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「スライドと語りのバランス」って、どんなだろう?Vol.1

【スライド語り/語りとスライド】
スライドと語り……プレゼンでも講義でもこのバランスがその時間の価値に大きく影響してきますよね.
ここで大事なことはその時自分に求められているのは
・スライドを補完する語り
・語りを補完するスライド

のどっちなんだろうか?ってことです.
もちろんその場その場で変化することもあるんですが,特に経験が浅いうちはストーリーの大筋を決めて臨んだ方がスムーズです.(あくまでも大筋)
ただ,講師やプレゼンターとしての立場を考えるとやっぱりメインは「語り」でありたいし,いくら作り込んだとしてもスライドばかりが目立ってもしかたないですよね.これをご覧ください.

画像1

これ,ある方たち向けに作っている説明用スライドなんですが.ICFの前身にあたる「ICIDH」を説明する1枚です.
まぁ地味ですよね.
このスライドを投影しながら僕が喋ることは以下の感じです.

ICFが生まれる前,1980年に始まったのがICIDHです.この概念は今では「よくない考え方」の代名詞みたいに言われてますが,実は結構すごい功績を残した概念で,障害をいろんな方向から捉えることでその人の社会的不利を導き出す画期的なツールだったわけです.何が画期的だったかといいうとこれです(一番上を指して).
病気とか変調,これを出発点として「機能障害」が生まれる.これはそのままなんですけど,ここから直接,または能力低下障害を経て最終的に「社会的不利」につながっていく.つまり病気や変調がある人がなんらかの社会的不利を被るというプロセスが約束されてるという部分です.
超シンプルだけどめちゃくちゃわかりやすいですよね?(問いかけ).
その社会的不利を導き出すポイントは「障害」を多面的構造的に見まくることです.
逆にいうと「この人の社会的不利を導き出そう」というスタンスで障害を見ていくことを表してるわけで,ネガティブポイントを見つけてそこをケアするという医学っぽいモデルになっているわけです.このへんがICIDHの強みでもあり,同時に一番の欠陥でもあったんです.もったいないなーっていう部分です.

こんな感じで話します.
このスライドはこのプレゼン最大の肝である「ICFの思考性」を説明する伏線になる前半のキースライドになります.なので語りによる説明は大事になります.
ややこしくなってくるのでシンプルに説明すると…
「図を提示することで語りをセットとして認識してもらいやすくする」
ということです.
これは紙芝居とまったく同じ原理.オーディエンスは
・視線はスライド
・耳は語り

と両方を同時に味わうことになります.
逆に言えば講師を見なくてもいい時間です.
文字がいっぱいあるようにも見えますが,上段のICIDHプロセスは……

① 一番上の文章
② 左の「1980ICIDH」
③ ◯で囲んだ4つ
④ 下の矢印

の4チャンク(塊)で構成されています.
人間が一度に認識/記憶できる「数量」は7±2と言われています.個人差はありますが,これがマジカルナンバーと言われるものです.
ここではチャンクは1つとして認識するのでここでは合計「4」,余裕で認識できる数です.
これを認識してもらいながら語りで補完していくというスタイルです.
この場合は「語りでスライドを補完する」という形になるわけですね.
2枚目の画像をご覧ください.

画像2

こちらはよく講演やプレゼンで使われる手法で,大きな画像にサブタイトルのようなものを載せるだけのパターン.
ここでの語りは以下のようになります.

ICIDHはたくさんの功績を残したんですが,一方でシンプルすぎるがゆえの課題も多く残しています.20年使ってみたらあちこちに欠陥が見つかったということで,それを後々ICFで改善してくわけなんです.ICIDHが解決できなかった課題を見るとICFのポイントとキーワードにたどり着くというわけです.

みたいな感じです.
ここでは猫の画像を見て欲しいわけではなく,スライドにはそんなに目を向けなくていいよーというメッセージを送ってます.
猫好きな人はずっとスライドを見るかもしれないですが,それはそれ.ここでは講師が身振り手振りも入れながら意外と大事なことを語ります.
なので,「語り」を聞いてほしい場面です.
こんな感じでスライドと語りの関係性を明確にしてくと……

・どんなデザインにするか
・情報量はどの程度にするか
・色合いはどうするか

につながってくるというわけです.
次回は「語り」の組み立てです.

#スライド #プレゼン #講師 #デザイン #コラム #先週もっともスキされた記事の1つ

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