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9.7,8 新加入のマエストロ

 改めまして、明けましておめでとうございます。いよいよ新シーズン始まりますね!
 我らがファイティングイーグルス名古屋も、一般公開される試合としては初陣となるAICHI CENTRAL CUPに参加をし、我々もついに新加入選手のプレーを目にすることができました。特に今シーズンは14人中8人もの選手が新加入となっており、どんなプレーを見せてくれるのかワクワクなわけです。

 できるなら新加入8人のプレーについてあれこれ所見を述べたいところですが(何を偉そうに)、そんな技量もございませんので、今回は一人の選手に絞って、自分の印象に残ったことを書かせていただこうと思います。その選手の名前は並里成選手です。

一気に期待のかかるポジションに

 日本人選手の加入としては最後に発表された並里選手ですが、そもそも並里の加入に、自分は懐疑的でした。誤解を恐れずに書くと、並里は既にピークを過ぎた選手であり、チームを落ち着ける控えガードは既に笹山がいる、と思っていたからです。昨シーズンメインガードの川嶋の退団は痛かったですが、千葉Jで注目を浴びた内尾の加入も決まっており、中村・内尾の若手を笹山が支え、残る日本人の一枠はビッグマンが来るのかと予測していました(移籍市場にいるかどうかは別として)。

※ 誤解しないで頂きたいのは、並里に決して否定的なわけではありません。寧ろ好きなタイプのガードですし、今シーズンの推しユニは並里です。昨シーズンのルークの過労から見て、日本人ビッグマンの重要性を痛感していたからです。

 ところが、今シーズン序盤?前半戦?のFEの戦績を左右するのは、並里の出来に大きく関わるのでは、と思わせる事態が発生しました。それが、ヘンリーの離脱とバッツの加入です。

 新加入の選手が多くなると、どうしても戦術の浸透にまず時間がかかります。ただ、我々には昨シーズン中盤からその力を遺憾なく発揮し、得点を量産したヘンリーがいます。チームとして攻めあぐねても、最悪彼にボールを回しさえすれば、得点を期待できていたわけです。そのヘンリーの離脱。

 その代わり(と言っていいでしょう)に加入が発表されたバッツも、その得点力は申し分ないと思いますが、言わずもがなアーロンとは全く役割が異なり、言葉は悪いかもしれませんが「使われて輝くタイプ」と言える選手です。

 ということで、今シーズンもきっとたくさん直面するであろう「どう点を取る?」という問題に、まず答えを出すことを求められることになったのが、並里だと思うのです。

並里のゲームクリエイト能力

 では、なぜ真っ先に並里に期待がかかるのか。それは、彼の「読む力」が優れているからです。試合の流れも、相手の守備陣形も。しっかりと時間をもって読むことができます。

 例えばこのシーン(0:42〜)。オマラとのPnRでドリブルを始めますが、相手センターが下がって守っている(ドロップ)のを見て、自分のマークマンを背中で止め(ジェイル)、オマラが中に侵入する時間を稼ぎます。
 その時オマラが走り抜けた左側にスペースがあるのを見つけボールを左に出すと、脚を開いて(スプリットスタンス)一気に加速。
 この時、コーナーにいた内尾を守っていたマーフィーは、オマラのダイブに備えてかなり内側に絞ってポジションをとっていますが(タグディフェンス)、並里のドライブの瞬間に一度コーナーに目をやりつつそちらにポジションを修正しようとします。その動きから察するに、並里はドライブの初めにコーナーに視線をやったのでしょう。それに引っかかったマーフィーが一度動いてしまいます。しかしその時すでに内尾はコーナーにはおらず、慌ててマーフィーはうちに絞りなおしますが時すでに遅し。オマラのクリアアウトでできたドライブレーンに侵入した並里はレイアップを沈めるわけです。相手DF、味方の動きを1ドリブルのタメで見極め、最善の攻撃を選択する読む力、さすがです。
 しかもおまけに凄いのは、深く入りすぎるとルーク・メイやマーフィーのブロックがくるかもしれないと考えた並里は、本来2歩歩けるところを1歩だけで踏み切るワンステップのレイアップにし、タイミングをずらしています。リングからは離れていますが、ボードをうまく使ってきれいに沈めています。とてもスキルフルなレイアップシュートなのです。

 こういった動きを見て、自分の大きな間違いに気が付きました。並里のライバルは笹山ではなく、寧ろ中村であると。中村もピックを借りつつ中に侵入するのを得意とするガードですが、中村はよりスピードを武器としています。その中村が並里からタメを盗めれば、より引き出しの多い大人なガードへと成長できるのではないでしょうか。とても楽しみです。

随所に見られる読む力

 他のシーンももっと丁寧に紹介したいのですが、ちょっと時間がないので箇条書きで…。

① 相手のディフェンスがマンツーかゾーンかを時間を取って見極める
 ドルフィンズは相手の攻め方によって形を変える変則ゾーンディフェンスを武器としています。それをマンツーマンと織り交ぜることで攻撃は混乱に陥ってしまうものですが、並里は時間をとって形を見極め、味方にポジショニングを指示し、いい形でシュートにつなげることができていました。

② 2Q 4:37、3:05相手のゾーンプレスをタイミングを駆使してほぼ単騎で突破
 FEはB2時代から伝統的にゾーンプレスを苦手としていましたが(ギクッ)、ディフェンスの死角をつく形で姿を表してパスを受け、スペースを確保しつつ前に運びます。無理に突っ込んでいるわけではないので、挟まれたとしても冷静に対処できていました。

③ 2Q 2:39 タクティカルファウル
 一番印象深かったのがこのシーンで、2ポゼッションくらい連続でタフショットを強いられ、悪い形でオフェンスが終わった後、ボールプッシュをするエサトンをファウルしていました。悪い流れを断ち切るために時間を止める、まさにナイスファウル。川辺HCが拍手していたのが印象的でした。

まとめ

 昨日の試合後には川辺HCも並里を讃えるコメントを残しています。チームにこれまでのノウハウをもたらす立場としても、勿論一戦力としても、並里の働きはとても大きなものになるでしょう。今シーズンの活躍から目が離せません。

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