部、縁の下の力持ちとして会社を支えているのに、ミスをしないことが普通で褒めてもらえない。そんな減点方式の働き方にモヤモヤしている市川さん(森川葵さん)が、ふとこぼした「褒められたい」という言葉をきっかけに、同僚から毎日褒められることになる。という本当に平和な世界観。

人を素直に褒めるのって実は難しくて、相手をリスペクトしてそれを言葉にして伝えることは、まるで愛の告白のようでもある。「褒める」というコミュニケーションから生まれるさまざまな感情を描いた、「褒める」という行為を優しく見つめ直す物語であると思う。

・『来世ではちゃんとします3』

すっかりエロポップドラマのポジションを獲得した来世ちゃん。ダウ90000の飯原さんが少し不憫な役で出演していたけど、すごく飯原さんぽさがある役だった。

・『僕たちの校内放送』

深夜ラジオ好きの冴えない放送部の主人公(木戸大聖さん)と、ラジオに興味がない陽キャの同級生(前田旺志郎さん)がひょんなことからコンビを組み、校内放送を通して友情を育んでいく青春ドラマ。同じく深夜ラジオリスナーで途中から放送作家として参加する同級生役に『だが、情熱がある』での印象が深い中田青渚さんが出ていた。登場する深夜ラジオはすべて実在のもの。喋りは達者なんだけど、会話内容には高校生らしい拙さがあって、そのバランス感が良かった(等身大のトークだった)。

余談だけど、僕が2023年から始めたPodcastはこのドラマを視聴したあとの勢いで作っている部分が25%くらいはある。

・『ばらかもん』

大学生の頃、後輩から漫画を借りてよく読んでいた記憶がある。一人の書道家が自分の足で歩きだすまでの物語。「田舎に癒されて~」みたいな話ではない。田舎を必要以上にカテゴライズしないような流れが随所にあったし、清舟(杉野遥亮さん)が変わろうとしたから変わったのだ、と描かれていたように思う。

初めはどんなもんかなと思っていたけど、回を追うごとにどんどん良くなっていった。良作。

・『やわ男とカタ子』

イケメンオネエ(三浦翔平さん)と喪女(松井玲奈さん)のラブコメディ。登場人物の拗らせ方が少し強いので共感性羞恥が強い人は気になると思うが、ラブコメとして会話のテンポはすごく良い。この物語は、いわゆる喪女(ネット上でもてない女性を指す)側の地獄をメインに描いてはいるけど、一方で結婚を焦る喪女の前に、一人で生きていくことを選択する久美(谷まりあさん)を突き付けたりもする。久美には久美の地獄がある。同時期に放送していた『初恋、ざらり』も然り、自己肯定感の著しく低い人との会話における噛み合わなさがよく描かれていた。

・『ウソ婚』

別のnoteで書いた表現をそのまま使ってしまうが「ウソの結婚を隠し通すというストーリーラインの分かりやすさに、安易なラブコメ作品を想像してしまったことを後悔した作品」。2023年ドラマの中でも真っ先に名前を挙げたい作品の一つ。ウソをテーマにしつつも、メインの二人が良い奴なので、応援したくなる。サブキャラクターの造形もすごく良くて、そりゃこの二人のもとには良い奴が集まるよなと納得してしまった。

感情の描き方がとても丁寧で、とりわけ「恋愛じゃないけど、そばにいたい」という感情の掬い方が好き。すごく良い作品だった。

・『沼オトコと沼落ちオンナのmidnight call 〜寝不足の原因は自分にある。〜』

深夜ドラマに関しては雑食なので、明らかに自分はターゲットではないなという作品もよく観る。「沼オトコ」がテーマなので、イケメンと恋に落ちるまでのオムニバスドラマではありつつ、どちらかというと「やめといた方がいんじゃない?」という恋。そしてどのエピソードも、必ず深夜に電話をするシーンでオチるわけだけど、僕はこのタイプの作品のことを「シチュエーション大喜利」と呼んでいて、とても楽しんでいる。

・『初恋、ざらり』

軽度知的障害を抱える女性との純愛を描いた作品。自罰的というか、自尊感情が低いと、健全なやりとりでも悪い方向に解釈してしまって噛み合わなくなるということがよく分かる。前半は見続けるのが少しきつかったけど、それを乗り越えてからの後半の物語の美しさ。特に最終回は繊細すぎて、こわれそうな、儚さがあった。池田千尋さん(監督)の代表作と言っていいのではないかと思う。

発達障害が判明し、それでも有紗(小野花梨さん)のことが好きだと岡村さん(風間俊介さん)が抱きしめたシーン。ハンバーグをこねていた手が有紗につかないように抱きしめた岡村さんに対して、ベタベタの手を気にもせずそのまま抱きしめた有紗、二人に見えている世界の違いがそのまま表れていて良かった。主演の二人の演技に本当に惹きこまれてしまい、最終回に至ってはこのシーンを描くためだけに今まで物語が走ってたんだなと強く感動した。それに応える熱演だった。

・『トラックガール』

SNSで有名なトラックめいめいさんをもとにした、21歳の女性トラックドライバーとその仲間たちのハートフルコメディ。乃木坂46の遠藤さくらさんが主演。深夜に気楽に観られるライトな作品だった。エンディング直前のアドリブっぽい掛け合いがかわいい。

・『VIVANT』

いやー、楽しかったね。超ド級のエンタメ。こういうのは日曜劇場しか作れないよなあと、毎週楽しみにしてた。

・『波よ聞いてくれ』

原作未読。マイナー深夜ラジオのパーソナリティーを主人公とした破天荒ドラマ。人生の中での後悔をなかったことにするのではなく、ラジオで思いの丈を叫ぶことで挽回する。「私はただ 挽回したいの!」という叫びで一気に持っていかれた。2023年ドラマの中でも確実にベスト5には入る。絶対に何かしらの賞をとっていないとおかしいと思っていたら、しっかりギャラクシー賞を獲っていた。監督は大好きなドラマ『住住』の住田崇さん。

とにかくテンポが良い、小芝風花さんがこんなにセリフ回し良いなんて知らなかったので認識を改めた。そして、主人公・鼓田ミナレのキャラ造形の完成度が高い。ビジュアル含めて、キャラクターとしての輪郭がしっかりしてる。何よりも、ミナレを演じた小芝風花さんの快演ぶり。声の説得力にキレキレのトーク、作中の登場人物からの「ミナレなら何とかしてくれるかも」という期待をその佇まいですべて体現していた。

・『明日もきっと君に恋をする』

同じ1日を繰り返してしまう、ループモノの恋愛ドラマ。ある男女の出会いから恋に落ちるまでが何度も繰り返されるわけだけど、ループモノとして面白かったのは主人公(仁村紗和さん)がループの中に閉じ込められていることを悲しんでいるのではなく、翔太(新田真剣佑さん)との未来がないことを悲しんでいるように見えること。彼女が望んでいるのは、今まで通りの日常ではなく、翔太と共に生きる未来なんだ。

映像の質感が好きだなと思ってカラリストを調べたら、『青と僕』の黒部尊仁さんでなるほどと思った。主演の仁村紗和さんはこれまで明るい髪色の元気な姉ちゃん役が多かったから今作は新鮮。黒髪になるとこんなに印象変わるのか。

・『往生際の意味を知れ!』

原作未読。若手実力派の見上愛さんと青木袖さんという『きれいのくに』コンビがまた観られるというのなら、観ない理由がない。国民的エッセイ漫画家の娘による母親への妊活復讐劇というやや過激なテーマ。作品全体の勢いがあって、その勢いで最後まで駆け抜けたイメージ。

少しだけ、コスプレのようなチープ感が気になりつつ、やっぱり見上愛さんは同世代の中でも唯一無二の存在感だ。表情や佇まいよりも声が良い。その見上愛さんに中指を立てさせるあのラストシーン、あそこが一番撮りたかったシーンなんじゃないかなと思った。それくらいの気合の入りようを感じた。

・『日常の絶景』

八馬智『日常の絶景 知ってる街の、知らない見方』を原案とした街歩きドラマ。日常の中にひっそりと佇む「絶景」を探しに行く物語で、日常的に目にする景色へのまなざしが変わり、自分の日常がもっと愛しくなるような作品だなと思う。伊藤万理華さんの主演作品にハズレがないのはなぜなのだろう。個人的にいま一番信頼できる俳優が伊藤万理華さんだ。会話の温度感や間の取り方など、主演二人(伊藤万理華さん、石川蓮華さん)の空気感をすごく大切にしている作品で、とても好きだった。

・『パリピ孔明』

現代の渋谷に諸葛孔明がタイムスリップするという、出オチ的な作品だけど、終わってみれば最後まで骨太で見ごたえのある作品だった。向井理さん、森山未來さんの安定感に加え、毎回の豪華なゲスト。この作品は英子の歌声に説得力をどこまで持たせられるかに懸かってたわけだけど、さすがの上白石萌歌さん。ただ、物語を支えていたのはそれだけでなく、美術と衣装も良かった。ここがチープになるとコスプレドラマになりかねなかった。美術や衣装がノイズにならず、むしろ物語に没入するための装置となっていた。調べると衣装はBaby mixさん。『カルテット』のときの満島ひかりさんの衣装を担当していた記憶が強い。

金かかってそうだなと思ったけど、その分、音楽も演出もすべて良くて、最上級のエンタメだったと思う。

・『すべて忘れてしまうから』

失踪した彼女の謎をめぐるミステリードラマ。世界観というか空気感がすごく良い作品。途中まで燃え殻さんが原作であることを忘れていた。主人公の行きつけのbar「灯台」がとても素敵な場所で、ああいうお店が近くに欲しい。

とにかく演出がオシャレ。特に一話エンディングは秋クールドラマの中でも断トツにオシャレだった。bar「灯台」はミュージックバーでもあって、一話ラストシーンからTENDREさんのライブへとシームレスに接続していくエンディングがかっこよすぎて……。しかも毎話異なるアーティストがエンディングを担当する豪華さ。

「Disney+」での独占配信がもったいない。各シーンの画作りや映像の質感がすごく好みで、監督誰だろうと思ったら『あの子は貴族』の岨手由貴子さん。納得のクオリティだった。

・『ポケットに冒険をつめこんで』

国民的ゲーム「ポケモン」を原案としたヒューマンドラマ。広告代理店に入社した赤城まどか(西野七瀬さん)が、同僚やクライアントが抱える問題を解決することで成長していく物語だけど、そのキーとなるのがポケモン初代。各キャラクターごとにモデルとなるポケモンやキャラがいて、ゲームの進行とまどかの成長がリンクしていく構成になっていた。演出やビジュアルがポップに仕上がってて、肩肘張らずに楽しめるドラマだったなと思う。ある程度は勢いで楽しむ作品。ロケ地として池尻大橋『LOBBY』がめっちゃ出てくる。

・『泥濘の食卓』

日向坂46・齊藤京子さん主演のパラサイト不倫ドラマ。愛する店長を救うため無自覚なまま家に浸食していく主人公の行動原理の怖さはありつつ、物語を一番かき回したのは原菜乃華さん演じるちふゆ。原菜乃華さんの狂い方の方が常軌を逸してて、そっちに持ってかれた印象はある。途中、ヒコロヒーさんが重要人物役で出演するが、そこだけ完全に『キョコロヒー』になるので笑いが止まらなかった。さすがに入り込めないって笑。

・『ミワさんなりすます』

NHK夜ドラ枠・個人的完全ダークホースの名作。憧れの俳優の家の家政婦になるために、別人に成り代わるコメディドラマ。ミワのなりすましは悪意があったわけではなく、半分は成り行きでもあったわけで。実際何度も引き返そうとしていたけど、目の前に人生で一番推してきた俳優がいたら、本当のことなんて言えないよな、という話でもある。

自分に自信が持てないただの映画オタクだった主人公が、偽物を演じながら必死に生きた結果、成長していく。始まりは偽物だったかもしれないけど、ミワと関わった人は誰も彼女のことを肩書や名前で信頼したわけではなくて、ただ目の前で一緒に過ごす彼女のことを認めたのだから。優しい肯定があった。

そしてこの作品のもう一つの側面。壮年の俳優がそのキャリアの終盤にて、人生をかけて推してくれていたファンと出会う。自分のすべての作品を知ってくれている彼女を驚かせたいと思い、それが新たな活力になっていくあの交流の温かさ。この作品をとりまく優しい世界観が本当に好きだった。登場人物たちのじんわりとした温かさが余韻として残る名作。終わってほしくないと思ってしまった。

・『時をかけるな、恋人たち』

現代人と未来人の禁断の恋を描く、瑛太さん、吉岡里帆さん主演のラブコメディ。脚本はヨーロッパ企画・上田誠さん、監督は山岸聖太さんで、恒例のタイムトラベルモノ。

コメディパートのテンポ感は、2023年トップクラスに好きだった。瑛太さんと吉岡里帆さんのセリフ回しの安定感。特に吉岡里帆さんは、ぼやきと叫びでどちらも面白い鉄板パターンを持っていてすごいなと思った。いつもよりもロートーンの伊藤万理華さんも好き。

エンディングの中でエピローグを描く構成がすごく良かった。

・『いちばんすきな花』

『silent』を通らなかったので、ヤングシナリオ大賞受賞作『踊り場にて』以来の生方美久さん作品。どうしても、メイン4人のキャラのために他のキャラクターが動かされている感じがしてハマれない部分はあったのだけど、トータルとしては結構楽しんだ。なんというか、線ではなく点として好きなシーンや関係性がたくさんある。

あとやはりセリフがすごく良い。『踊り場にて』のときよりもセリフ感がグッと強まっていたとは感じる。それでも良いものは良いと思う。実際、かなりの量、セリフをメモした。良いと言えば椿さんがずっと良くて、というか松下洸平さんがずっと良かった。

生方美久版カルテットと言うのは乱暴なのだろうかと思いつつ、意識してないわけはないだろとは思う。分人主義を正面から描いていたのも好きだったかな。

・『きのう何食べた? Season2』

前作のときからそうなんだけど、僕はシロさんの「~だぜ?」みたいな口調や「時代が俺に追いついたか!」みたいなモノローグがツボで(無論、西島秀俊さんが演じてるという点は大きい)、めちゃくちゃ笑ってしまう。なんというか、声色は感情薄いのに、言っていることは結構ノリが軽かったりしてそのギャップが良い。今作はライフステージの変化や老いを感じるエピソードが多く、静かに響くシーンが多かった。

・『わたしの一番最悪なともだち』

NHK夜ドラ枠。一番好きでした。1話を観てすぐに「これは絶対に好きな物語だ」と感じて、しばらく観られなかったけど、年末で一気観した。昨年の同枠『あなたのブツがここに』といい、この作品といいNHK大阪放送局の制作は信頼できる。

脚本は、坂元裕二ゼミを卒業してからずっと追っていた兵藤るりさん。長編としてのオリジナル作品は初だと認識してるが、今作を観て希望を感じた。坂元さんっぽい脚本という意味ではない、でも物語の中での生活への解像度というか、まなざしに坂元さんの空気感を感じる。誰かにとっての切実な生活のあり方を大切にしている気がして、それが脚本に表れていた。兵藤さんは「手触り」とか「感触」とか、目に見えないものをとても大切に描こうとしていたと感じる。若い脚本家さんで坂元さんのエッセンスを引き継ぎながら、でも独自に進化していきそうな人が出てきたことにめちゃくちゃ感動してしまった。

主人公・笠松ほたる(蒔田彩珠さん)と鍵谷美晴(髙石あかりさん)の関係性を中心に置いた成長物語なのだけど、まずもってこの二人の関係性が素晴らしい。ずっと疎ましい存在だと思っていた美晴のことを、本当はずっと「こうなりたい」と思って生きていたことに気づくシーンから物語が一気に動き出す。嘘から始まる「本当の自分」をめぐる物語。始まりが嘘だったからといって、全部が嘘にはならない。同枠の次作である『ミワさんなりすます』と続けて観ると楽しい。

個人的には、就職活動編から社会人編に移って、物語の解像度が一気に下がったな笑 とは思ってしまったものの、前半の就職活動までは2023年一番の名作だった。前半の16話まででいいからいろいろな人に観てほしい。でも、16話まで観たら、登場人物がどんな結末にたどり着くのかずっと追いたくなると思う。最終回の爽快さは全部観ないと味わえない。

■お笑い

・にぼしいわし 第4回単独ライブ『グーチョキパーにおいて』

泥臭さと毒の両方を持ついわしさんのプレイスタイルというか、ワードセンスがすごく好き。コンビに関するすべてをいわしさんが担っている印象だったけど、それは本当にその通り。にぼしさんはいわしさんの背中に乗ってるだけだとハッキリ言うのに嫌な感じがしないのは、にぼしさんのキャラがキャッチーだからだよなあと。キャラが完成してる。

・『小松海佑理解王』

誰が一番小松海佑を理解しているか決める大会。参加者は、元赤もみじ・村田さんに、サスペンダーズ・依藤さん、きしたかの・高野さん、ダウ90000・蓮見さん。めちゃくちゃ面白かった……第二回も開催してほしい。回答だけでなく理由含め、それ以外の話もすべて考慮して内申点がつけられるから、下手に喋るとマイナスに作用する可能性があるっていうリスク設定がずっと面白かった。終盤、リードしていた村田さんが勝手に自滅していったくだりが好き。

・『あの子の自転車 Vol.10』

ダウ90000主催のコントライブ。もうすっかりチケットは取れなくなっていて、配信で観た。こんなにチケット安くていいのか? ってくらいいつも面白い。園田さんが光ってるネタが多かった印象。

・『ノア』

令和ロマン、ヨネダ2000、パンプキンポテトフライ、フランスピアノ、シシガシラという最高のメンバー。

水泳キャップを忘れたことで区民プールに入れなかった脇田さんに対して、そもそも水泳キャップとは抜け毛などが排水口に詰まらないため、髪の毛が引っ張られないために必要なものなのでハゲには本来必要ない。それなのに水泳キャップを求められたということは「区の判断では脇田さんはハゲてない」と結論付けた、シシガシラのネタ大好きだった。

・ひくねとコントサークル主宰『雪見だいふくの第一印象は固い』

GAG福井さんにテニスコート・神谷さん、浅野千鶴さん、サルゴリラ・児玉さんというメンバーで期待値高かった。1本目のコントがめちゃくちゃ好きで。

深夜に危篤のお父さんのもとにかけつけたけど、テレビではワールドカップ日本戦真っ最中。絞り出すようなお父さんの声に耳を傾け必死に会話をしながらも、目線はチラチラとテレビの方に。このときの視線の向け方に、俺の好きな神谷さんがあった。動きや表情の変化だけで面白い。

みんながあまりにサッカーに白熱するからお父さんが「今日じゃない方がよかったな」と気を遣いはじめるところでめちゃくちゃ笑った。

・テアトロコントspecial コントライブ『夜衝2』

前作よりも蓮見さんが前に出てくるコントが増えていた印象。蓮見さんは「食事」という行為を面白いものだと思ってる気がする。

・デカ渦単独ライブ『あれなんだったんだろう』

K-PRO児島さんが作った「HIKARI SHOEMITT」というアイドルとお笑いをどっちもやるグループが解散したあとに、メンバーのうち二人がお笑いコンビとして残り、蓮見さんがネタを書いて単独ライブを開催。蓮見さんがネタを書いてるとはいえ、二人が上手くてびっくりした。

全編通して、蓮見さんが「HIKARI SHOEMITT」をいじり倒してるのが伝わる。名前の由来を児島さんから直接聞いてるときは「あ、へぇー!」って感じで受け止めてるのに、そのあと名前をめちゃくちゃいじってた。それに対してのまんじゅう大帝国が「俺らまんじゅう大帝国って名前にしちゃったから他のとこの名前いじれないんだよ」が好き。

・ラランド トークライブ『ロクな話3』

毎年恒例の『ロクな話』。ニシダさんのLINE漫談好き。偽の番組企画でニシダさんがパーソナルジムに通い15kg以上痩せるも、マネたくさんの方が身体を仕上げてきてるっていうドッキリ。

・『にぼしいわしの何卒宜しく』

にぼしいわし東京進出1発目のライブに行った。東京進出した翌日に大阪で凱旋ライブをする謎スケジュール。

シンクロニシティの「オークション」と、じぐざぐの「椎名桔平」が好きだった。

・『ダウってポン』

Paravi配信のダウ90000のフェイクドキュメンタリー。番組の最終話で作り上げたコントの完成度が高すぎて、何度も観直した。ここでしか観られないけど、観る価値がある。

・『テアトロコント』

結構な頻度で通うテアトロコント。今年は岩谷健司さんと岡部たかしさんの演劇ユニット・切実が参加したvol.64が熱かった。直前、ダウ90000が「3年経つということ」という素晴らしい長尺コントを披露して会場が拍手に包まれていたなか、切実が披露した「朝の人」はそれを上回る大拍手が巻き起こっていた。今年観たコントの中で一番好き。

・ダウ90000単独ライブ『20000』

普段からライブで新ネタをガンガン出してるのに、単独でもその勢いを殺さず新ネタをたくさん出し、かつ面白いのがすごい。もう驚かなくなった。一番好きだったのは『大親友』。

・ラブレターズ単独ライブ『38』

キングオブコント2023で披露したコントのアンサーコント(壁ドンされてるVtuber側の視点)から始まったの最高だった。今回もダウ90000蓮見さんがネタを一部提供しているとのことだったが、息子の演劇を観た父親に「つまらなかった」と認めさせるためだけに理詰めしていく『息子の演劇』が分かりやすいくらいに蓮見さんのコントだった。性格が悪すぎる笑。

・『ラランドサーヤのロクメイ館』

ランジャタイ・国崎さんの回。脱線に次ぐ脱線で笑い疲れて仕方なかった。途中に絶対、ただ嘘を言っているだけの時間があった。

・『CONTE人』

ザ・ギースの「多重人格合コン」は終盤の畳みかけで、他コンビのネタで出てきたキャラも出せるのがフォーマットの勝利という感じがする。

エンディングで「キャプテンバイソンを呼んでコントライブをやります」と告知するザ・ギースに、MCだった金の国・渡部おにぎりさんが「それは、何のためにやるんですか?」と聞いてたの面白かった。

・『グレイモヤ』

今年もグレイモヤが一番好きなライブで、何度か行った。

一番良かったのは12/3の回。トリは怪奇!YesどんぐりRPGで、シチュエーションは結婚式。サツマカワRPGさんとYesアキトさんが参列し「おめでとうー!」と叫ぶなか、どんぐりたけしさんが登場。誰もが「どんぐりたけしさんとありぼぼさんの結婚」の件だと思って大きな拍手で迎えるも、どんぐりたけしさんもそのまま列に並び3人で一緒に「奥村皐月さん、結婚おめでとうございますー!!」で暗転。会場が割れんばかりの拍手と笑い声に包まれていて良い空間だなと思った。

・テレビ朝日『ランジャタイのがんばれ地上波!』

2023年のバラエティ番組の中では、一番好きだったように思う。「ブチギレ王決定戦」のネコニスズ・ヤマゲンさん優勝と、「ネット弁慶-1グランプリ」でトンツカタン・森本さんが空色のシャツを着ている理由が明らかになった瞬間が、個人的ハイライト。

・劇団90001

本編のネタよりも、「コントのスカパラ」を目指すという話などトーク部分が興味深い話ばかりで面白かった。中島百依子さんが朝ドラに出るイメージは結構つくので、ぜひ実現してほしい。

■その他

・Aマッソライブ『滑稽』

割と賛否両論だったと思うが、フェイクドキュメンタリー好きとしてはとても良かった。ぜひとも会場で観たかった。これを「お笑いライブ」として捉えると嫌な気持ちも分からなくはない。でもこれたぶん、ジャンルはホラーだと思うんだよな。ホラー映画のつもりで観るのが正解だと思う。

・しずかなインターネット

リリースされてからすぐ始めたけど、満足感が高い。

世界観の穏やかさ、UI・UXの気持ち良さなど、めちゃくちゃ気に入ってる。2024年はInstagramとしずかなインターネットで定期的に文章を書いていくつもり。

・NHK『ゲームゲノム』

名作ゲームの魅力を深掘りする教養番組。久々に気持ちがゲームに戻ってるのもあり、めちゃくちゃ面白くて。『バイオハザード』における、恐怖心が強くなりすぎるとゲームが進まない。では恐怖心を打ち消すものは何かというと好奇心であって、その狭間でプレイヤーをどう煽るか。恐怖の中に謎を残すことで、恐怖心と好奇心のバランスを保つ話などがすごく好きだった。

・岸政彦×カツセマサヒコ トークイベント『都市に潜る』

岸政彦さん『にがにが日記』の刊行記念イベント。岸さんは生活史のインタビューにおいて「質問をしない」。「なぜ?」と問うて返ってくるのは「単純化された答えになってしまう」という話に唸った。確かに「人がなぜその行動をとったのか」はいろいろな理由の積み重ねなのだろうな。そういうものは描写を重ねることで見えてくるものなのかもしれない

・テレビ朝日『ハマスカ放送部』

あまりにも個人的かつちょろい話すぎるのだけど、ある取材でたまたま齋藤飛鳥さんと会い、たった一言会話をしただけで落ちました。それ以降妙に気になってしまい。2023年は齋藤飛鳥さんが出てる番組をたくさん観てます。ハマスカ放送部を観始めたら面白くて。それにだんだんハマオカモトさんの喋り方も好きだなあと思ってきて、毎週観る番組になった。

・『小沢健二 meets 空気階段』

小沢健二さんと空気階段が、「勝負どき」に聴いていた曲をリアルタイムで聴きながらチャットするというDiscord上で行われたイベント。

いろいろな曲に対する自分の日常に紐づいた思い入れが語られていて、すべてが良かった。もぐらさんの競馬やパチンコの話を小沢健二さんが興味津々で聞いている姿が面白くて。あとかたまりさんがタイピングめちゃくちゃ遅かった記憶がある。

・テレビ東京『祓除』

フェイクドキュメンタリーホラーが好きな人に向けた、その集大成のような番組だった。好き。ただ、事前番組、本イベント、事後番組の3段構成だけど、事後番組が実質本番なのはトラップだった。夜中に1人で油断しながら観たらなかなかに怖かった。

・『THE FIRST SLAM DUNK』

大学時代の友達がめちゃくちゃ『SLAM DUNK』好きで。思い入れが強すぎて映画を観に行けてない、ここまで来ると逆に『SLAM DUNK』に興味ない人と勢いで行きたいから付き合ってと言われ、着いていった(原作は読んでなけど、アニメは少し観てたくらい)。上映中、友達を見たら号泣しながら観てて「よかったあ」と思った。正直、すごい面白かった。OPの時点で絶対に面白いなと確信できるクオリティ。


以上です

正直、長すぎて途中で心が折れそうになり、観たけどカットした作品が結構あります。全部書くと2万字を余裕で超えそうだったので。

改めて思いますが、SNS上に存在する演劇やお笑い、ドラマのウォッチャーの方々って、どうやってあれだけの数観てるんですかね。仕事しながらだと、時間がどうやっても足りなくて。僕はカットしたものを入れてもギリ100届かないと思います。

それはそれとして、2024年もさまざまなコンテンツを楽しみにしています。今回みたいな振り返りはたぶんもうしません。12/31~1/1ほぼこれに費やしました。抜粋版であればやろうかなとは。

夜ドラが好きなので、夜ドラに関するインタビューの機会とかあればなあ……。そこまで行かずとも、深夜ドラマに関する何かはしたい。今年はエンタメに関する仕事も再開しようかなと思っています。

では、今年もよろしくお願いいたします!

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