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「私も OK」「あなたも OK」で上手に断るコミュニケーション

みなさんは、断るのは得意ですか?
ちなみに私は、嫌なことは嫌ってハッキリ言ってしまう脳と口直結型のタイプです。しかも顔にも出ちゃうのでとっても分かりやすい!(ヤッタネ

…という冗談はさておき。
「嫌でも断りにくくて…」
「断るの苦手で…」
「人に頼るのが苦手で…」
こういう方って、大人になっても一定数いますよね。
優しい方なんだな~と思うと同時に、勿体ないな~と思います。

また、言っていることは正しいんだけど…ちょっと言い方がキツいな~って人、いますよね。もっとマイルドに言って欲しい!

または、私のように脳と口直結型タイプの方って、言ったあとに後悔してしまう…なんてこともしばしば。

みなさん。
日常的にコミュニケーションで悩んでいること、あると思います。
…ありますよね?
そんなコミュニケーションに悩める子羊なあなたに!
今日は「アサーション」という考えを伝授したいと思います。

以下文章は、上記スライドを詳細に説明したものになります。
お忙しい方はスライド流し見でも◎ 十分理解できます!


アサーションとは

アサーションとは、自分の意見も主張しながら、相手の意見も尊重するコミュニケーションの考え方です。
アサーションの心構えとしては、自分も相手も win-win なコミュニケーションであることです。

体系的にアサーションについて学んでいく上で、自己主張には 3 つタイプがあることを知っておいてください。

自己主張の 3 つのタイプ

① アグレッシブ

自己主張において、攻撃的なタイプのことをいいます。
某国民的アニメ「ドラ〇もん」における "ジャイアン" のようなタイプのことです。
自己中心的で、一方的に自分の意見を押し付け、他者の気持ちや状況を汲み取らない(汲み取れない)傾向があります。
自己主張はハッキリ伝えられますが、その反面、人間関係において衝突が避けられないパターンが多いです。
攻撃こそ最大の防御!!!とか言ってる人、要注意です。

② ノン・アサーティブ

自己主張において、受け身なタイプのことをいいます。
同じく「ドラえ〇ん」における "のび太" のようなタイプを指します。
このタイプは、自分よりも相手の意見を尊重します。自己否定的になり思ったことを言えない特徴があります。
言いたいことを言えず、結果ストレスが積もりに積もり爆発する…というリスクを抱えています。
言いたいことも言えない世の中じゃ~~~、ポイズン!

③ アサーティブ

状況に応じた自分の要求を伝えつつ、相手に思いやりをもって接するタイプです。
「ド〇えもん」における "しずかちゃん" に当たります。
自分の主張しながらも、相手の気持ちや状況に配慮し、コミュニケーションを図ることができます。
相手のことも尊重した表現ができるので、相手から「この人は自分を大切にしてくれている」という認識を得られ、信頼関係が築きやすくなります。そして、なにより対等な立場で話せるようになります。

アサーショントレーニングの目標

3 つの自己主張のタイプをお伝えしました。
今回紹介したいのはまさに、「アサーティブタイプ」の考え方です。
しかし、どの場面においても「アサーティブタイプでいなければならないの?」…というと、必ずしもそうではありません。
状況によっては、アグレッシブでいること、ノン・アサーティブでいることが必要なときもあります。

自分のコミュニケーションがアグレッシブとノン・アサーティブの 2 択しかない場合、コミュニケーション上の摩擦が大きくなりやすいですよね?
ここに、アサーティブという選択肢を増やしてあげよう、というのがアサーショントレーニングの目標になります。

メリット

アサーションという自己主張タイプが重要と分かったところで、更にアサーションのメリットを 4 つお伝えします。

1. お互いに自分の意見や気持ちを話せる

まず 1 つめは、お互いに自分の意見や気持ちを話せることです。
自分も相手も尊重するという理念の元で成り立つコミュニケーションなので、相手も気持ちを伝えやすくなります。

2. 相手の意見や気持ちを尊重した上で、提案できる

そして 2 つめが相手の意見や気持ちを尊重した上で、提案できることです。
自分の気持ちを伝えただけで終わりではなく、代替案も一緒に提示します。そうすることによって、相手にとっては、一方的に主張されている感覚がなくなります。

3. 意見が違ったとしても、納得できる結論を見つけられる

3 つめが、意見が違ったとしても、納得できる結論を見つけられることです。
代替案を提示することによって、お互いの落としどころを探りやすくなります。

4. ハラスメント対策につながる

最後 4 つめが、ハラスメント防止効果です。
お互いを尊重するベースがあるので、自然と言い方や伝える雰囲気が柔らかくなります。
相手も傷つけにくいコミュニケーションが生まれるので、おのずとハラスメント対策にもつながります。

心構え

アサーティブコミュニケーションをとる上での心構えとしては、

  • 相手の気持ちに目を向けること

  • 自分の気持ちも伝えること

の 2 点です。

特に、アサーティブコミュニケーションを始めたばかりの人にとっては、いつもと違うやり取りに歯がゆい気持ちになったり、伝え方が難しく思ったりするでしょう。
自分が変わったのに…相手の態度は変わらない、なんてこともあるかもしれません。
いくら相手が、血を分けた家族であっても、自分とは違う別の人間です。ましてや、普段コミュニケーションをとる多くの相手は血のつながっていない赤の他人…意見が全部一致するなんてことはあり得ません。
相手を自分の思い通りにコントロールしようとせず、アサーティブコミュニケーションが失敗したとしても「たまたま意見が一致しなかっただけ」と思うことが重要です。

伝えるスキル

アサーティブコミュニケーションのすぐ実践できる伝え方のスキルがあります。

アイメッセージ

それが、「アイメッセージ」です。
英語の私を指す「I」で、「私は~だと思います」「私はあなたに~してほしい」といったように私を主語にしてどう思っているかを伝えます。
アイメッセージの効果としては、相手の行動を直接責めません
また、行動を責めるわけではないので、相手が反発したりマイナスな気持ちになったりするのを防げます。
そして、自分を主語にして思いを伝えることで、自分の主張も伝わりやすくなります。
アイメッセージを行うときに気を付けることは、否定的な言葉は用いず、できるだけ肯定的な言葉を使うことです。

例題

では、例題です。
S ちゃんは、お友達に遊びに誘われました。しかし、今日は習い事の日なので一緒に遊べません。
誘いを断る以下の言葉を、アイメッセージに変換してみましょう。

S ちゃん「習い事があるから今日は無理。」

元の言葉では、少し言い方がキツく感じますよね。
この言葉をアイメッセージに変換すると、例えばこうなります。

S ちゃん「今日は習い事があって、習い事を優先したいから遊べそうにないわ。」

「習い事を優先したい」という S ちゃんの主張が加わったことによって、誘った側も誘いを無下にされた思いをせずに済みますよね。
…ただ、私なら遊びを優先しますけどね!笑

具体的な提案

アイメッセージを理解したところで、更にアイメッセージに付け加えるとより効果的な 2 つのステップがあります。
まず、「具体的提案」です。
相手にとってもらいたい行動や自分が取りたい行動を 1~2 つほど具体的に伝えます。

言葉のプレゼント

「言葉のプレゼント」は相手の肯定的または否定的な反応によって、自分がどういう行動をとるのか、またどういう気持ちになったのかを伝えます
なんらかのアプローチをしてくれたことに対する感謝の気持ちを伝えると、より良いです。

例題 2

それでは、例題 2 です。
さきほどの例題のアイメッセージを加えた回答例に「具体的提案」と「言葉のプレゼント」を追加してみましょう。

S ちゃん「今日は習い事があって、習い事を優先したいから遊べそうにないわ。」

できましたか?
もし難しいと感じたならば、自分にしずかちゃんを降臨させてみましょう。
…ほ~らほら、スラスラ出てきましたね~。
例えば、こう。

S ちゃん「遊びに誘ってくれて嬉しいんだけど、今日は習い事を優先したいから遊べそうにないわ。明日なら遊べるけど、どうかな。」

「遊びに誘ってくれて嬉しい」という、あなたのお誘いによって私は嬉しくなりましたよ~という「言葉のプレゼント」。
そして、「明日なら遊べるけど、どうかな」という明日という具体的に日程を指定し、「どうかな?」と相手の予定を確認もした提案。
いかがでしょうか。
これで、マッチングアプリで出会った微妙な関係値の人からのデートのお誘いもやんわりと断れるようになりましたね(?)

おまけ - 返報性の法則

充分、アサーション・アサーティブコミュニケーションの取り方は伝わったでしょうか。
最後に、おまけとして、「返報性の法則」について話したいと思います。

返報性の法則とは、誰かから何かをしてもらったら、その相手にお返ししたくなりやすい、というものです。
この返報性の法則には 4 つのパターンがあります。

  • 好意の返報性:相手から受けた好意を好意で返したくなる心理。

  • 敵意の返報性:好意とは逆に、受けた敵意を敵意で返したくなる心理。

  • 譲歩の返報性:譲歩してもらったら、自分も譲歩しよう…となる心理。交渉などにも有用。

  • 自己開示の返報性:相手が壁を作らずオープンに接してくれることに対し、自分もオープンに接しやすくなる。

よく「したことは返る」と聞きますが、まさにこれです。この「したこと」には、良いことも悪いことも含まれます。
仕事でだけでなく、プライベート、特に家族間のコミュニケーションにも十分使える考え方です。

最後に

アサーションは、ビジネスの現場はもちろんプライベートでも十分に活用できます。
自分の主張も大事だけどあなたの主張も大事、この心構えを胸に人とのコミュニケーションを楽しんでいきましょう!

  • 参考文献

  • ゆうリワークセンター講座

    • 『アサーティブコミュニケーション』

  • アサーションとは【ドラえもんで理解するアサーション】

    • https://cocoro-to.jp/2021/04/19/assertion01/

  • アサーション

    • https://jinjibu.jp/keyword/detl/302/