マガジンのカバー画像

夜更けの思索宮

62
時には哲学を、古代ギリシャを、あるいは皮肉やのイタリアの彼氏のような、ちょっといつもの場所をはなれて遊ぶ
運営しているクリエイター

2022年6月の記事一覧

 「2次製品革命」で増産された生産物は、おねだり女神信仰と管理システムを創る

 ポール・キンステッド著『チーズと文明』、第2章文明のゆりかご チーズと宗教は、これまでと異なる歴史の視点を与えてくれる。(上の画像は、豊穣の女神イナンナ) 古代文明に影響を及ぼしたシュメール文明の誕生 降水量が従分で農業に適した北部のハラフに対して、灌漑設備がないと農業が行えない南のウバイド地域でなぜシュメール文明が起きたのか?ウルクに代表される都市国家は、中央集権的マネジメントシステムを持ち、精神的、経済的に階層化社会を形成した。それには、耕作と飼育による混合農業によっ

人口増加による危機とセレンディピティが産んだ栄養食品チーズ

 今回からポール・キンステッド著『チーズと文明』を読む。まずは、第1章チーズの起源古代南西アジアだ。   アペルは羊飼いに、カインは地を耕すものに 私たちの人類は、聖書によると、最初に農耕と牧畜を始めた。神は、アペルの差し出した柔らかい子供の肉と油を受け取った。そのアペルは、カインによってすぐ殺される。牧畜、どうなる!(もう少し旧約聖書を読み進めると、農耕を始めたカインの孫によってまた牧畜が再開された、と。) 人類に迫る人口爆発による食糧危機を救うのは? チーズが生まれた