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塾アルバイトの話


私は、中2から高2まで通った塾でアルバイトをしている。

そう、私は生徒だった場所で、先生をやっているのだ。


中3の時から、「高校を卒業したらウチで講師として働いてね」と、塾長に言われていた。

そんな、自分が分かるので精一杯なのに、絶対人に教えられない、絶対先生は無理だと思っていた。


それから月日が経ち、2020年3月。

高校を卒業して新しいバイト先を見つけ、働く気満々だった所に、コロナの影響でアルバイトが全部キャンセルになった。

今すぐに働いてお金を稼ぎたいのに、そう思っていた。

そんな時、また友人伝いで塾でのアルバイトの話を聞いた。

受験が終わってから数ヶ月で、なんとなく中学レベルなら教えられるんじゃないか、教えられなきゃ困るという気持ちと、塾の頑張ってる子達に教えることが自分の勉強のモチベーションに繋がるのではないかと、そんな気持ちが大きかった。

元塾生で塾長と知り合いだったことと、女性講師が少ないことから、採用までが早かった。

自分が塾生だった時の気持ちを思い返しながら研修をこなし、かなり褒められ、さあ行くぞという時に緊急事態宣言による休校。

なんてこった、という感じだが、まあ仕方ない。


緊急事態宣言の解除とともに、怒涛の塾の授業たち。

慣れない中でどんどんコマをこなしていくことになった。

接客業では、毎回色んなお客さんがいて、常連さんくらいしか同じ人がいない。

だが、塾は違う。明日も明後日も同じ生徒を持つ可能性があるのだ。

最初は、なかなか目も合わせてくれなかった子が、どんどん自分のことを話してくれるようになっていくのだ。

絶対に話さない男の子も、笑うようになるのだ。

そこが初めての体験で、すごく楽しかった。



3ヶ月くらい経つと、自分の教え方の下手さに辞めたくなった。

だけど、生徒のやる気スイッチを押せた瞬間があったからこそ、もう少し続けたいという気持ちもある。

今日、生徒に「先生来年もいる?」と聞かれた。


そんなこと言われたら、先生頑張っちゃうよ!

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