糸

毎日辛いことがあっても、「明日」はやってくる。朝日は昇る。「明日」は何が来るか全く分からないから、明日を今、どんな1日になるか想像する。来る「明日」という1日が、 “ 消えてしまいたい、” と思うくらい辛くても、絶望感に苛まれても、楽しくても、嬉しくても、悲しくなってもそれは時間とともに「過去」となって過ぎていく。誰かに言われた痛くて棘のある言葉も。心の奥深くに刺さるような言葉も。言った側は忘れていても、言われた側にとって言葉は永遠に残る。次第にそれは、自分の心の奥底に深く、深く、刻み込まれていく。

私たちが見た世界は、脳の中に記憶として描かれる。
ひとつひとつ。丁寧に、鮮明に。
記憶は、突然暗闇の中に消えてしまうこともある。
心の中に光を照らす。光があれば、暗いところも照らすことができる。

何を感じたのか。心が動いた瞬間を、出来事を。忘れないように、途切れないように。糸で丁寧に縫っていくように、少しでも言葉にして日常を繋げたい。
少しずつ“ 私 ”を、残していく。
今日も、空が絵を描いたように世界を照らしていた。

今日は、明日につながる。