シリコンバレーのスタートアップWasmerでインターンするために行ったこと

シリコンバレーとは、アメリカ合衆国カリフォルニア州に位置し、Apple、Facebook、Googleなどの大手IT企業やITスタートアップが集まる地域の名称です。そんなシリコンバレーでソフトウェアエンジニアとして働くことは憧れでしたが、日本に住み日本の大学に通っている私にとっては、遠い、夢のような話でした。しかし、2019年11月末から2020年2月末までの約3ヶ月間、サンフランシスコに本社を置くWasmer社で日本に住みつつリモートでインターンシップをしました。そして、シリコンバレーのエンジニアは決して雲の上の存在ではないと考えるようになりました。

本記事では、自身の経験から、どうやってインターンを探したのか、インターンに受かるために普段から何を意識していたのか、そして、インターンを通して何を学んだのかについて書きます。あくまでも一個人の経験に基づいたもので一般論ではありませんが、海外でエンジニアとして働くことを視野に入れている人にとって少しでも参考になれば幸いです。

インターン開始のキッカケ

インターン募集は社員の人のツイートから見つけました。彼のツイートを見つけたのは、運が良かったのと、普段から興味ある分野のテクノロジに対してアンテナを張っていたことが功を奏しました。具体的には、興味があったWebAssemblyをTwitterでキーワード検索し、そのなかで活発に技術に関して発言をしている人をフォローしていました。インターン募集のツイートをした社員はそのうちの1人です。Wasmer社はWebAssemblyのランタイムを開発する会社なので、以前から興味がありました。そのため、以下のツイートを見た私はすぐにメッセージで、履歴書とGitHubアカウントを送りました。

履歴書を送り2週間ほどすると、ぜひCEOと面接をしてほしいと言われたため、ビデオ通話をし、過去に行ったプロジェクトで使用した技術について話しました。エンジニアの面接ではよくあるコード面接などは無く、そのビデオ通話中にインターンが決定しました。翌日に契約書が送られてきて、サインをして、働きはじめました。ツイートを見てから実際に働きはじめるまでの期間は約1ヶ月です。

私は今まで、アメリカの会社で働くためにはアメリカの労働ビザが必要だと思っていました。しかし、日本に住みながらリモートで働くことによって、アメリカの労働ビザが無くてもインターンすることができました。海外インターンに行きたくてもさまざまな理由で行けない人がいるかと思います。そんなときは国を越えたリモートワークという選択肢をぜひ視野に入れてみてください。

インターン・採用情報を探すには

大きい会社の採用情報は企業の公式サイトなどに掲載されていることが多いです。そして、大きい会社の採用プロセスはきちんと決まっていることが多いため、プロセスに沿って応募し、コード面接の対策などをしっかりと行えば、本記事に書いてあることは不必要でしょう。しかし、大きくて有名なIT企業の数は限られており、受け入れてくれるインターンの数にも限りがあります。学生側の能力が申し分なくても、企業側が受け入れることができないために落ちてしまうことは珍しくありません。対して、スタートアップのような小さい会社はたくさんあり、大企業よりも受け入れてもらえる全体の数が多いと感じます。(正確な数を知っているわけではなく、あくまでも今までの経験による主観です。)よって、海外でエンジニアをしたいのならば、スタートアップで働くことを視野に入れると、働ける可能性が高くなります。

しかし、スタートアップの採用情報はほとんど表に出てきません。代わりに、知り合いのエンジニアを紹介しあうなど、主に優秀なエンジニアの人脈を通じて採用します。私は過去に3社の日本のスタートアップでエンジニアとして働いた経験がありますが、どこも知り合いからの情報によって求人を知りました。特にスタートアップのような小さな会社では、エンジニア同士の紹介は採用に大きな影響を与えています(この採用方法はリファラル採用と呼ばれます)。これはアメリカ、日本を問わず、世界的に使われている採用方法の1つではないかと思います。

しかし、日本に住みながら、アメリカに住むエンジニアと知り合いになるのは困難です。よって、SNSを駆使していくことが重要になります。

私がインターンを見つけたキッカケは社員個人のツイートでしたが、Twitter上では採用情報専用のアカウントなども存在します。例えば、WebAssemblyに興味があるエンジニアなら、@WebAssemblyJobsのアカウントをフォローすると良いかもしれません。このアカウントではリモートワークを含め世界中のWebAssemblyに関する採用情報について発信しています。

働きたい会社が既に決まっているのならば、社員の人をSNSで探し、連絡してみるのも良いかもしれません。例えば、「自分はxxxを開発しており、あなたの会社のxxxという技術に興味がある。インターンなどを募集していれば、ぜひ参加したい。」など、聞いてみることによって、表には出ていない採用情報を見つけることができるかもしれません。

また、直接コンタクトを取るのが難しいと感じる場合は、現在身の回りにいるエンジニアに自分がどういうことをやりたいのかアピールしておくのも手だと思います。これはあとから知ったことですが、Wasmer社の社員の1人は、普段から懇意にしている日本に住むエンジニアの元同僚でした。エンジニアの世界は狭いため、「xxxをやりたい!」と普段から周りにアピールしておくと、xxxの件がぴったりなので紹介しようかな…と思ってもらえるかもしれません。

履歴書に興味を持ってもらうには

理想的な採用情報を見つけたとしても、その際に添付するであろう履歴書が魅力的なものでなければ、その会社で働くことはできません。履歴書を魅力的にするのは一朝一夕では叶わないため、普段から準備をしておく必要があります。

学生の場合、以下などができるかと思います。
・(日本の企業で良いので)インターンに参加する
・オープンソースのプロジェクトをGitHub上で開発する
・Google Summer of Code(GSoC)に参加する

特に、最後の項目のGSoCは海外で働くことを視野に入れている学生にオススメです。GSoCは3ヶ月の期間で学生がオープンソースのプロジェクトに参加するイベントです。毎年夏頃に開発期間があり、今年は3月17日から募集が始まるようです。これは世界的に有名なイベントであるため、オープンソースを開発しているエンジニアなら存在を知っていることが多いです。私は2019年度にGSoCのcorebootのプロジェクトに参加しました。CEOとのビデオ面接のときに比較的長い時間を使ってGSoCに関して質問されたため、GSoCに参加したことが採用においてプラスになったのではないかと考えています。

私が実際に送った履歴書はこちらです。私が海外で働きたいと考えるようになったのは約2年前なので、この履歴書は2年かけて、海外にも通用するように考えて準備したものです。何かを成し遂げたい場合、長い時間をかけて努力するしかありません。私は周りのすごい人を見て、自分の能力に不安を感じて焦ってしまうことが多いです。けれど、周りと比べて焦るよりもできることを着々とやっていくしかありません。これは自分自身に改めて言い聞かせたい言葉です。

インターンで学んだこと

インターンでは技術的にはもちろん、どのように働くかについても考えさせられました。具体的には、交渉の大切さ、そして、自分の成果をアピールできるのは自分しかいない、ということを学びました。

交渉の大切さ
インターンを始めるときに、いくつかの労働条件に関して交渉しました。まず、修士論文を控えた学生だったため、週3の勤務でお願いしました。さらに、相手から提示された月20万円の給料をもう少しあげてもらえないかとお願いしました。金額を提示されたときに日本の物価に合わせて給料を調整したと言われたため、インターンに払う既定の金額は無い(もしくは曖昧である)と見込み、交渉をしました。給料の交渉するのは初めての経験だったので、メールを送るときはとても不安でしたが、結果、給料を月30万円にあげてもらいました。1通のメールで月に10万円の給料があがったという経験は、世の中の物事には絶対的な値段がついておらず交渉によって何か変わるかもしれないという実感を得る貴重なものでした。

自分の成果のアピール
完全リモートによる作業だったため、基本的にお互いが何をしているのかはっきりとはわかりません。Range、Slack、GitHubなどによるツールによって、日々のタスク管理、質問、プログラムの管理をおこなっていましたが、GitHub上でプルリクエストを送らない限り、仕事の成果が見えにくい状態でした。インターン期間中に1週間程度、ドキュメントを読むなどのインプットのみを行った週があり、その週は何をやっていたの?と少し咎められたこともあります。そのときに、毎日何をやっているのかアピールすることが大切だとアドバイスをもらいました。

インターンのメンターをしてくれた方はスイスに住んでおり、本社で働いていないという意味で彼もリモートワークでした。彼は毎日こまめにSlackで発言しており、わからないことがあれば、"HELP!"と質問を投げかけていました。私は彼の発言や仕事の様子を参考にし、インプットしかしていない日でも何かしらの記録を残すようにしました。自分が何をやっているのかアピールすることは、自分の成果を理解してもらうためだけではなく、一緒に働く他の人に安心してもらうためにも大切であると考えるようになりました。

英語力について

英語力は、技術力よりも心配している1番の問題でした。インターン期間中のやりとりはSlackやビデオ通話を全て英語で行う必要がありましたが、自分の英語力に自信がなく、ちゃんとコミュニケーションできるか心配だったからです。しかし、結論としては何とかなりました。そもそも社員の約半数の母国語は英語以外の言語だったのではないかと思います。そのため、いろんな国のアクセントで英語を話すのが普通であり、誰も気にしていないように見えました。(気にしていないように振る舞っているだけの可能性もありますが。)

自分の意図が伝わらず聞き返されたこともあります。自分の英語力の足りなさを自覚しているため、今後も勉強を続けていく予定です。しかし、英語に自信がないという理由だけでチャンスを諦めるのはもったいないです。今後も他の何かしらに挑戦するときには、英語力が原因で諦めることはしたくないと考えています。

まとめ

本記事では、シリコンバレーのスタートアップでインターンするために行ったことについて書きました。

・スタートアップは採用情報が表に出にくいため、SNSを駆使する
・応募時に履歴書に興味を持ってもらうため、年単位で準備をする
・労働条件に不満があれば交渉してみる
・自分の成果をアピールできるのは自分しかいない
・英語は流暢なほうがもちろん良い、けれど英語が原因で諦めるのはもったいない

海外でエンジニアとして働きたい!と考えつつもどうして良いのかわからなかった2年前の自分のような人にとって、本記事が少しでも参考になっていれば幸いです。

@d0iasm

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