2024.4.27vs京都 複雑な攻撃に対する守備

 一時は最大16点差離されていた昨日の試合、逆転させることができた一番の原因は、2Q・3Qの29失点から4Qの9失点に抑えられた守備の修正に他ならないと考えます。何が変わったのかの一考察です。

バランスの良い京都の攻撃

 まずはこちらの表を見てください。

出典:京都ハンナリーズ│B.LEAGUE

 京都の主要5人の得点に関するスタッツですが、誰かに偏らずに満遍なく得点できていることが分かります。特に、ライトと岡田の2人のハンドラーがCJとほぼ同じくらいの得点を挙げていたことには、個人的には驚きでした。(ライトと岡田の能力を見くびっているのではなく、外国籍の力に偏りがちのこのリーグで、日本人ハンドラーが同等の得点を挙げていることに感心しました。)

 この全員攻撃を可能にしているのが、京都のフロアバランスの取れたオフェンス戦術ではないかと考えます。

京都のオフェンス①ホーンズセット

 詳しくはこちらのサイトを見ていただきたいのですが、ホーンズセットは以下の画像のように選手を配置させるところから始める戦術です。

出典:NBAで凄いのはダンクだけ⁉

 個々の選手が広がりスペースがよくとれる代表格のようなオフェンスセットから、京都はいくつもチャンスを作り出していました。

京都のオフェンス②スタッガードスクリーン

 京都の誇るライト・岡田のコンボガードを生かしているのがこの戦術。片方のハンドラーがボールを運び、もう片方が2枚のスクリーンを受けてディフェンスをずらして有利な形でボールを受けてから、オフェンスを展開します。
 以下のシーン(1:44~)では、2人のスクリーナーと初めのハンドラーがボールのないサイド(=ヘルプサイド)に寄ることで生まれた広大なスペースに、もう一人のオフボールマンが飛び込むことでイージーなショットを作り出しています。

京都のオフェンス③スペインピック

 今や普遍的なセットとなっているスペインピック。京都も時折使っていました。

 以下のシーン(1:03~)ではオマラがCJにそこまでついていかなかったため、ライトがオマラにバックスクリーンを掛けることはありませんでしたが、動きはまさにスペインピックが狙いだったと言えるでしょう。

京都の攻撃の特徴

 ここまでつらつらと書いてきましたが、つまり何が言いたいかというと、2枚のスクリーンを使う複雑な構造のオフェンスシステムを活用している、ということです。
 例えばすぐ上の③で紹介しているシーンでは、オマラにスクリーンをかけようとしていたであろうライトに、アーロンがつくのかオマラがつくのか一瞬判断が遅れている隙に、岡田がドライブを仕掛け、遅れたオマラがブロックに跳んだため、CJがフリーになれている、という流れです。
 また①では、ホーンズの2枚のスクリーンをもらってドライブしてきた小西に、オマラもJJもつられてしまい、その間にダイブしてきたCJがフリーでパスを受け取りダンクを決めています。
 このように、複数の入り組んだスクリーンに対応するために、スクリーンへの意識が過剰になり、②のようにヘルプのできない場面が生まれてしまった、と言えるでしょう。
 FEは、この2枚のスクリーンに翻弄され、なかなか失点が抑えられなかったと考えます。

FEの出した回答

 ではFEはこの難問にどんな回答を出したのか。自分の推測ですが、それは「スイッチ」です。
 例えば分かりやすいのが、3Q1:24からのシーンです。エンドラインから始まったこのシーン、トップに上がった岡田にディアロがスクリーンをかけ、そのディアロにバックスクリーンをかけようとライトが近づきます。
 この時起こったのは、岡田・ディアロのスクリーンに佐土原・ルークがスイッチし、ライト・ディアロのスクリーン(未遂)に佐土原・アーロンがスイッチ。連続して2つのスイッチが行われているのです。その結果ライトは単騎1on1から無理なスリーを打たされて、攻撃を終えています。

一つ目のスクリーンには佐土原とルークがスイッチ
二つ目のスクリーンには佐土原とアーロンがスイッチで対応

 そして、公式のGOOD PLAYSで取り上げられた4Q初めの24秒OTも、動画では最後の数秒しかありませんが、プレーの序盤はやはりスペインピックをスイッチで対応して無効化したところから始まっています。

 そして、スイッチをしやすくするために、マッチアップを替えているのも押さえておきたいところです。ライトにはアーロン、岡田には佐土原をつけ、もしスイッチでビッグマンにマッチアップすることになっても、体で対応できるようにしています。

 このスイッチ、正直オマラがいる時間帯は使いづらいです。なぜなら、スイッチによってオマラがハンドラーについた場合、スピードのミスマッチが生まれてしまいます。岡田やライトに1on1を仕掛けられ、手玉にとられてしまうでしょう。
 ということは、必然的にルークがCJにマッチアップせざるを得なくなるわけです。3Q、オマラがファウルトラブルで下がると、初めは2-3ゾーンを敷いてみたりもしましたが、ライト・岡田・青木の3ptを考えるとそれも長くは続けられない。
 そして最終的にはルークがCJ相手に頑張る、というところに落ち着いたわけです。
 このシーン(2:54~)も、相手のホーンズがうまくいかず、CJのローポストプレイに切り替えるも、ルークが体をはって許さず、最後に岡田がCJとのPnRを仕掛けるも、ヘルプスイッチしてきた笹山に(おそらく)触られて、アーロンの前にこぼれて速攻に繋がったのです。

 しかも、「ウソみたいだろ。後半フル出場なんだぜ。それで。」©あ〇ち充。フリースロー4本も、CJにぶつけて出したルーズボールも含めて、昨日の影のMVPはルークだと個人的には思っています。

まとめ

 京都も黙っていたわけではなく、解説の根間さんも指摘していらっしゃいましたが、このスイッチに対して「リジェクト」という、来たスクリーンを使わない、という形で最後は修正をして、再びシーソーゲームにもつれこんだのですが、今日も同様に修正の仕合をするでしょう。
 しかし、最後のホームゲームですし、試合後にはファン感謝祭もあります。絶対に勝利で終わりましょう!!個人的には、苦汁をなめたオマラのリベンジに期待したいです。怒っちゃやーよ!!

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