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大学院、どうやって選ぶ?

大学院入試では、多くの人が受験する研究科を1~2つにまで絞ることになります。学部入試のように手あたり次第受験しまくって最終的な進路を決める(この表現はやや極端かもしれませんが、おおむねこういった認識だと思います)というような方法はとられません。

受験する数を絞るということは、それだけ大学院の選び方が重要になってくるということです。大学院の選び方にはいくつかの観点があると私は考えています。それぞれについて解説していきます。

先生で選ぶ


指導教員の①研究内容や②人柄、③指導方針のどれか、あるいはすべてに重きを置くという観点です。つまり、指導教員個人が重要な決定要因となります。

①研究内容

研究のモチベーションを決定づけるのは、やはり「自分のしたい研究ができるかどうか」という点です。自分のしたい研究をより高い質で、効率よく行うためには、指導教員と研究テーマが一致していることが重要です。自分の研究テーマそのものを先生から提案していただけることもありますし、その方がよりアドバイスをいただきやすいです。世界中で先生と自分の頭の中にしかないことを一緒に形にしていくという過程は、研究者としての成長にも良いものがあるのかなと思います。ただ、与えられたテーマについて研究する場合、研究者としての自律性は育ちにくいという面もあります。

②人柄

2年または5年にわたって毎週のように綿密な指導を受けるわけですから、先生の人柄という要因を無視するわけにはいきません。アカハラのリスクがある先生は論外ですが、どれだけ話しかけやすいか、どれだけ好奇心や批判的思考をもって自分の話を聞いてくれるか、といった要因も重要です。いわゆる先生との「相性」が大事だという話はよく聞きます。私自身の研究内容は必ずしも先生と近いものではないのですが、日ごろの先生とのやり取りが充実しているためにモチベーションを維持できているという面が大きいです。

③指導方針

指導方針も教員によってまちまちであり、その中でも何を重視するのかというのは人それぞれです。私が受けた大学院の中には、事前に指導方針が記載されたファイルを教員から受け取り、よく確認するという過程を踏む必要のあるところもありました。
指導方針とひとくちに言っても、いろいろな側面があるかと思います。例えば、ミーティングの頻度です。週に1度決まった時間にミーティングの時間を設け、その都度課題を出してくださる先生もいれば、不定期に行う先生もいます。研究テーマに関していえば、あらかじめ研究の方向性を決めてくださる場合もあれば、1から自分で考えなければならない場合もあります。
私は外発的に動機づけられた場合の方が良いパフォーマンスができるタイプの人間なので、主体性を重視しすぎるのもよくないなあと思います(研究者として良い姿勢ではないかもしれませんが)。

大学で選ぶ

大学の地位を重視するという観点です。大学の地位には①設置区分、②知名度、③地域といった要素があるかと思います。大学院入試ではほとんどの場合、指導教員個人が最も重要な決定要因なのですが、あえて「大学で選ぶ」という観点にも触れます。心理学系の場合は必ずしも研究テーマが指導教員と一致している必要はないので、こういった選択肢も許されることが多いです。

① 設置区分

私立か国公立かということです。この観点は、学部入試の時に誰もが最初に考慮するものだと思います。当然、国公立の方が学費が安いので、親のすねをかじる罪悪感は少ないです。学費が低いからか、国公立大学の研究室は私立よりも多くの大学院生を抱えていることが多いです。研究室のメンバーが多いならばそれだけ研究や進路について相談できる相手が多いことになるので、国公立のほうがより充実した研究生活を送ることができるという考え方もあります。
では私立にメリットがないのかというと、そうでもありません。学費が高いことにより、逆に奨学金が充実しているという場合もあります。さらに、その潤沢な資金を環境整備につぎ込んでいるので、私立大学の方がより多様な研究方法を試せるというケースも多いです。国公立と比較して私立大学の研究室には学生がいない(いても1、2人)ことがほとんどです。だから学生同士で話す機会は少なくなってしまうのですが、その分先生と話すことのできる時間が多くなります。研究について話すなら、学生同士よりも先生とのほうが建設的な議論ができるのは言うまでもありません。

②知名度

現実的に考えて、所属する大学の知名度は高い方が自己肯定感はより高くなります。いわゆる学歴ロンダリングですが、そのメリットは計り知れないです。内部生にも賢い人が多いので、研究室のメンバーともより質の良い議論ができる可能性が高くなります。
いわるゆ学歴フィルターの観点からみると、修了後に一般企業に就職するなら当然(学部の)偏差値が高い大学が有利です。

③地域

どこで生活したいか、というのも大事なポイントです。やはり実家から通える範囲内の大学を選ぶのがいろいろと楽なのですが、一人暮らしの自由度も捨てがたいです。研究者の中には博士課程を修了するとその大学を離れ、職を求めて全国を駆け回るという人も多いです。どうせ数年間しかその町にいないなら、多くの人が生涯訪れることもないような都市の大学なんかも候補としてはありなのだと思います。引っ越しのことを考え、以前の居所の近くにするのもいいですね。

結局のところ

1番良いのは先生との研究テーマの相性に基づいて大学院を決めることですが、他にも考慮できることはたくさんあります。すべての面で自分なりに納得できる大学院を探し出し、受験へのモチベーションを高めましょう。

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