~ 動物虐待 ~
警察庁が「令 和 5 年 に お け る生 活 経 済 事 犯 の 検 挙 状 況 等 に つ い て」という統計データを公表した。
今回はこの中の1つ「国民の健康や環境等に対する事犯」の動物関係事犯を読み解くことにする。
|生活経済事犯とは
警察が取り扱う事案は幅広く奥も深い。
生活経済事犯とは、警察庁生活環境課が所管する事務である。
生活経済事犯とは、消費者取引の安全・安心を阻害する事犯、知的財産権侵害事犯、国民の健康や環境等に対する事犯など、金融、商取引、環境、衛生など善良な国民から巨額の犯罪収益を得る犯罪といえ、警察ではあらゆる法令を駆使して検挙活動を行っているという。
|環境事犯
国民の健康や環境等に関する事犯の1つであり、警察の区分上は、不法投棄など「廃棄物事犯」、動物虐待等などの「動物・鳥獣関係事犯」、水質汚染や森林などの「その他の環境事犯」などに区分し集計されている。
|動物・鳥獣関係事犯の概要
○ 動物・鳥獣関係事犯の検挙状況
令和5年中の動物・鳥獣関係事犯の検挙事件数は 533 事件と、前年より 59 事件(10.0%)減少したものの、過去 10 年間でみると、おおむね横ばいとなっている。
○ 動物虐待事犯
上記の533件のうち、動物虐待事犯の検挙事件数は、近年、増加傾向にあり、令和5年中は 181 事件と、前年より 15 事件(9.0%)増加し、統計をとり始めた平成 22 年以降、過去最多となった。
また、下のグラフのように統計がある2010年以降で最も多く、2014年以降の10年ではおよそ3.8倍に増えている。
※動物虐待とは
○ 種別等
動物の種類別では、
猫が97件、犬が65件で9割程度を占めているほか、馬やニワトリ、ハムスター、ウサギやウシ、カメなどが虐待されたケースもあるという。
内容別では、
・ 遺棄が74件
・ 虐待が61件
・ 殺傷が46件
だった。
|動物虐待事犯の検挙例
動物虐待に係る検挙例を上げると以下のようなものがある。
① 農場における乳牛の虐待に係る動物愛護管理法違反事件(島根)
農場で勤務する男(26)は、令和5年6月頃、農場において、牛2頭に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加えた。
同年7月、同男を動物愛護管理法違反(愛護動物の虐待)で検挙した。
② 吹き矢を使用した猫の殺傷に係る動物愛護管理法違反事件(埼玉)
無職の男(64)は、令和5年4月、河川敷において、猫1匹に対し、吹き筒を使用して吹き矢を放ち、傷害を負わせた。
5月、同男を動物愛護管理法違反(愛護動物の殺傷)で検挙した。
|動物虐待を知ったときの通報先は?
動物虐待耶蘇のおそれのある事案等をみたときなどには速やかに以下のとこへの通報を行いましょう
○ 動物虐待を見つけたら、まずは警察に通報
動物虐待は法律により禁止されているため、違反すれば犯罪になります。
そのため、違反者を見つけた場合は警察に通報することが必要。
○ 動物愛護センターや地方自治体に連絡する
動物愛護センターや地方自治体に相談してみるのも一つの方法
○ アニマルポリスに通報する
地域によってはアニマルポリスという組織が設置されているのでこちらに通報する。
<参考>
動物愛護管理法
○ 虐待や遺棄の禁止
愛護動物を虐待したり捨てる(遺棄する)ことは犯罪である。
違反すると、懲役や罰金に処せられることになる。
○ 罰則
・ 愛護動物をみだりに殺したり傷つけた者
5年以下の懲役または500万円以下の罰金
・ 愛護動物に対し、みだりに身体に外傷を生ずるおそれのある暴行を加え
る、またはそのおそれのある行為をさせる、えさや水を与えずに酷使する
等により衰弱させるなど虐待を行った者
1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・ 愛護動物を遺棄した者
1年以下の懲役または100万円以下の罰金
※ 愛護動物とは
① 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
② その他、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの