無配した内容の答え合わせ

4/29のゲームレガシー、5/28のゲームレジェンドで当サークルの将棋ソフト本を購入していただいた方に先着で渡した12P冊子「嘘か?誠か?AIが語る将棋ソフトの歴史」の記載内容を実際に検証するという今回のお題。
Bing AIで質問して回答を出力したものをほぼそのまま載せたお遊び的なネタでしたが、楽しんでもらえたでしょうか?

ゲームレガシーからはちょっと時間が空いてしまいましたが、ざっと書いていきます。

黎明期(1960年代~1970年代)

コンピューター将棋ソフトの開発は、一般的な指将棋よりも先行して、詰将棋を機械的に解くことから始まりました。詰将棋とは、あらかじめ決められた局面から最善手を指して相手玉を詰ますというパズルのような問題です。詰将棋は指将棋に比べて局面が限定されており、コンピューターが得意とする計算力を活かせると考えられたからです。
1967年には日立製作所の越智利夫を中心とするグループが同社の5020Eを使用して詰将棋を解かせることに成功しました。加藤一二三(当時八段)が60秒で解く問題を90秒で解くなどアマ初段の腕前とされました。さらに1968年、越智らは「初の詰将棋を解くプログラム」を発表しました。
同年、週刊朝日の企画で人間対コンピューターの詰将棋早解き競争が行われました。審判と解説は原田泰夫八段と加藤一二三八段。コンピューターは「H君」(HITAC 5020を使用)、人間は各界の著名人でアマチュアだった。人間側の棋力は、初心者に近いレベルの者もいるが、多くはアマの有段者で、中には学生名人や詰将棋作家などもいた。詰将棋は一問ずつ出題され、一問ごとにタイムが競われた。
勝負は一人につき、二問。結果は人間側から見て、49勝53敗であった。原田・加藤両八段は、「H君」の詰将棋を解く棋力をアマチュア三段と認定した。
大山康晴はこの頃既に「人間が負けるに決まってるじゃないか」と予言 。「コンピューターに将棋なんか教えちゃいけないよ。ろくなことにならないから」と語っていた。
一般的な指将棋のプログラム開発が始まったのはこれよりも遅れ、1970年代中ごろと言われています。「人工知能、知識工学の完全情報ゲームへの応用」というテーマでコンピューターによる指将棋システムの開発をしていた、早稲田大学大学院理工学研究科の大学院生であった瀧澤武信(当時。後に早稲田大学政治経済学術院教授、コンピューター将棋協会会長)をメインプログラマーとする「近似」工程(天野宗歩への近似の意。詳細は後述)のプロジェクトチームによって、1974年11月から開発が進められ、翌1975年5月に完成したものが、おそらくは世界で最初のコンピューター将棋であった 。2010年に情報処理学会が日本将棋連盟に渡した挑戦状にも、この年を起点とした「35年」という開発の歴史の年数が記されています。瀧澤らの開発の目的は、作家の斎藤栄の「江戸時代の天野宗歩が現代の花形棋士(当時の中原誠や米長邦雄)と戦ったらどうなるのかコンピューターでシミュレーションしてくれませんか」という依頼に応じることであり、初の対人間戦も斎藤と行った。日本情報処理開発協会の催しにおいて数回実演したものの、序盤を過ぎると「目を覆いたくなるような」解説しようのない手を連発して、解説の中原らを困らせた。1976年には池袋東武百貨店のイベントで米長邦雄と初の対プロ戦を行い完敗した。
コンピューター同士の対戦がおこなわれるようになったのは1979年のことで、電話を使って行われた。大阪大学(奥田育秀、牧野寛、木沢誠)対玉川大学(瀧澤武信)は阪大が勝利。1981年の玉川大対東京農工大学(小谷善行)は玉川大が勝利。当時のコンピューターの速度では、対戦が終わるまでに日が暮れるどころか年が暮れるため、竹内郁雄が「コンピューター、人、人」という順序で2/3は人が指す「ハイブリッド対戦法」を提案し、瀧澤武信と小谷善行(と、おのおののコンピューター)の間で、1982年から1983年にかけて対戦が行われた(変則ルールでも結局、年が暮れてしまった)。

Wikipediaコンピュータ将棋よりBing AIで質問した結果

ここまでは、Wikiに書いてあることがほぼそのまま載っています。
これがどこまで正しいのかさらに深く調べようとしましたが、他に引っかかる情報が出てこないため、真偽を見極めるのは難しいところです。

次の時代に記載されていることも、基本は先ほどのWikiからそのまま出力しているようです。妙に長い情報を出力してきたなと思ってはいましたが、こういうオチでしたw

それはそれで検証する必要はありますので、確認していきましょう。

発展期(1980年代~1990年代)

1980年代に入ると、初期のパーソナルコンピューター(当時のマイコン)が普及し、アスキーマイクロオセロリーグが1980年から行われていたが、次第に興味の対象は、より複雑なゲームである将棋に移行していく。1983年にコムパックから『将棋対局』がPC-6001シリーズ向けに発売され、1980年代前半には雑誌上でも『ESS』『棋動戦士ランダム』などの将棋プログラムが発表された。またアーケードゲームではパソコンに先行して1982年に『本将棋』がアルファ電子より発売されている。
家庭用ゲーム専用機の分野では、1985年になってファミリーコンピューター向けにセタから『内藤九段将棋秘伝』が、スーパーカセットビジョン向けにエポック社から『将棋入門』が相次いで発売された。こうしてコンピューター将棋のゲームソフトが市場に出回り始めたものの、当時はハードウェアの性能も低く、評価関数も簡単なものであったため、これらは人間に比べて非常に弱いプログラムであった。ファミコン初の将棋ソフト『内藤九段将棋秘伝』に関しては初形から15手でCPUを詰ませることができる必勝手順が判明しており、2018年には『RTA in Japan』の種目としてリアルタイムアタック (RTA) が催されたほどであった。
将棋ソフトの普及は「どのプログラムが最も強いのか」という興味も惹くこととなった。将棋ソフトのプログラミングに興味を持つ有志らによって、1986年に『コンピューター将棋プログラム』の会が発足した。翌年、『コンピューター将棋協会』に改名された(略称:CSA)。彼らが主体となり、世界コンピューター将棋選手権が年1回開催されるようになった。記念すべき第1回大会は1990年12月2日、将棋会館で行われた。参加ソフト数は6つで、『永世名人』が優勝した。並行してコンピューターによる棋譜管理システムも生まれ、1988年に初代竜王となった島朗はコンピューターで棋譜管理をしていることが話題となった。

Wikipediaコンピュータ将棋よりBing AIで質問した結果

先に書いたとおり、20世紀の内容に関してはWikiからの引用というかほぼそのままでした。
この先も全部そうかと思ったら、ここからは引用先がWikiではなくなるようです。

革新期(2000年代~2010年代)

2000年代に入ると、コンピューターの性能が飛躍的に向上し、コンピューター将棋ソフトの強さも格段に上がっていきました。特に2005年に開発された『Bonanza』は、評価関数の自動生成や並列探索などの革新的な技術を導入し、世界コンピューター将棋選手権で6連覇を達成するなど、コンピューター将棋界の覇者となりました。『Bonanza』はその後も改良され続け、2010年にはプロ棋士の三浦弘行九段に勝利する快挙を成し遂げました。このことは、コンピューター将棋ソフトがプロ棋士と互角以上に戦えるレベルに達したことを示すものでした。

Bing AIの出力より

Bonanzaについては、2005年にデビューしたこと以外は残念ながら間違いです。

2009年1月、保木はBonanza Version 4.0.3の思考ルーチンのソースプログラムを公開し、他の開発者の利用を認めた。これにより、Bonanzaの思考ルーチンの詳細が明らかになった。これを利用し、2009年5月の第19回世界コンピュータ将棋選手権には電気通信大学の開発チームが、乱数によって異なる思考を行う複数のBonanzaライブラリの合議制アルゴリズムによって指し手を決定する「文殊」を開発して初出場し、本家Bonanzaに直接対決では敗れたものの、総合成績ではBonanzaの5位を上回る3位となった。

https://ja.wikipedia.org/wiki/Bonanza

BonanzaのWikiより引用した上記内容からも6連覇はしていませんし、世界コンピュータ将棋選手権の結果からも、2006年のみ優勝しています。

また、記載にあった三浦九段との対局は2013年の電王戦でGPS将棋との対局です。また、当時は八段でした。

参照分権が複数あると、却って間違った情報を結合してしまうのかもしれません(2023/4/中旬のBingの仕様)

では、続きを見ていきましょう。

2000年代後半から2010年代前半にかけては、『Bonanza』以外にも多くの強力なコンピューター将棋ソフトが登場しました。例えば、『Gekisashi』は2007年に世界コンピューター将棋選手権で優勝し、その後も度々決勝進出を果たしました。『GPS将棋』は2011年に世界コンピューター将棋選手権で優勝し、同年に行われた第2回将棋電王戦ではプロ棋士の阿部光瑠四段(当時)に勝利しました。『YSS』は2012年に世界コンピューター将棋選手権で優勝し、同年に行われた第3回将棋電王戦ではプロ棋士の豊島将之七段(当時)に勝利しました。『Ponanza』は2013年から2018年まで世界コンピューター将棋選手権で6連覇を達成し、第4回から第6回までの将棋電王戦ではプロ棋士の屋敷伸之九段、三浦弘行九段、佐藤天彦叡王(当時)にそれぞれ勝利しました。

Bing AIの出力より

 先ほどの世界コンピュータ将棋選手権のリンク先を参照してもらえれば分かりますが、2007年はYSSが優勝しています。翌年、「激指」が優勝しています。GPS将棋は2009年、2012年の優勝でなにも合っていません。電王戦の話も先ほど記載した通りです。
 第3回電王戦の結果は、豊島七段(当時)がYSSに勝っています。
 ponanzaの件は、2013年から2017年までベスト3入りをしていますが、優勝したのは2015、2016年の2年連続。本当にどこから情報を得たのか、当時リンクを抜くのを忘れた自分を責めたいですw
 電王戦は電王戦についてはこちらを見てください。屋敷九段、佐藤天彦名人(当時)に勝っていますが、開催時期などがずれています。なぜこんなに適当な内容になったのか不思議です。

これを出力した当時、結構イベントぎりぎりに出していくつかの出力パターンから一番文章量が多く、まともそうなものを選んだのですが・・・・ここまでひどかったとは思っていませんでした。

これらのコンピューター将棋ソフトは、それぞれ異なる特徴や個性を持っており、人間のプロ棋士とも様々な対局を展開しました。また、これらのソフトはオープンソースで公開されており、多くの人々が自由に利用したり改良したりすることができました。これによって、コンピューター将棋ソフトの開発や研究や普及に大きく貢献しました。
コンピューター将棋ソフトは、プロ棋士やアマチュア棋士の研究や練習の相手としても重宝されるようになりました。また、コンピューター将棋ソフトの対局は、将棋ファンのみならず一般の人々にも注目されるようになりました。2012年に始まった将棋電王戦は、プロ棋士とコンピューター将棋ソフトの対戦をインターネットで生中継し、多くの視聴者を集めました。将棋電王戦は、2017年までに6回開催され、その間にコンピューター将棋ソフトの強さや進化を見せつけるとともに、プロ棋士の健闘や苦悩も伝えました。

Bing AIの出力より

 電王戦の開催数以外は、まあこんな感じだったかなあという認識です。
 この当時は、当方はまだ将棋を再開していなかったのでざっくりとした記憶しかありませんが。

現代(2020年代~)

2020年代に入っても、コンピューター将棋ソフトの発展は止まりません。特に、深層学習という人工知能の技術を用いたコンピューター将棋ソフトが登場し、従来のソフトとは一線を画す強さを示しています。深層学習とは、人間が教えることなく自ら学習することができる人工知能の技術で、チェスや囲碁などのボードゲームでも優れた成果を上げています。深層学習を用いたコンピューター将棋ソフトの代表例は『Apery』です。『Apery』は2019年に世界コンピューター将棋選手権で優勝し、2020年には第7回将棋電王戦でプロ棋士の佐々木勇気八段(当時)に勝利しました。『Apery』はその後も改良され続け、2021年には第8回将棋電王戦でプロ棋士の豊島将之竜王(当時)に勝利しました。

Bing AIの出力より

Aperyは2014年優勝。最後にトップ3になったのは2018年です。
開発そのものは2020年まで続けられていたようなので、あながち間違ってはないのですが、なんでこうなった?という感じです。

なぜか存在しない第7回、第8回電王戦が出てきます。ちなみに、佐々木勇気八段は、この当時は七段でした。2023年に順位戦A級昇格により、八段に昇段されています。

深層学習を用いたコンピューター将棋ソフトは、従来のソフトと比べてより人間らしい指し方をすることが特徴です。また、自ら学習することで新しい手筋や戦法を発見することもあります。これらのことは、人間のプロ棋士やアマチュア棋士にとっても刺激的であり、参考になることが多いです。一方で、深層学習を用いたコンピューター将棋ソフトは、その内部の仕組みがブラックボックス化されており、なぜそのような手を指すのか理解することが難しい場合もあります。これは、人間がコンピューター将棋ソフトから学ぶ際に注意しなければならない点です。
コンピューター将棋ソフトの歴史はまだまだ続いています。コンピューター将棋ソフトは、人間のプロ棋士やアマチュア棋士にとっても、強力なライバルであり、貴重なパートナーであります。コンピューター将棋ソフトと人間の関係は、これからも変化し続けるでしょう。コンピューター将棋ソフトの歴史は、将棋の歴史でもあります。将棋の未来は、コンピューター将棋ソフトの未来でもあります。

Bing AIで出力

 最後の最後で、いいことを言っています。現在の形になったのはせいぜいここ10年未満の話。今の関係はまだまだ始まったばかりです。
 生成系のAIは色々と物議を醸しだしていますが、こちらは共存共栄を見事成立させているといってもいいでしょう。
 思うところがある人もいると思いますが、現在の将棋界は新しい歴史を刻み始めているのです。

 

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