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【リクエスト】過去の恋【ありがとう】

はいこんにちは。
褒めると伸びるタイプの作詞家、藤橋です。
「月刊褒めると伸びるタイプ」があったら表紙です。
背表紙は1年後に解散するロックバンドの雪田くんです。間違いなく。
誰か創刊してください。

恒例の自己紹介はこちら。

さて、
今回はインスタグラムでnoteのテーマを募集してみました。
ご回答くださった皆様、ありがとうございました。

いくつか候補をお送りいただいたうち、
一番苦手なテーマで書いてみることにします。

そのテーマとは、

過去の恋

です。

作詞をやっている以上、避けては通れないテーマです。
それは分かっています。

ですが、何となく、そのあたりはあまり語らないようにしていたりします。
その前に、誰がおっさんの恋バナ聞きたいん?という気持ちもあります。
いっそのこと、いたずらで有料記事にしたろうかとも思いました。笑

初恋について、なら
お笑い芸人ゆきおとこさんの番組「ゆきおとこの美女対談」に出演させていただいた際に
ちょっとコミカルにお話しました。

また、この日お話しした初恋について
こっそり歌詞にしたためたこともあります。
多分あんまりバレてないです。

大島みふき「the Heroine」より

そんなわけで、
自分としては初恋の話はもう飽きてしまいました。
なので今回は、今までどこでも話してこなかった事をたらたらと綴ります。

とりあえず、ここから先はただただ無益な文字が並びますので
今すぐ閉じて天井のシミでも数えていただくことを推奨します。

~~~~~~~~~~~~~~~~

あれは確か、高校を卒業して一年間フラフラしていた頃。

いつものように渋谷の一画で遊ぶ仲間の中に、彼女は現れました。

野暮ったい恰好をしたぼくたちとは一線を画す、ひときわ洋風な出で立ち。
アメリカのバッドガールファッションとでも言いましょうか。

子供がいたずらで作ったような服だか紐だか分からないものを身に纏い、
体中のありとあらゆる部位が露出した彼女は、金髪の男を連れていました。

いや、連れていたと言うより、従えていたと言った方が適切だったかも知れません。
そしてその金髪の彼は、脱色して金髪なのではなく、アメリカ人だから金髪なのでした。

誰の知り合いで、どのような経緯でぼくたちの遊び場に来たのか
今にしてみると不思議ですが、
妙なリングのせいでどこからどこまでが指でどこまでが金属か分からない彼女の手に興味を持ったぼくは
「おれがここのボスだけど」みたいなイタいことを言って彼女の気を引こうとした記憶があります。恥ずかしいです。

そんなこんなで彼女とよく顔を合わせるようになり、
色んな話を聞きました。

都内にあるアメリカンスクールに通っていること、
母親が渋谷でお店をやっているからよく来るということ、
たれぱんだと白熊が好きなこと、
そして誕生日がぼくと同じであること。

いつしか親密になり、彼女の家の犬がぼくに懐いた頃、事件が起きます。

仲間の一人に、Aくんという人がいました。
Aくんは整った顔をした、お金持ちの大学生でした。
そんな彼がぼくに打ち明けてきました。
「おれ、あの子が好きだ」

ぼくはと言えば、
彼女との間柄を誰にも知られないようにしていたのです。
明け方の道玄坂も離れて歩く念の入れようでした。
彼女の私生活に配慮が必要な理由がありました。

当然、Aくんがそんなことを知る由もなく
神妙な面持ちで恋心を告げてくるのですから
ぼくは大慌てです。

平静を装いつつ、色々な考えが頭を巡りました。

秘密を打ち明けるのは、彼女に悪い。
いけいけ!と言うのはAくんへの罪になる。
無理に止めるのもおかしい。
あぁ、どうしよう。

考えすぎた結果ぼくの頭はスパークし、
「す、好きにしたら良いんじゃない?」という
なんとも無難で卑怯な回答をするのがやっとでした。

さて、一難去ってまた一難とはよく言ったもので
更に困ったことが続きます。

彼女から、
Aくんはもとより、BくんにもCくんにも、アメリカ人の元カレにも迫られている
という面倒くさい事実を聞かされるのです。

なんだそりゃ。

若気の至りでしょうか。
きっとぼくに「それじゃない」何かを期待していた彼女に対し、
ぼくは最低の回答をしました。

「みんなと順番にデートしたら?その間こっちも遊んどくから」


結果から言うと
ぼくはその数ヶ月後に彼女と復縁するのですが
これが人生で最もストレスフルな数ヶ月となったのです。

まず、彼女との間柄をAくんに隠していたことがバレました。
Aくんからしたら手のひらで転がされた気分だったのでしょう。相当な怒り様でした。
忘れもしない、真冬の屋台での大喧嘩。
人の頭に熱々のラーメンをかけたのは最初で最後でした。

次に、アメリカ人の元カレがなぜかぼくに近づいてきました。
紳士らしく平和裏に解決したかったのでしょう。
彼女と三人での旅行を提案してきました。
とても嫌だったのですが、結果、どこだったか海沿いの街へ行きました。
ぼくたちの一行には、なぜか彼女を好きだというアメリカ人がもう一人加わっていました。
もうメチャクチャです。
その夜は意味の分からない時間を過ごすことになりましたが、それはまた別の機会に。

また、Bくんは早々に彼女を諦め(フラれ)、
なぜかAくんを応援するようになりました。
ぼくの人望のなさ、すごかったです。

最後に、Cくん。
抜け目ない嫌なやつでした。
ガサツで根性がある、筋肉質な男でした。
ただ、ガサツがゆえに、孤高の男でもありました。
彼は単独行動で彼女を篭絡しようとアレコレやっていたようで、
仲間の中では一番近しいポジションにいる雰囲気を持っていました。
実際のところ彼女と何があったかは知りません。

整理すると

【AくんBくん連合】【Cくん】【アメリカ人2人】

という勢力が、ぼくと敵対する図式となりました。
とてもシラフではやってられない戦況でした。

ところが、事態は大きく動きます。

Cくんがどこかで何かをやらかし逮捕されたのです。
何があったのかは知りません。
おおかた自慢の筋肉が暴走でもしたのでしょう。

さて、敵陣の一角が崩れました。
ぼくはここぞとばかりにAくんを説き伏せ、友好関係を築き、仲間に引き入れ、
せめて日本VSアメリカの図式を作ろうと躍動しました。

偶然Aくんの家が近所だったのも幸いしました。
毎晩毎晩寒空の下で語り合い、しまいには互いの家を行き来する関係となり、
最終的に勝手に合コンを組んでAくんを巻き込むという寝技でキメました。
Aくんのターゲットを彼女からずらすことに成功したのです。
ついでにBくんもその合コンに呼んでおきました。Bくんは知らん女にフラれてましたが、まぁいいです。

最後はアメリカ人です。
ぼくが彼らと真剣に対峙する頃には、Aくんは強い味方となっていました。
もうほぼ記憶に残っていませんが、ぼくたちの大和魂が炸裂した瞬間がありました。
オリオン座が見守る澄んだ空気の中、
Aくんとハイタッチして勝利に酔ったことを覚えています。
桜木と流川かと思いました。

そんなこんなで、やる必要のないバトルを戦い抜くという
大いなる青春を謳歌した藤橋少年でした。

そんな彼女とは、復縁してから割と長く付き合いました。
勝ち気同士で喧嘩も絶えず、決して平和で幸せな日々とは言えませんでしたが、
それなりに楽しかったと思います。

最後はヌルっと別れてしまいましたが
風の噂ではアメリカで立派な仕事をしているとか。
お体だけはどうぞ大事に。

そして、ぼくはこの成功体験を通じて
「勝ち癖」のようなものを身に付けることができた気がします。
当時はこれがその後の性格や社会性に影響を与えるとは
これっぽっちも思っていませんでしたが、
楽観主義とも言われる自信の根源はここにあるのかも知れません。

最後に。

先日、連絡が途切れていたAくんと偶然にも最寄り駅で再会し、
当時の仲間と一緒に飲みに行きました。
「おまえ変わってねぇなぁ」と、ひたすら言われました。
笑ってる目の奥に、涙が見えた気がしました。
何の涙だったのかは分かりません。

~~~~~~~~~~~~~~~~

以上です。
こんなに長くなるとは思いませんでした。すみません。

また機会があれば、続編も書いてみようと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではでは。


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