🆕第14話 Cyborg
修行二日目
初日の仕事内容はメモに書き留めた。
小さなメモ帳たったが4ページほど
ビッシリ埋まった。
職場に向かう1時間ほどの電車
八広から東銀座経由で中目黒に向かう
スーツに身を纏いオフィスに向かう東京の人々
数年前の自分と重ねながら
主戦場は変わったが
同じ戦車に乗り異なる
戦地へ向かう
戦闘着も違う
不思議な感覚
メモを何回も読み直し
今日の1日をイメージした。
当時マインドフルネス(瞑想)に
ハマっていたので後半の30分は
好きな音楽を聴きながら気持ちを整えた。
中目黒着
中目黒という街はおしゃれな場所だ。
先程までスーツに身を纏っていた人は
居なくなりスタバのカップが
似合う人達で溢れていた。
そんな洒落た空気を一瞬味わって
日本濃度100%の職場に入る。
これも不思議な感覚
同じエリアなのに流れる空気が違う
先輩達に挨拶して仕事に入った。
メモに書いた仕事内容を遂行した。
石橋を叩いて渡るタイプの僕は
一つ一つの仕事を恐れながら着手した。
一通り終わると先輩から
今日は大根おろしを教えると
うちのお店はお通しに
大根おろしにうずら卵を乗せて提供する。
そのためのおろしだ。
実家では鍋を食べる時、
大根をスリスリする担当だったので
任せてくださいと感じだった。
しかし
先輩から
そこにある大根、箱ごと取ってきて
ん?これ全部?
15本ほど入ってる。
まずこれを全てピーラーでむいてくれ
チンタラしてたら日が暮れるから速くな
先輩が見本を見せてくれた。
左手で大根を回しながら
右手でピーラーを高速で上下に動かす。
一本あたり10秒ほど
なんだこのスピード
サイボーグのような動き方
「指切るんじゃねーぞ」
石橋を渡るタイプの僕に取って
異次元の世界
やるっきゃない
ブシュ
5本目ほどで指を切る。
バンドエイド貼って再トライ
時間はかかったがむき終えて先輩に確認
「その機械使ってひたすらすってくれ
汁気はザルで切るように
全て切ったら変色するから程よく汁残せよな」
手でスリスリするタイプの私にとってこれまた初体験
電動大根おろし器(業務用)
こんなものがあるのか
「ただするんじゃねーぞ、
考えて、
無駄なく、
効率よくするように」
機械は便利であるが
決して依存せず
こちらがコントロールするという
意識をを学んだ。
すりおえた後、僕は疲弊してた。
朝の最初の山となる仕事
これが最初に新人が任される
"追い回し"というポジションの
朝の大仕事だった。
これからすりおろしとの闘いの日々が始まる。
続く
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