「心理的安全性」と「空気」
"言ってしまったらおしまいな上司"とか、今まで出会ってこなかったですか?
「心理的安全性」と聞いて、あなたは何を思い浮かべるでしょうか?「心理的安全性」は、実は、仲が良く居心地が良い職場、気持ちが守られているという意味で用いられている場合がありますが、実はそうではありません。
心理的理的安全性の定義は、「対人関係のリスクをとっても安全だと信じられる職場環境であること」であり、ハーバードビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン教授が1999年に論文で提唱しました。つまり、対人関係のhard communicationを否定しているわけではなく、言うべきことを言えると言う環境・心理が重要であるということを示しています。
米国のビジネス書の優れたところは、ある定義(ここでは「心理的安全性」)を述べるときに、そうでは無いものを挙げることを丹念に列挙します。
エドモンドソン教授は、著書の中ではっきり述べています。"心理的安全性は、感じが良いこととは関係がない"と。また、"性格の良し悪し"でもなく、"信頼"でもない。優秀さは逆相関であり、単にそのチーム内で"報告しやすいかどうか"が問われていると述べています。
あなたは、普段びくびくしながら働いていませんか?
以下の項目に当てはまるのであれば、要注意な職場だと思います。
このチームでミスをしたら、きまって咎められる
このチーム内で、困難事象や課題を提起することができない
このチームの人々は、他と違っているいることを認めない
このチームでは、安心してリスクを取ることができない
このチームのメンバーには支援を求めにくい
このチーム内に、私の努力を踏みにじるような行動をしたり、故意にする人がいる
このチームのメンバーと仕事をするときには、私固有の能力・スキルが評価され、活用されていない。
特に、空気を読み、沈黙は価値であるとされてきた日本では、潜在的・顕在的なリスクや失敗がこれまでも多くあったと考えます。それらをレトロスペクティブに検証することが重要です。本書の中には、福島原発事故に関する言及もあります。
1990年代後半から、すでに論文引用回数やメディアでの被引用回数が上昇してきた「心理的安全性」。はっきり言って、日本人の「空気」と「心理的安全性」は相性が悪いです。日本では、まだまだますます、真剣に突き詰めて考える必要がありそうですね。
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