ファースト・フライト

私は丸いテーブルの席に着いた、人だかりの多いところ避けて店の片隅で一人で黙々とテーブルの上に置かれたステーキを口に放り込み奥歯で肉を噛みながら酒を軽く煽る、店の中では常連が明日の天気の話をしていた。

今の天気が芳しくないのはこの辺りではよくあること。

しかし明日の天気だけは店にいる全員が気にしていたのだ。

テーブルの上にあるステーキが空きそうなタイミング店のオーナーが私の向かいの席に座って口を開いたのだ。

「晴れそうね・・・」口数の少ない言葉でそう言ってきた。

私は「こんなに条件のいい天気はいつ来るのか分からないからな。それに連中、失敗が許されないから・・・」

「もし失敗したら?」そう訪ねて来たので私はその質問に答える事にした。

「失敗したら?そうだなァ連中の研究チームは解体、当然今まで突っ込んで来た資金も技術も全部取り上げられて文字通り解体ってとこが妥当じゃないかな?」

そう言って店の明かりに照らされながら外に映る雲を眺めていた。

明日のことなんて、未来のことなんて誰にも分からない。だけど自分はやるべきことをやって結果を出すだけだ。

私はお店にお金を払い少し俯きながら店を出た。
オーナーと話をした内容に嘘はない、ただ私も人間だ心配事はそれなりに有るのだ。

明日は早い、宿舎に戻って寝るとしよう。店から宿舎に戻る道中夜風に吹かれながら宿舎に戻った。

宿舎に戻り、宿舎の時計に目をやれば時間は24時5分前だった。私は寝る準備をして布団に入った、そして瞬間ふと呟いたのだ「明日の初飛行、いい結果にしなきゃな。」と。

つづく・・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?