見出し画像

実質2泊3日で行く!五島列島教会巡りの旅① 福江島編

皆様こんにちは。
日本には23件(2021年5月現在)の世界遺産がありますが、そのうちの一つが「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(2018年登録)です。この世界遺産の構成資産12件のうち、4件が五島列島(五島市、新上五島町、小値賀町)にあります。

「せっかく世界遺産になったんだし見てみたい、でも五島列島ってどうやって行けばいいの?」
「世界遺産以外の見どころは?」
「なんか美味しいものとかある?」
……
旅のために知りたい情報は色々。
今回は、筆者が実質2泊3日(前泊込みだったので実際は3泊4日)で回った五島列島教会巡りの旅を、参考としてご紹介いたします。
このページでは、最初の窓口になる「福江島」のことをご紹介したいと思います。

1.五島列島へアクセス

旅を始めるには、まずはアクセスから。
五島列島は名前の通り、大きな島5つと小さい無数の島で構成されています。
つまり飛ぶか、船か。これしかアクセス手段がありません。今回は前泊地の福岡から飛行機という方法を取りました。
飛行機の場合は福岡・長崎からの出発ですが、行先はどちらも福江島になります。他の島には船で移動していくことになります。
他の島に直接行きたい場合も、定期船がある島は限られているので、基本は福江島を軸に交通手段を考えると良いと思います。

画像1

福江行きの飛行機はこちら、ボンバルディアのDHC-8-Q400。小型機故に、気流が安定しない日は、欠航したり、出発空港に戻ったりということもあるとのことです。

1-2.教会巡りの注意点

五島列島の観光モデルコースで必ず含まれてくるのが、数多くの教会。ですがこれらの教会は、観光地である以前に地域の方の信仰の場です。そのことを忘れてはしゃぐのは論外。心静かに祈る方への配慮を忘れないようにしましょう。
具体的には下記のことに注意していきましょう。

・教会の中ではできるだけ喋らない。喋る場合も小声で。
・内部の装飾や壁には触らない。
・帽子は入る時に脱ぐ。
・内部の撮影は原則禁止。管理者の許可があった場合も私的利用に留め、SNSへのアップはしない。
・拝観後はできるだけ献金箱に寄付を。
堂崎天主堂の入場料が300円なので、これを目安にすると良い。
・ミサ中は立ち入らない。

2.福江島を攻略~レンタカーで回る教会と城~

福江島に着いてからの移動手段はいくつかありますが、今回はレンタカーを選択。空港まで迎えに来てもらってから移動を開始します。
福江島の見どころは色々ありますが、今回は教会巡りを主とした旅なので、堂崎天主堂楠原教会・水ノ浦教会を巡りたいと思います。
最初の堂崎天主堂は福江港辺りからなら車で20分くらいで行けます。路線バスもあるので、運転が苦手でも行きやすいと思います。

2-1.【堂崎天主堂】

画像2

堂崎天主堂は1908年に完成した教会で、五島列島の教会では最初期のものです。レンガ造りのゴシック様式の建物ですが、内部は木造となっています。この堂崎天主堂と旧井持浦教会だけ、アメリカ積み(長い方を見せる長手積み5段と、短い方を見せる小口積み1段を繰り返す積み方)でレンガを積んでいます。設計はフランス人神父のペルー神父です。
施工に携わったのが、生涯50もの教会建築に関わった棟梁・鉄川与助です。鉄川は今回巡る教会の多くに関わっている、日本の教会建築を語る上で必須級の重要人物です。
なお、現在の堂崎天主堂は資料館として活用されていて、長崎県登録有形文化財となっています。

【住所】長崎県五島市奥浦町堂崎2019
【開館時間】9:00〜17:00(冬期のみ16:00終了)
【料金】大人300円
【駐車場】徒歩3分程の位置にあり(教会前は車両乗入禁止)

2-2.【楠原教会】

画像6

堂崎天主堂から車で移動し、楠原教会に向かいます。堂崎天主堂からは海沿いの道を走るか、内陸部の国道を走るかで行くことができますが、海沿いの道は細くカーブも多いため、道が広く走りやすい内陸部ルートをオススメします。路線バスで行く場合は、三井楽(みいらく)行きに乗車します。
楠原教会は鉄川与助が設計に携わり、1912年に建てられました。ファサードの形状は、同じく鉄川与助が携わった青砂ヶ浦天主堂(中通島)と似ています。

画像7

ステンドグラスには五島列島の教会に多く見られる、四弁の花の模様が施されています。この四弁の花は、五島列島に群生する椿をモチーフとしたともされています。本来の椿はもっと花弁の枚数が多いのですが、身近な椿で十字を表現しようとしたのかもしれません。

【住所】長崎県五島市岐宿町楠原
【開館時間】9:00〜17:00
【料金】無料 ※献金箱に寄付するのをオススメ
【駐車場】あり
【注意事項】カーナビに登録されていないことがあるようなので、見つからない場合は岐宿小学校を指定すると、道中に教会が見えてきます。

2-3.【水ノ浦教会】

画像8

楠原教会から海沿いの道を三井楽方面に向かうと、丘の上に水ノ浦教会があります。元々1880年に作られた初代の協会がありましたが、1938年に鉄川与助が現在の建物の設計・施工を行いました。堂崎天主堂や楠原教会と違い、木造となっており、木造教会では日本最大級です。窓に代表される、優美なデザインが美しい教会です。
またこの教会裏手には現役の修道院があります。
正面には入り江があり、行き交う船を見ることができるかもしれません。

画像10

【住所】長崎県五島市岐宿町岐宿1644
【開館時間】9:00~16:00
【料金】無料 ※献金箱に寄付するのをオススメ
【駐車場】教会下に駐車スペースあり(教会には階段で登る)

2-4.石田城(福江城)

水ノ浦教会まで行くと、ちょうど福江島の1/4くらいを移動したことになります。
一周回る人は福江島の南西にある大瀬崎灯台を目指していきましょう。
今回筆者は次の移動があったため、五島市中心部に戻るルートを選びました。

五島列島は江戸時代、五島藩が支配していました。この五島藩の藩主・五島氏の居城が、現在五島高校がある石田城(福江城)です。この城は江戸前期に天守を失っており、幕末になってようやく天守を含めた城の主要部分が復旧したため、『日本最後の城』とも言われています。
現在は城跡に五島観光歴史資料館があり、国指定名勝の石田城五島氏庭園の他、門や武家屋敷通りが残っています。

画像11

五島観光歴史資料館内には、五島の文化説明と合わせ、現存しない細石流天主堂(ざざれてんしゅどう)にあった、花の装飾パネルが展示されています。
細石流天主堂は福江島の東にある、久賀島にあった鉄川与助設計・施工の教会でした。経年劣化と台風により教会本体は崩壊してしまいましたが、パネルは美しく残っています。

【住所】長崎県五島市池田町1ー4
【営業時間】9:00~17:00(夏期は18:00終了) ※入館は終了30分前まで
【開館日】12/29~1/3 ※他点検休館等あるので要確認
【料金】大人300円
【駐車場】20台程度あり

画像12

城跡周辺には堀も残っており、なかなか見栄えのする風景を楽しめます。
幕末に近づくに連れ、五島灘を頻繁に往来するようになった外国船を警戒するため、幕府に築城を申請したと言うだけあり、元々は海と堀がつながる構造だったようです。小さいながらも守りを考えた城だったと言えますね。

3.福江島から中通島へ渡る~アクセストラブル編~

画像13

石田城跡を見学後は、五島列島の北側の島・中通島に移動します。中通島への移動はもちろん船。福江港から出発です。

……ですが……本来乗る予定だった高速船のジェットフォイルが、時化により欠航(!)となってしまったため、急遽他の観光客の方と乗り合わせ、海上タクシーにて移動となりました。
海上タクシーは一隻あたりの料金設定となっているため、できるだけ人数が多いほうがオトクになります。今回はお声掛けを頂いた側だったのですが、同じ目的地の方が他にもいるようなら、声掛けして乗り合いで移動するのが良いでしょう。
海上タクシーの手配は観光案内所で行ってくれますので、突然の欠航時も諦めないで話をしてみると良いと思います(ちなみに高速船の欠航はままあることのようです……荒海の東シナ海らしいと言えば『らしい』話です)。

画像14

今回は海上タクシーを5人で利用し、福江港ー桐漁港(中通島南西部)で移動をお願いしました。桐漁港からは乗りあった方からのご厚意でレンタカーに便乗させていただいたのですが、レンタカーの手配をしていない場合は、海上タクシーに乗る前に、行き先の島のタクシー会社にも連絡し、足を確保すると良いです。
なお中通島は多方面に路線バスが走っていますが、あまり遅い時間だと終了してしまうこともあるので、注意しましょう。
ちなみにジェットフォイルが運行する場合は、中通島内の主要なところを移動する無料シャトルバスがありますので、これを利用すると良いでしょう。

海上タクシー(奈留海上タクシーさんの場合)
福江島ー中通島:30,000円/一隻
※今回利用の船は10人程度は乗船可能。20人乗れる船もあるようです。

4.食事と交通手段~福江島編~

【コーヒー&サンドイッチ moimoi(モイモイ)】
五島市役所付近にあるサンドイッチ店。日替わりのサンドイッチ(6種類ほどあり)が楽しめる。福江島は飲食店も多いが、海や教会を遠望しながらピクニック感覚で食事を楽しむのも乙なもの。

画像11

【住所】長崎県五島市幸町8-17
【電話番号】080-2742-6041
【営業時間】7:00~18:00
【休日】木曜日
【駐車場】4台ほど店舗正面にあり ※店舗付近の道は狭いので、軽自動車のほうが行きやすい。

【御食事処 うま亭】
福江港ターミナル正面にある、地元の人にも人気なレトロ系大衆食堂。長崎名物のちゃんぽん、五島名物の五島うどんを始めとした、ボリューミーな定食が楽しめる。チケット購入型の事前支払いの店。

画像12

【住所】長崎県五島市東浜町1丁目8−3
【電話番号】0959-74-3981
【営業時間】10:00~20:00
【休日】水曜日
【駐車場】なし

【観光レンタカー】
福江港ターミナルから徒歩5分程の位置にあるレンタカー店。五島つばき空港(福江空港)までの送迎もあり。
グループ内で民宿やドミトリーも経営しているので、福江島の宿泊地を探している人は相談してみても良いかもしれない。

【住所】長崎県五島市東浜町1丁目21−9
【電話番号】0959-72-8788
【営業時間】8:00~19:00
【HP】https://kankorentacar.jimdofree.com/

5.終わりに~五島最大の島のその他の魅力~

福江島の教会と城という、少し相反する印象の建造物はいかがでしたか?
どうしても五島列島はキリシタンの印象が強くなりがちですが、江戸からの流れもつかめるのが、この福江島の魅力だと思います。

今回は立ち寄りませんでしたが、沖縄を除けば最西端にある大瀬崎灯台や、福江島のランドマークである火山・鬼岳なども福江島の観光の目玉です。また高浜海水浴場に代表される、美しい五島の海を堪能できる浜辺も多くあります。
福江島は五島列島最大ということもあり、交通・宿泊ともに充実した島となっています。ゆっくり一日かけて回り、翌日に他の島に向かうのも良いでしょう。

五島の旅は、二番目に大きな島・中通島へ。

それでは、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?