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年末の大掃除でお宝発見?! 捨てるモノから資産になり得るモノへ――メルカリ調査、国民1人当たりの“かくれ資産”は約53.2万円

メルカリが、期間限定でオープンした没⼊型施設「ウチの実家」がSNSなどで話題となっている。年末年始の不要品が多く出る時期に向けて、自宅や実家に眠っているモノの価値を知ってもらいたいと実施されたものだ。同社が行った調査で、日本の家庭に眠る“かくれ資産”の総額が推計約66兆6772億円であることが分かり、これを踏まえて企画された。

昭和レトロなグッズが満載、実家には思わぬ“かくれ資産”

メルカリが主催した疑似実家を体験できる施設「ウチの実家」は、11月29日から12月3日の5日間の開催期間で約1800人の来場者数を記録し、入場まで最大80分待ちとなるなどの盛況ぶりだった。

実家にありそうな2000点以上の懐かしいモノで構成された昭和チックな展示会場 
来場者からは「思ったよりも実家だった」「実家に売れるものがあるかもしれない」「実家に帰った際にあらためて確認してみたい」などのコメントが挙がった。
このような実家に眠っていそうなモノたちが、メルカリでやりとりされている。上左「振り子時計」(販売価格 2300円)、上右「木彫りの熊」(販売価格 4880円)、下左「フラワーロック」(販売価格 1万7500円)、下右「チラシで作ったゴミ箱」(販売価格 300円)※販売価格は2023年11月2日時点のもの

同社マーケティングディレクターの千葉久義氏は「今は不要になっていても、まだ価値があると知ってもらうきっかけとなるとともに、必要な人の手に渡るものとして、どんなものにも価値があるということを知っていただければ、という思いで設計した」と企画主旨を述べている。

かくれ資産の総額は推計約66兆6,772億円、1人当たりでは平均約53.2万円

「ウチの実家」企画のきっかけともなっているのが、メルカリが行った「2023年版 日本の家庭に眠る“かくれ資産”」の調査結果※である。

同調査によれば、日本の家庭に眠るかくれ資産の総額は推計約66兆6,772億円、国民1人当たりでは平均約53.2万円になるという。かくれ資産とは、1年以上使用しておらず理由なく家庭内に保管しているモノを不要品とし、不要品保管数量調査およびフリマアプリ「メルカリ」での平均取引価格によって不要品を金額換算した数値となる。

日本の家庭に眠るかくれ資産の総額
国民1人当たりの平均“かくれ資産”構成

消費者のサステナブル意識の高まりが、フリマアプリの利用を後押し

かくれ資産調査は、今回で3回目。かくれ資産の総額は、第1回(2018年)では約37兆円、第2回(2021年)では約44兆円、そして今回が約67兆円となり、この5年間で1.8倍に拡大したことが分かった。

また、不要品の保有点数は、前回調査(2021年)から全ての分類で増加。1世帯当たりのかくれ資産は約110.6万円と、前回調査から約16.2万円増加した。さらに、年末年始の大掃除で捨てる予定の不要品の資産価値は、平均8.5万円相当であることも分かった。

大掃除で捨てられる不用品
世帯構成別“かくれ資産”

調査の監修を行ったニッセイ基礎研究所生活研究部上席研究員の久我尚子氏は「1人当たりの不要品の平均個数の増加や平均取引価格の上昇が、総額の上昇につながったのではないか」と分析する。特に、平均取引価格が上昇した理由については「利用者の増加で取引される商品も幅広くなり、商品の価格帯が高価格帯へ広がった可能性が考えられる」とし、「一方で、中長期的には、消費者のサステナブル意識の高まりがフリマアプリの利用を後押ししていくのではないか」とも述べている。

日本財団や自治体と協力し1万5300個の「メルカリエコボックス」を配布、リユースを促進

ウチの実家はリユースに対する意識を喚起するために企画されたものであったが、メルカリでは実際に行動を促すための取り組みも行っている。

「メルカリエコボックス」は、家の中に眠っている洋服や本、小物、食器など「もう使わなくなったけれど捨てられないもの」を一時的に保管しておくための箱だ。捨てる前に「モノの価値」に気づいてもらい、リユースを促進することで、サステナブルな行動を人々に定着させることができるのではないかと開発された。

「メルカリエコボックス」

5月に行われた実証実験では、愛知県蒲郡市と新潟県加茂市でメルカリエコボックスを各300個配布したところ、74%の利用者が「実際に不用品を入れた」とし、55%が「リユースを体験した」という結果につながった。メルカリは本格的にこの取り組みを広げていこうと、日本財団の協力で1万5300個のメルカリエコボックスを作製し、11月16日から23の自治体で配布を始めている。

23の自治体:和歌山県、相生市、生駒市、雲仙市、蒲郡市、岐阜市、坂出市、瀬戸市、仙北市、徳島市、行方市、西宮市、弘前市、船橋市、北杜市、箕面市、三次市、守口市、山形市、岩美町、南部町、東浦町、平群町

メルカリエコボックスのアイデアは、リユースを当たり前にするためのきっかけづくりとして有効に働きそうだ。配布される自治体が限定されているため、現物を手に入れられない人は、手頃なサイズのボックスを1つ準備し「リユースボックス」として活用してみるのもよさそうである。不用品と思われるものも、即ゴミとして処分する前にワンクッション置いてリユースを考えてみると、新たな価値に気づくことができるかもしれない。家族で一緒に見直してみるのもよいだろう。年末の大掃除のタイミングで、サステナブルな暮らしへの意識を高めつつ、家に眠っている意外なお宝を発見できるかもしれない。

文:遠竹智寿子
フリーランスライター/インプレス・サステナブルラボ 研究員

トップ・本文中写真:メルカリ

2023年版 日本の家庭に眠る“かくれ資産”調査

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