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ジョハリの窓


ジョハリの窓は、正式には、「対人関係における気付きの図式モデル(A graphic model of awareness in interpersonal relations)」です。 提唱者である、ジョセフ・ライトとハリー・インガムの名前を取り(ジョー+ハリー)、ジョハリの窓と命名されました。彼らは、クルト・レヴィンによって提唱されたTグループの継承者です。



Tグループとは?

Tグループとは、アメリカのユダヤ人心理学者クルト・レヴィンによって提唱ました。クルト・レヴィンの「偶然の機会」から生まれました。クルト・レヴィンは当初、コネティカット州の人権委員会から人種差別をなくすためのワークショップを企画していました。2週間にわたるワークショップの間、夜に、そのワークショップを振り返る場を設けていました。その、オフレコの振り返りの場で参加者たちが、そのワークショップのあり方や進め方について議論した結果、その夜のセッションの方が盛り上がるようになりました。それが、Tグループの原点であると考えられています。

クルト・レヴィンとは?

 クルト・レヴィンは、ベルリン大学の哲学と心理学の教授を務めていましたが、ナチの権力掌握で、ユダヤ人の学者は大学から追放されました。そのような経歴もあり、人種差別のない民主的な価値、グループ、組織、社会づくりを目指し、「物事の決定には、より多くのヒトを巻き込むことで質が向上する」という仮説のもと、組織開発を提唱し発展させました。 ジョハリの窓は、そのTグループの活動から生まれた概念です。


クルト・レヴィン

ジョハリの窓

ジョハリの窓は、自己と他者を 1.開放領域(Open)、2.盲点領域(Blind)、3.隠された領域(Hidden)、4.未知領域(Unkown) の4つの領域に分けます。

Tグループの目的は、「他人には分かっているが自分に分かっていない2.盲点(Blind)の気づき」と「自分に分かっていないが他人には分かっている隠された(Hidden)秘密の開示」を通して、民主的に双方向の組織開発を行うことです。

1. 開放領域(Open Area):
自分も他者も知っている、共有された情報や行動。例として、自他ともに認める、仕事のスキルや業務上の特技。

2. 盲点領域(Blind Area):
他者が知っているが自分が気づいていない情報。例として、無意識に話を遮ってしまう癖など。勇気を持って秘密の窓を開放すれば、想像以上に共感してもらえるかもしれません。

3. 隠された領域・秘密(Hidden Area):
自分が知っているが他者には明かしていない情報。周囲に隠している欠点やコンプレックス、トラウマ、悩み苦しみ、大事にしている信念など。
例:仕事への不安や個人的な悩み。勇気を持って秘密の窓を開放すれば、想像以上に共感してもらえる可能性があります。

4. 未知領域(Unknown Area):
自分も他者も知らない潜在的な可能性や無意識の行動。盲点の窓と秘密の窓を小さくして、開放の窓を大きくすると、未知の窓に気づけるかもしれません。

新人教育で考える例

私が、新人研修で指導する指導者であるとします。私は、新人が会議に遅刻してきたときに、強い口調で叱責したとします。新人は、強い口調で叱責されたことで人格が否定されたと感じました(傷ついたことは私は把握せず、2.盲点Blind)。ですが、新人は、実は、会議の場所を伝えられておらず、会社の中を彷徨っていた(3.隠されたHidden)。このような、お互いの知る知らない領域を開示していき、より民主的にAreaを開拓していきます。

家庭で考える例

私が食器洗い、妻が洗濯を担当していたとします。しかし、お互いのやり方や物品の置き方が気に入らず、時折衝突がおきたとします。例えば、食事は主に妻が作るので、作るときに感覚的に取り出す場所と、私が収納として適していると判断する場所が乖離しているとします。その時に、私達がとった決断は、それらのタスクを一気に交換してしまう大胆なものでした。そのような「実験」で、実は相手の方が仕事の質・量として楽ではないかと思っていたこと(2.盲点Blind)が実はそうでなかった事に気付かされたり、実際タスクを行ってみて、そのタスクの特有の理由故に、独特の置き場を用いていた事(2.盲点Blind)が判明したりするということがありました。おそらく、妻からしてみても、そのような逆の気付き(3.隠されたHidden)があったと考えられました。


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